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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   日本進化論   あとえ

 本来、特許制度は発明を保護するねらいをもっている。技術を「公開」した代償として、発明者に「独占権」を与えようとするものである。歴史上、われわれからオリジナリティを奪い取った典型的な事例として、徳川幕府が出した「新規御法度」と呼ばれたものがある。それは、新しいことは何もかも悪と見なすものであった。御法度が制定された時、先進国のイギリスでは、産業革命期を迎えようとしていた。日本では、この法度により、鎖国のまっただ中で、「発明の公開」を条件に「独占権」を与えようという特許の思想は育ちようもなかった。
 日本にはやはり、変化を好まないような風土があり、新しいものをうみだせないような風土があることが問題である。
 その原因は第一に、日本の社会の横並び意識である。私の学校の化学の先生は、二択問題が大好きで、授業中によく「この物質が酸だと思う人は右手、塩基だと思う人は左手をあげなさい。せーの、ドン!」といったクイズを出してくる。間違ったら先生に指摘されて、とても恥ずかしいので、私は周りの人の反応を見てから手をあげることにしている。先日も、いつものように周りをキョロキョロ見ていると、同じようにキョロキョロ周りを見ている人と目があった。「あっあの子も私と同じこと考えてる。仲間だ!なんか安心するなぁ。」と思いつつ違う方向に向くと、またキョロキョロしている違う子を見つけた。「あっあの子もだ!結構みんな同じこと考えるんだなぁ。」と嬉しく思って、まだ他にもいるかなぁと、本来の目的も忘れてキョロキョロしていると、意外とたくさんカンニングしている人を見つけた。答えを出すのに戸惑っているからといって、その人たちは化学の成績が悪いわけでもなく、むしろ良い方なのだが、みんな人と違う答えは怖いらしい。「赤信号みんなで渡れば怖くない」なんてふざけた名言があったが、人間の、とりわけ日本人の心理をよくいいあてた素晴らしい名言だと思った。
 第二の原因として、日本の社会というものが国の成り立ちも影響して、一部の製造業をのぞいてまだ海外との直接の競争にさらされていないことである。中国やヨーロッパなどという地域は、陸続きゆえ、つねに紛争や文化競争という争いのなかにあった。そのため、文化や技術は急激に発達し、ぐんぐんと国力を付けていった。しかし、日本は隣国の韓国でさえ、船で危ない航海を何日も続けなければならなかったため、文化や国力はのんびりと育っていった。技術が発達し、どこへでも簡単にいけるようになった今になってようやく競争という意識が芽生え始めたところである。自然界においても、同じようなことが起こっている。オーストラリアを思い浮かべると、見渡しきれないような広い大地にカンガルーやコアラといった動物が実に自由にのびのびと暮らしている風景が浮かんでくる。カンガルーのお母さんのお腹からヒョコっと顔を出す子カンガルーがとても愛らしく思われる。そこでふと現実に戻ってくる。カンガルーはまるでドラえもんのような四次元ポケットをお腹に装着している。あれは一体何なのか。生物学的にいうと、あれは、カンガルーなどの有袋類と呼ばれる特殊な動物にだけ装着することを許された袋である。お腹に袋がついている動物なんてとても珍しい。しかし、なぜ珍しいのか、なぜオーストラリアには有袋類がたくさんいるのかという謎に突き当たる。それは、オーストラリアが日本のように島国であることに関係する。日本が海外と直接の競争にさらされていないように、オーストラリアの動物たちも、海外の動物の進化の競争にさらされていなかったのである。だから、オーストラリアには有袋類という珍しい動物がたくさんいるのである。
 確かに、特許によって、新たな参入者に対する障壁を作るという、社会進歩に反するような特許の利用の仕方もある。しかし、特許は何もかもを規制するためにあるのではなく、私たちの社会をよりよくするためにあるのだから、特許の利点である、競争心と安定感をバランス良く生かして使っていくべきである。そうすれば、日本も今以上に進化していくだろう。

   講評   kira

 由希子ちゃん、こんにちは。完璧、うまいなあ。私の切り貼りのような説明の後で、こんなに流れるような文章が書けるなんて、感動です。
 小論文模試、その結果無視してよし! これだけ書ければ充分すぎます。
 資本主義の社会は競争社会。でも、私たちの生きている社会は同時に民主主義であって、平等の原理なんだよね。そこで、競争したいし、平等でもありたいという矛盾を内包します。その矛盾が、ちょうど今の日本にもあるんだろうね。特許を認めて急速に進歩していきたい。しかし、排他的な差別はしたくない。
 日本は地理的な要因でうまく均一な平等な発達を可能にしてきました。その特性を残して、そこに新しさや発展の要素を入れていけるといいですね。
 進級テストは文句なしの合格です。すばらしい!
      

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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