国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   妥協は悪いことなのか   たば星人

 「妥協ができないのは子供だ。」
それは、昔私の担任をした人がいった言葉だ。鯨や象は人の知性とは全く別種の知性を持っている。人間の知性は自然をコントロールし意のままに支配しようとする「攻撃性」の知性である。この「攻撃性の知性」をあまりにも進歩させすぎた結果として、大量殺戮や環境破壊を起こし、地球全体の生命を危機に陥れている。対して鯨や象の持つ知性はいわば「受容性」の知性である。自然を理解し、適応して生きるためにその高度な知性を使っている。今まで、人間社会は発達し続けてきた。その発展には「攻撃的」知性が必要だった。しかし今、もうその「攻撃性」いらないのではないだろうか。今必要なのは、自然を人間に都合の良いようにコントロールすることではなく、人間が自然に適応していくことだと考える。そうしなければ、無理に変化させられた自然が変化に耐えられずに崩れていくからだ。自然に適応しなければならないならば、やはり鯨や象の持つ「受容性」が必要なのだろう。では、どうすれば「受容性」は身に付くのだろうか。
 第一の方法として考えられるのは、固定観念を捨てることだ。「こうでなくてはならない。」とか「こうしなくてはならない。」といった固定観念を持っていると、必死でそれに合わせて矯正させたり変化させたりする。それが、筆者の言う人間の「攻撃的」知性である。そうではなくて、「こうしても良いな。」と思うことで、肩の力を抜き、与えられた環境をありのまま受け止めてしまうことが大切なのである。私は以前、高台にすんでいたことがある。近くにはコンビニもなく家に帰るのも疲れる毎日だ。しかし、風通しと景色は良かった。そこに目を向ければ、近くにコンビニもないとか、帰るのが疲れると言った嫌なことも軽く感じられる。確かに、悪いところもあるかもしれないが裏を返せばそれが良いところに繋がることも多い。柔軟な見方をすれば、周囲の環境に慣れるのも容易である。
 第二の方法として考えられるのは、妥協することである。なんだか、妥協するのは悪いことだと思われがちで、自分の信念を押し通しこだわることが良いことのように思われている。確かに、それで良いこともある。しかし、人間が皆そんな考え方だったとしたら、すぐに戦争が起きる。中には妥協案を出せる人材が必要なのである。勝海舟と西郷隆盛の会談による江戸城の無血開城がその一例であろう。これによって、江戸での戦いは避けられた。もしそこで、どちらかが拒否していたら江戸は火の海になっただろう。
 確かに、自分の信念を貫きそれに合わせて他を変化させていくことも時には大切である。しかし、それが常に通用するとは限らない。そんなとき、妥協してそれに適応できることが大切だと考える。今必要なのは、強固な信念ではなく柔軟な考え方に伴う妥協である。現在、自然が破壊され、イラクでは戦争状態が続いている。自然と人間、イラクとアメリカ、双方が共存する道はないのだろうか。妥協案は無いのだろうか。私は、妥協のできる「大人」になりたい。 

   講評   kamono

人間社会は発達し続けてきたのだから、もう攻撃的な知性から、自然に適応していく知性へと変わるべきだ、という考察がうまくできました。それには、肩の力を抜き、与えられた環境をありのまま受け止めてしまうこと、自分の信念を押し通しこだわることも良いことだけれど、妥協することも大切、という二つの方法を示しました。二つの実例のうち、歴史実例がよかったですね。
<人間が皆そんな考え方だったとしたら、すぐに戦争が起きる。妥協案を出せる人材が必要だ>と言っておいて、勝と西郷の無血開城をもってきたのは、感心しました。ほんとうに、これで江戸は、というより日本は救われましたね。海舟の氷川清話とか海舟座談とか(父・小吉の夢酔独言も含めて)は、機会がありましたら、ぜひどうぞ、面白いですよ。古本屋にいくらでもあります。 結び、柔軟な考え方に伴う妥協の大切さを言いました。ここで、書き出しの「妥協ができないのは子供だ」を、うまく落着させました。なるほどと感心しました。よかったです。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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