国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   工業化   マメウシくん

産業革命以来、機械は、人びとの生活を、豊かにする、打ち出の小槌の役目を果たすものだと思われてきた。そしてその進歩はイコール人類の幸福につながるとも信じられてきたのである。過去100年もの間、わたしたちは、何の疑いもなくそれを信じてきた。その信仰が、間違いではなかったことは、人類が、ついに月に到達することによって、証明されたかのように見えた。まさに科学の勝利を確認する成果だったわけである。そうした背景にたったとき、何よりも頼りになるよりどころは、工学的なものの考え方であったし、また、そう信じずるのが当然の成り行きでもあった。そして数量的に証明できるものこそに、真理があり、それのみが正しいとする考え方が、広く行きわたっていったのである。だが、最近になって、それだけが全てではないということが、反省されるようになった。経済の高度成長下にあっては、その目的を達成する一番有力な武器は、工学的な発想と、工学技術であった。だがいまやその行き過ぎがいろいろな面で見直されようとしている。それを補うためのもっとも有効な、方法の一つとして挙げられるのは、生物学的な発想だろう。「20世紀は機械文明の時代であったが、21世紀は生物文明の時代になる。」というような言葉が使われている。これもまた、そのことを、示唆すると見てよいだろう。考えてみると、われわれの生活の大部分は、生物的な好みで、良い悪いを判断していることのほうが多い。夜になると、人間は、原始に戻る。冷たい無機質の材料で囲まれた、舞台装置のようなインテリアよりも、木や木綿のような素朴で、どこか泥臭い自然の材料の中に、何か、人間の本質といったものが潜んでいる事に気がついたのである。それは理屈というよりも、生物的嗅覚と言ったほうがあたっているかもしれない。            その証拠に、今、都心に住むのが流行ではあるが、私の先生のデータによると、住みたいところの、ナンバー1は、神奈川で、住みたくないところは、東京だそうだ。都心の方に行けばいくほど、自然の緑が減る。いわば、反比例にあたるわけだ。要するに、ジャングルは、ジャングルでも、コンクリート・ジャングル、機械化の進みすぎた場所ともいえる。機械化、ココで言う工業化が、いいのか、わるいのか。私には決められない。善悪は、見方によってかわる、とでも言おうか。工業化には、いい面と悪い面、二つの顔があるような気がするのだ。 確かに、工業化によって、たくさんの人が救われた。世間で、障害者と呼ばれる人たちが、趣味に興じる事ができるようになった。しかし、出口のないトンネルはない、という名言があるように、栄華も一瞬のうちに過ぎていってしまう。いくら便利だからと言って、それだけに執着していてはいけないと思う。

   講評   baba

 まめうしくん、こんにちは。1000字という字数に慣れてきたようですね。おもしろい意見が今回もてんこもりです。

<構成>
 複数の理由はしっかり提示できましたね。「夜になると、人間は、原始に戻る」という一文に思わずうなずいてしまいました。
<題材>
 駅に近くて便利な都会のマンションは実際に暮らしてみるとストレスがたまる、たまる! 洗濯物を干せば排気ガスで真っ黒になるし、夏はコンクリートが熱をためこんで夜でも気温が下がらず、夜は輸送トラックの暴走する騒音。いやはや、本当に住みたいのはやっぱり生物の多いところですね。
<表現>
 「出口のないトンネルはない」という名言を「栄華も一瞬のうちに過ぎていってしまう。いくら便利だからと言って、それだけに執着していてはいけないと思う」という意見に結びつけたのはお見事!
<主題>
 よいのか悪いのか分からないという主題もOKです。物事はいいか悪いかのどちらかに分けられるものではないのですね。そのことを自然に知っているマメウシくんはすばらしい才能の持ち主です。物事を多角的に見ていく力を養いつつありますね。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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