創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   豊かということ   ミュウ

 戦後の日本は、どちらかというと物資が豊富である。ほとんどの家の中には、電化製品を始めとし、木製品や衣類、食料等、様々な物がある。そんな日本は、物質的な豊かさという観点では、豊かと呼べるかもしれない。高価そうなテレビや冷蔵庫等の粗大ゴミが、不法投棄として捨てられる程、有り余っているぐらいだからである。また、日本は数値的でも豊かな方かもしれない。金銭が豊富なのである。金銭の使用方法を間違えても、あまり気にしない程である。欠乏していれば、もっと丁寧に扱うだろう。だが、本当の豊かさとは一体何だろうか。物資が有り余るほどあることなのだろうか、それとも数値が両手一杯にあることなのだろうか。
 確かに、品物は山ほどあって良い。なぜなら、生活しやすく、快適だからだ。アレクサンダー・グレアム・ベルの発明した電話は、遠かろうが近かろうが関係なく交信できる、一種の便利な通信手段だ。1世紀以上前に発明されてから、現在では世界各国に普及している。他にも、なくても生活できるが、あった方が便利な商品はある。パソコン、扇風機、ストーブ等。勿論、電化製品に限定しない。棚、テーブル、ジャケットも当てはまる。例示すれば切りがない。だが、日本中が製品で溢れているということは、その分豊かなのである。
 しかし、お金もなくてはならない存在だ。新潟県中越地震やスマトラ沖地震津波では、日本企業や海外著名人が多額の寄付をし、支援を行った。寄付がなければ、復興は始まらず、停滞してしまうのである。災害に見舞われた際以外の普段の生活でも、お金は必要不可欠である。売買が不可能になるのだ。だから、お金があればあるほど大量に物資を買え、豊かになるのである。金銭だけではない。他の数値的なものといえば、個数というものも挙げられる。例えば、飴玉は一つより二つ、二つより四つ、四つより沢山あった方が頬がゆるむだろう。もっと大袈裟にいえば、人口が多い方が財物の生産率が向上することでもある。多量に生産出来れば、その分豊かになるのである。
 確かに、品物や数値的なものは、あると便利で、沢山あれば豊かさが現れてくる。けれども、物質的な、そして数値的なものを望むということは、それらに対して飢餓感があるということである。だから、真実の豊かさとは「やさしさが、性格の弱さであってはならない。」という名言のように、精神的な豊かさである。優しさ、愛情、友情、感謝、嬉しさ、思いやり。これらの気持ちが胸一杯に広がれば、心が満足し、豊かだという証拠である。私はオーストラリアに赴いたが、そこは水に乏しかった。けれども、ホームステイ先の家族の方々は、そんなことにお構いなしに、明るい家庭を築き上げていた。週末には周辺を案内してくれた。それ程、豪州の方々の心は生活に対する満足感で一杯なのだろう。こちらも幸せな気分になるぐらいだ。胸中内が富裕な人は、周囲の人々の胸中も裕福にするのかもしれない。<<総合化>>

   講評   nara

 おお、よくまとめられたね。数値で表されるもの・数値の重要性をしっかり述べた上で、それが唯一の判断材料かと論を展開していったのは、うまく成功したね。結局のところ、近代化は効率を目指していて、効率は数値によって示される。数値によって表される指標を、近代からずっと私たちはわかりやすい物差しとして、ずっと追いかけてきたということだ。今は近代か? 答えはNOだ。
 残念ながら、数値を追いかけても、いつまでも「これで満ち足りた」ということにはならない。近代的な指標では人の心は満たせないということになるのだね。このことを、まとめの段落の「物質的な、そして数値的な……」で鋭く指摘できた。だからこそ、「真実の豊かさ→精神的な豊かさ」は数値的ではない、ということも是非加えておきたい。「数字で計れるか否か」がこの論の一番のポイントになっているのだからね。
 最後の「胸中が裕福な人は……」の部分の反対例として、物質的な数値的な飢餓感を蓄えている人が、他者にどんな印象を与えるのかなども加えておくとおもしろそうだなぁ。日本がこれから目指すべきものも、より明確に見えてきそうだね。

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