国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   二十一世紀の宗教   カノン

二十一世紀は輝かしい時代だと言われていた。平和で希望に満ちた世の中になると誰もが信じていた。しかし実際は、冷戦の崩壊後、大規模な世界戦争は勃発しなくなったものの、依然として民族紛争が絶えず各国の睨み合いは続いている。それら多くの紛争に民族や宗教の問題が絡んでいることは言うまでもない。その中で最もポピュラーな紛争と言えば、パレスチナ問題である。聖地エルサレムをめぐるイスラムとユダヤとキリストの戦いだが、ユーモア的要素を含ませて言うのであれば、いい歳をした大人たちがお気に入りの場所を取り合っているということになる。簡単に割り切れないのが宗教問題の難しいところであり、多くの紛争は何年も何十年も続く長期戦となっている。私は、人類がその状況に対してなかなかよい解決策を見つけ出せないまま、戸惑い、行動できずにいることに対し問題意識を感じる。
第一の原因は、話し合いで解決できなかった場合、次に起こすのは武力行使であるからだ。問題解決に武力の文字がでてきてしまうと、事態が良い方向に進むことはあまりなくなってしまう。かつてバビロン王国の王ハムラビが制定した法典の中に『目には目を、歯には歯を』という言葉が記されているが、害を与えられたらそれに相応する報復をしてしまうのは仕方がないことであり、一方が武力をもって攻撃されたから、もう一方も武力で対抗するというのは当然の行為と言って良いと思う。しかし総攻撃が始まってしまったら、もうお互い後に引けなくなってしまうのは明らかである。そうなるとどちらかが白旗をあげるまで戦いは続き、両者ともに大きなダメージを受けてしまうのである。私も幼い頃、隣の席の子と叩きあって、痛い目にあった思い出がある。しかし、やったからやりかえすというのは、それこそ小さな子どものすることで、あまりに大人気ない気もしてしまう。『やられても自国だけは攻撃しない』とそれぞれの国が決意していれば、戦争など起こらないと思う。
第二の原因は、どの国の人々もどの宗教に属する人々も、自分たちだけは良い思いをしたいと強い自己主張をしてしまうからだ。パレスチナ問題をもう一度引き合いに出してみたい。聖地エルサレムをめぐって三大宗教が争っているということは、どの宗教にとってみてもその地は大切な場所であるに違いはない。確かにそれぞれの主張があり、こちらの宗教のほうがこの地にふさわしい、だとか自分たちの聖地に他の宗教が入り込んでくるのは気に入らないなどといった意見がでてくるだろう。しかし思い出してもらいたい。小さい頃学校で教わらなかったのだろうか。『一つしかないものはみんなで仲良く使いましょう』と。宗教問題を馬鹿にしているのかと怒鳴る人がいるかもしれないが、要はどんなことでも最終的には道徳的問題に辿り着くのである。エルサレムという一箇所しかない地を不特定多数の人が使いたいのならば、武力を用いずに話し合いで決めるしか方法はないと思う。もし自然界の植物たちが、ここの地に生息したいから絶対に動かないぞ!などと主張したならば、その植物は滅びてしまう可能性も出てくる。自然界で生き残るためには、ここが駄目ならあちらといったように、多少の妥協が大きな決め手となる。人間界でもこのような妥協をせずに戦争ばかりしていたら、いつか本当に滅びてしまうのではないだろうか。
確かに自分たちの宗教を信仰し、聖地を大切に思うことは良いが、しかしそういった思い同士がぶつかってお互いが血を流すのはいかがなものかと思われる。世の中には多種多様な宗教があるが、どの宗教も憎しみを教えるためにあるのではなく、仁愛の心を教えるためにあるのである。意地や自己愛を捨てもう一歩踏み出すことができれば、輝かしい未来はすぐ目の前に現れるのではないだろうか。

   講評   jun

 パレスチナ問題の例を挙げ、宗教紛争の問題点を考えることができました。二十一世紀は平和で希望に満ちた世の中になるどころか、人類は引き続く民族紛争を阻止することができずにいます。その原因についても二つ挙げることができましたが、どちらも基本的なことであるにもかかわらず、なかなか改めることのできない点でもありますね。それは、人々の心情の問題だからだと思います。それぞれの原因にわかりやすい体験実例及び自然科学実例を入れたところもいいですよ。ただ、隣の席の子と叩き合ったという実例はカットするか、考察を入れながらもう少しくわしく描写するかした方がいいと思います。最終段落は、反対意見への理解を示しながらも宗教の本来の意味を考えながらまとめることができました。
 新年最初の作品から88点という高得点。いい滑り出しですね。今年もこの調子でがんばっていきましょう。

   

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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