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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   受容性   ルフィ

 鯨や象も、人と同じく「知性」を持っているが、その性質は攻撃性を主体とした人の知性とは全く異なったものである。それは、自然をコントロールするのではなく、むしろ自然との調和を目指す、いわば受容性を前面に出した知性である。そして私達は、その受容性の知性を取り入れ、自然との調和を目指すべきである。そのために、いくつか方法が挙げられる。
 唐突だが、私は誰かの悪口を言うのをひどく嫌っている。それは、相手を批判できるほど、自分がすばらしい人だと思ってはいないからだ。私の学校には、人を罵倒することが自らのパーソナリティだと勘違いしている人物がいるが、彼はそのために、時たま孤立してしまうことがある。この場合の「彼」の行動を「攻撃性の知性」とするのならば、私はこの考えを、人にはよいところも悪いところもあるという事実を受け入れる「受容性の知性」に変革すべきだと思う。そして、これは冒頭に示した自然との調和を達成するための一種の方法である。
 また、別の方法を挙げるとするならば、過去に人間と自然が調和していた頃の暮らしを評価する、というものがある。例えば、江戸時代初期を起源とし、現代にも残る輪中集落などは、歴史から学ぶときにおいて最もよい例の一つとなろう。輪中集落とは、濃尾平野西部の木曽川、長良川、揖斐川の下流地域に発達したものである。洪水の害を防ぐため、集落の周りに高い堤防をめぐらしている。これが、現代の人間ならば、平気で川を工事し、流れを変えるとともに自然環境を破壊しつくしてしまうだろう。私達は、災害をもたらすものではなく、自分自身を改めねばならないときがあるということを忘れてはいないだろうか。
 確かに現代の文明を作り上げ、支えてきたのは攻撃的な知性である。それがあるから、人間にとって住みやすい世の中となった。しかし、私達は自己の利益を追求するがあまり他者、ここでは自然や文字通り自分ではない人、が犠牲になっていることに気づかなかったのではないか。「大事なものほど、なくなってはじめてその大切さに気づく」というかどうかは知らないが、ともかくそれがなくなってからでは遅いのだ。みんなはそのくらい分かっているよ、と異口同音に言うだろう。しかし、誰一人として、少なくとも私の見ている範囲では、行動に移していない。理解と行動は別だということを分かっていない。
 私見だが、受容、という言葉が好きだ。「受」はもちろん受け入れる、だろうが、「容」はなんだろうか。辞書を引くと、許す、という意味があった。より多くのものを受け入れようと師、可能な限り許すことが出来る知性。元来の攻撃性から、このような知性に移行するのは、難しいだろう。むしろ不可能かもしれない。だが、それに挑戦することが、大切なのだと思う。

   講評   kira

 ルフィくん、こんにちは。「受容性の知性」という言葉には惹かれるものがありますね。確かに近代を支えてきた自然科学の考え方は、人間が自然をコントロールしようとするかなり能動的なものでした。そして今、科学万能が疑われ始めたときに当然起こってくる反省として、もっと自然と仲良くという方向が芽生えてくるのですね。
 しかし、その考え方は消極的、諦念的という側面も持っています。中越地震や、あいつぐ台風被害から被災者の人たちは力強く立ち直ろうとしています。ニュースの取材などで聞かれる言葉は「まあ、仕方のないことだから」が多いですね。日本は古くからどちらかというと「受容性」のほうであったのではないかと思うのです。ルフィくんも「輪中」の例でそう述べていますね。
 日本には地震などの自然災害は「天災」「運命」という考え方があります。(ときどき「人災」だったのでは?!と騒ぎますが)中世の「無常観」もそうだね。「偉大な自然」に対して「無常で卑小な人間」。人間は自然と一体になろうとします。災害にあってもそれも運命と受け入れる。弱いようで、けっこう強い姿です。阪神大震災のときの被災者の冷静な態度、復興への速さに西欧の人々はひどく驚いたと言いますね。
 確かに諦めや、なるようになるさという開き直りのような態度はよくありませんが、私たち人間が自然に向き合う姿勢の中には、受け入れ、自分も変化できるようなかたちを考えていく必要もあるのでしょうね。
     

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