低学年から学力の基礎を作る
幼長、小1、小2、小3の基礎学力をひとつの講座で学ぶ。
読書の習慣、国語算数の勉強、暗唱の学習、創造発表の練習をオンラインで。


昨日2126 今日518 合計7516
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   ゆとりある生活   カノン

 日本は他国に比べ社会的共通資本が劣っている。例えば交通費一つ取ってみても日本は高額で、自由な移動範囲を狭めているように感じられる。また、社会的なサービスについても
欧米に比べれば、日本はまだまだ不十分であるのが現状である。西ドイツは『人々が一日の中に労働と文化生活と家族の団欒が行われるゆとりを与える』をモットーに労働時間を出来るだけ減らす方針で足並みを揃えつつあるが、日本の現状は一向に改善される気配がない。私は、ゆとりのある文化的な生活よりも仕事優先する日本の社会に問題があると思う。
 第一の原因は、企業が家庭よりも仕事を重要視するような考え方を強要してきたからだと思う。私の父は比較的休日を家で過ごす人間だが、母は休みもほとんど無い状態で働き、全くゆとりのない生活を送っている。母のように休日返上で働く人々みると、まるでその体をコントロールされている機会のごとく、日々の生活を送っているように思えてしまう。そしていつしかロボットのように無残にも故障してしまうのではないかと悲しくなるのである。
 第二の原因は、人間の本能的な問題として、単独行動よりも集団行動を望むことにあると思う。人間がここまで進化できたのは、人々が集団で独自の文化を築き上げたからだと思う。そして集団でいることで協調性を学び、安心感を育んできたのである。そういった感情は数千年の時を越えた今でも変わらず、社会に蔓延している。人が社会で生きていくには自分も社会に貢献しなければならないと感じた人々は真面目にも社会に尽くし続けてきたのである。しかしその連帯感や責任感が強すぎると、仕事優先のゆとり無い生活になるという皮肉な結果になってしまったのだった。
 自然界の話として、ライオンを例に挙げてみたいと思う。ライオンなどの肉食動物たちも言わば人間と同じように集団で生活している。生きていくために集団で狩りをしたり、子育てをしたりする。雄ライオン・雌ライオンもそれぞれの役割分担がきちんとあり、生き残るためにゆとりのない忙しい生活を送っている。しかし、やはり人間とライオンには大きな相違点がある。ライオンはゆとりがあろうがなかろうが生活のためなら苦しい生活もやむを得ないが、人間がそこで不満なら不満と異論を唱えられることができる。また、自分たちのやり方次第でゆとりを生み出す力も持っている。『余裕のある時間を作るのも、自らの手で自分の首をしめる生活を送るのも、その鍵を握っているのは自分である。』ということわざのように、ようは人間社会どうあるべきなのか考えることで全てが決まってくるのである。
 確かに毎日仕事で充実した生活を送るのも一つの生き方だろうが、あとあと自らの人生を
振り返ったときに何も笑えるような思い出が残っていなかったなどというのは寂しい話である。当たり前のことだが、人生は誰かに作ってもらうものではなく自ら築き上げるものである。企業が家庭よりも仕事を重要視するような考え方を強要しているのも問題だが、労働者がはっきりNo!と反発しないのも問題だと思う。人間たちの勤勉さが経済的的な成長を支えてきたのは確かだが、少しくらい人間らしい自分を大切に思う生き方をしても良いのではないだろうか。

   講評   jun

 第一段落は、仕事優先の日本社会の現状について説明することができました。今学期、「書き出しの工夫」に●印はついていませんが、「書き出しの結び」をするためにも次回から書き出しの工夫をしてみましょう。問題提起の後は、その原因を二つ考えることができました。どちらの原因ももっともです。今回の二つ目の原因は、自然科学実例が挙げやすかったでしょう? 集団生活をするライオンを例に挙げながら人間との違いを考えたところがいいですよ。
 仕事に明け暮れる生活が必ずしも不幸だとは言い切れませんが、人生の目標をもう一度考え直してみる必要があるかもしれませんね。

■結びには自作名言も入りましたが、自作名言はもっと今回のテーマにしぼった方がインパクトがあります。
   

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)