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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   豊かな気持ちで送る今日   えうあ

 ふと考えて見ると、毎日の生活の中でスケジュールに追われないことはない。スケジュールの無いものは仕事とは言わないと、会社で聞いた覚えがある。確かにそうだ。仕事では、常にスケジュールに追われている。ビジネスである以上、常に、いかに効率的にできるかが問われる。常にスケジュールに向かって、前に進むことしか許されない日常の中で我々は、生活を楽しむという大事なことを見失って生きているように思う。
 子供が保育園に通っている頃の事だったと思う。休日に山に囲まれた公園まで行った時、子供は、野に咲く小さな草花や、そこにいる虫のことを実によく知っていて驚いたことがあった、へびいちご、おおばこ、シロツメクサ、どくだみ、バナナ虫とよばれる虫、とかげ、どれも、いつもの彼の遊び場でもみかける小さな仲間らしい。彼は、夕焼け雲の中に沈む夕日が、トマトみたいに赤いことも、風に雲が流されてちぎれていくことも、毎日の観察の中で知っていた。さて、私はどうだろうか。最後にゆっくり足をとめて、草花を観察した日、夕陽や空の雲をのんびり眺めた日はいつだっただろうか?今日の昼間がどのくらい暑かったか、寒かったか、ビルの中では、あまり感じられない。沈む夕日を最後に眺めたのはいつだったか。そういう時間的な余裕が自分の生活の中にないのだ。私がふと心配になったのな、そういう、無味乾燥な中で生活していることによって、人間が本来持つべき感性まで鈍くなってしまう気がすることだ。
 子供はほっておけば自分の好きな事にただただ没頭している。こちらの言うことは耳に入らないこともしばしばある。対象はブロックだったり、本だったり、玩具であったり、様々であるが、その時その時、真剣にその事をただ楽しんでいる。大人はそういう時間の過ごし方を、あえて作ろうとしない限り、好きな事に熱中する時間はなかなか得られない。よく、趣味は趣味にとどめて、仕事にしない方がいいというが、これは、こと仕事となると、途端に、費用対効果のものさしにかけられ、客観的な完成度を求められるからであり、せっかく好きでやっていることが楽しめなくなってしまう可能性が高いことを、大人はわかっているからだろう。大人は、とっくに忘れかけている好きなことに無心になることを、子供から学び直すのがいいだろう。決して、大人の時間の感覚を、子供に押し付けないよう気を付けなければいけないと自分に言い聞かせている。
 確かに、スケジュールを意識して行動することは実生活の中で大事ではあるが、社会に出れば否が応でも、決められたスケジュールの歯車にのらなくてはならない。そんな中で、自分の精神的なバランスをうまくとっていくために、何も考えずに打ち込める何かを持っているかどうかが、キーになるように思う。そしてそれは、子供時代にどのくらい心が充実した時間を過ごして来たかが基盤となると私は思う。明日につながるスケジュールのために今日があるのではない。人として充実した時間を過ごしていない日々の延長線上に、豊かな気持ちの明日は来ないのだ。たまには、時間に追われる足をとめて、空に浮かぶ雲の形に目を留めてみようと思う。

   講評   nane

 すばらしい内容。論説文としても説得力がありますが、書かれている内容が感動的。表現も光っています。
 実例を具体的に書いているので情景が浮かんできます。「へびいちご、おおばこ、シロツメクサ……」など。
 スケジュールに追われない毎日は、退職後でもなければ来そうにありませんが(笑)、日本人も欧米のように長期間のバカンスを取るような習慣を持つ必要があるのかもしれませんね。
△百字を超える文は二つぐらいに分けておくと読みやすい。「よく、趣味は……はわかっているからだろう。」のところ
△「大人は、とっくに忘れかけている好きなことに無心になることを、子供から学び直すのがいいだろう。」は、間に長い修飾語が入っているので、読むときにちょっとつっかえるかもしれません。これも二つに分けるなどして工夫を。
▲ほっておく→ほうっておく
 これも、どこかに応募するといいと思います。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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