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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   流転の時代   カノン

 特許制度とは発明者の権利を保護するものであり、技術を公開した代償として、発明者に独占権を与えようとするものである。しかし最近そういった制度を悪用して、発明者の権利を侵害する者が出てきているようである。発明者は研究に長い時間やコストを費やし、長年の研究の結果を世に知らしめるわけだが、その結果だけが模倣者に奪われていってしまうのである。また江戸時代の享保六年(一七二一年)には、新たに物を作り出すことを禁止した「新規御法度」なども出され、新技術を拒否する動きが見られた。ここにきて日本は産業面で大きく飛躍したが、まだどこか鎖国時代のように、変化は悪だといった消極的な考えがあるように思われる。そのような観念が現代社会に浮遊しているのは問題だと思う。
 その原因は第一に、日本人の国民性あげられると思う。というのも日本人は諸外国に比べ、温厚で消極的な部分があるからである。例えば学校の授業中、教師が生徒に向かって何か問いかけをしても、生徒は顔を見合わせるばかりで、自分から手を上げてハキハキ答えるような生徒はなかなかいない。これが日本だとすれば、おそらくアメリカや中国の人々は日本と対照的にきちんと自己主張すると思う。また、「世の移り変わりを良く思わない」というのも日本人独特の消極的な考え方だと思う。鎌倉時代の有名な歌人に鴨長明という人がいるが、彼も随筆「方丈記」の中で様々な実例を挙げながら、人生の無常や世のはかなさを訴えている。過去に有名な詩人や歌人が多く存在したように、日本人とはしみじみするのが好きな人種なのかもしれない。
 その原因の第二に、日本人の向上心の欠如があげられると思う。過去の歴史において、日本が外国と比べものにならないほど産業面で劣っていたのはなぜか。それは、人々がその時代時代の生活に満足し、たとえ生活水準が上がらないとしても、生活に支障はないと感じていたからである。自然科学の例をあげるとすれば、微生物があてはまると思う。微生物は何万年も前から進化もせず、単細胞のままで生存し続けている。なぜ、微生物が進化しないのかと聞けば、それは生きていく上で進化する必要がないからである。生物とは基本的に進化しないのが普通であって、進化する生物は周囲の環境などに適応しないと感じるから、変わっていこうとするのである。この定義は人間にもぴったり当てはまっているように感じられる。
 確かに、発明者の権利を不当な模倣人から守り、新たな発見を珍重することは大切である。しかし、特許の文字だけを強調し、人々から親近感を遠ざけてしまうのはいかがなものかと思われる。特許とは人々を遠ざけるものではなく、人々が気持ち良く新たな発見を分かち合うものである。変化は悪とされた時代はもう終わった。これからは流転の渦に乗り遅れないように、そして飲み込まれないように、積極的に物事を見つめていかないといけないと思う。

   講評   jun

 いつもより短い時間で書き上げることができましたね。全体のバランスもとてもいいです。

<第一段落>
 長文の内容を自分の言葉でうまくまとめることができています。「変化は悪だ」とは少し言い過ぎのような気もしますが、日本人が変化よりも安定を好むことは事実でしょう。
<第二段落>
 原因の一つ目に「方丈記」を挙げたところはカノンさんらしい視点ですね。
<第三段落>
 自然科学実例はむずかしかったと思いますが、微生物の例はよく思いつきましたね。これはぴったりのいい実例です。
<第四段落>
 長文自体は特許制度に関する話でしたが、問題提起の部分とやや視点がずれるので、「特許」にこだわらず、これまでの流れでまとめた方が自然だったと思います。最後の一文はお見事です。

☆作文テストは合格です。おめでとう! 森リンでもすばらしい得点が出ましたね。
                           

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