低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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日本人のボランティア精神 カノン
日本はアメリカなど諸外国に比べ、ボランティア精神が希薄だという意見がある。確かにアメリカ人には相互扶助精神が芽生えていて、人と人との結束が固いようである。しかし、日本でも募金活動や義捐金の呼びかけをすればすぐに資金が集まるように、助け合いの精神は充分にあるのである。ところが、ボランティアの必要性は誰もが感じているにも関わらず、私たちの生活の中に活動自体はあまり根付いていない。そんな社会の矛盾に私は問題があると思う。
第一の原因は、人々が毎日ゆとりのない生活を送っており、他人のことにまで目を向けている余裕がない点にあると思う。例えば日本人の労働時間は、二千時間を超えているという。その他、残業や接待や付き合いなどといった時間も加えたら、かなりの時間を仕事と隣り合わせの状態で過ごすことになり、自分自身の自由な時間が取れずにいる。学生にも同じようなことが言える。レベルの高い学校に進学するため、有望な企業に就職するため、明るい人生を送るため。そのためには、今自由な時間やゆとりがなくても仕方がないと思いこんでしまう人が大勢いる。人間とは悲しいもので、自分に余裕があってこそ、相手を思いやることができるのである。私も学校が主催しているボランティア団体に登録はしているものの、あまりに自由な時間がないので、疎かになってしまっている。反対に、今、年配の人々の間で地域貢献が盛んになっているのは、退職して自由な時間が出来たためだと考えられる。
第二の原因は、日本人の国民性が比較的消極的だという点にあると思う。物事の必要性を感じたらすぐに行動を起こすのがアメリカ人だとしたら、ボランティアをすべきだと考える人が沢山いても、『誰かが声をかけてくれるまで待っていよう』と周囲の人々の顔色をうかがうのが日本人である。日本人は、皆をまとめて引っ張っていってくれるリーダー格の人の存在がなければ、なかなか同じ行動が取れない。それは自然界でいう動物の群れで行動するのと同じ現象である。ゴリラやニホンザルといった猿の仲間には、必ずボスザルがいて群れをまとめている。日本人にも『さぁ、ボランティアをしよう』と呼びかけてくれるボスが必要なのだと思う。
確かに、人は自らの幸福ために自らの人生を費やすことは大切である。しかし仏教の基本原理に因果応報という考え方があるように、相互扶助の考え方が日本にも広く浸透しているのである。日本でボランティアを盛んにするにするのに、必要なものがあるとすれば、それは労働条件の改善であると思う。『綺麗な花の種も日光と水と空気がなければ開花しない』という言葉のように、いくら人助けをしたいという気持ちがあったとしても、条件がそろわなければ、なかなか実行できないものである。ボランティアは強制して行われるものではなく、人々の優しい思いやりから生まれるものである。日本人にボランティアの精神を定着させるのは困難であるなどといった見解は間違っているとはっきり言えるよう、私たちは努力していくべきである。
講評 jun
<第一段落>
日本人のボランティア活動についての問題点を挙げることができました。カノンさんの指摘するとおり、募金はしてもボランティアとなると一歩引いてしまう人が多いのが現状でしょう。
<第二段落>
自分に余裕があってこそ、相手を思いやることができるとはそのとおりですね。身近な実例も入りました。
<第三段落>
日本人の国民性について、アメリカ人と対比しながら、また、自然界の動物を例に挙げながら分かりやすく説明することができました。
<第四段落>
仏教の因果応報の考え方を示し、自作名言を入れながら前向きにまとめることができました。気持ちを行動につなげるためにはどうしたらよいか考えながら努力していくことが大切ですね。
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