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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   学問の意義   カノン

 学問の意義とは何か。当然そんなものわかった上で勉強しているはずなのに、いざ聞かれると言葉に詰まってしまう。『教養を深めるため』と答える人もいれば、『普段の生活の実用性を高めるため』と答える人もいる。『隣の席の子に負けたくない』と答える人もいれば、また『受験に必要だから仕方なく』とため息をつく人もいるだろう。しかし人というのはそれぞれ違った考え方をするものだから、どんな意義が出てきたとしてもそれはそれで良いと私は思う。だが、学問の意義が一つしかないと思い込んでしまうのは問題大ありだ。
 学問の意義が一つしか見えない原因としては第一に、多くの人々は自分の目の前のことで手一杯で、遠い将来のことや世間の人様のことまで考えられるようなグローバルな思考を持っていないからだ。特に私のような学生にあてはまることだと思うが、十年後の私より明日のテストの方が心配なのだ。そうするとやはり『良い大学に合格するために勉強する』とか、悪くすれば『学問の意義など無い』などといった意見が出てきてしまう。『常に未来の幸福ばかりを夢見て今を犠牲にしていたら、後で人生を振り返った時何も残らなくなってしまう。』という考え方もあるが、だからといって目の前しか見ていないのは良くないと思う。学問の意義は沢山あるということを是非覚えておきたいものである。
 第二の原因は、いつの時代も世の中は傾いた考え方しかしないということだ。日本の江戸時代の武士たち、または中国の官吏を目指した男性たちは自分たちの地位を高めるために、科挙という制度にのっとって全てのものを投げ出し、教養・教養と文武に勤しんだようである。そういった教養は普段生活するには何の役にも立たないようなことも多かったようだが、手に入れた地位は格別なものであった。しかし時代が進み現代に近づくにつれて、今度はいかに実用的であるかということが重要視されるようになってきた。各分野にはその学問を専門とする学者が現れ、そのおかげで科学は目覚しい発展を遂げた。しかしそういった事実がある反面、限られた分野の知識しかない人間が増えてしまったのもまた事実である。
 また、自然科学の世界でこの問題を考えてみるとダーウィンが著した『種の起源』が例として挙げられるだろう。彼は二十二歳のときにビーグル号の後航海に博物学者として乗り込み、世界を旅したが、そのときオーストラリアやガラパゴス諸島にも立ち寄って、その島固有の動物の存在を知ることになる。そして帰国後、著の中で『自然淘汰によって、生物は進化する』と表したのだ。島に住む生物の特徴は外界の生き物から影響を受けにくいところにある。つまり弱肉強食の定義を覆しているのだ。しかし言い方を変えれば、もし違う状況下に遅れることになったら、この生物たちは絶滅の一途を辿るに違いない。二つの例からわかることは、傾いた環境にいるものは広い世界に順応できないということなのだ。『井の中の蛙大海を知らず』ということわざはまさにそのことである。
 確かに自分だけの目標や考えが、一つあるというのは大切なことだ。しかし何事においても、自分の起こしている行動の意義が一つしかないと思い込んでしまうのは違っていると思う。また物事の意義とは考えて思いつくものではなく自然に湧き出るものであると思うので、『学問の意義とはなんだろう』と考え込むのではなく、それが自然とわかるようになるまで自分を磨き上げていきたいと思う。

   講評   jun

 これは大作になりましたね。森リンの点数も立派です。
 「十年後の私より明日のテストの方が心配」とは学生の現状をうまく表現しています。本当の意味で学問の意義について考えられるようになるのは、テストに追われる学校生活が終わった後かもしれません。身近な目標に向かって勉強することも、もちろん必要なことですが、その先の自分を思い描くことを忘れてしまうと、せっかくの勉強が意味のないものになってしまいます。
 「いつの時代にも世の中は傾いた考え方しかしない」とは思い切った意見ですが、カノンさんの言いたいことは十分に伝わってきました。時代を越えて、人間の生き方について考えるとき、学問の意義もはっきりと見えてくるのではないでしょうか。「傾いた環境にいるものは広い世界に順応できない」ということを裏づけるためにダーウィンの『種の起源』を例として挙げたところはすばらしいです。
 結びは、前向きないい意見でまとめましたね。ここに光る表現(自作名言)を入れてみましょう。
                              

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