国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   優しさ   すみすみ

 一流ホテルのロビーには、大抵いわゆる「田舎者」用に騒がしい男女の一群がたむろしている。こうした人たちは、あらかじめホテル側が雇ったモデルで、周囲のホテルのロビーに慣れない人たちのためのものだ。そこで「田舎者」達は一流ホテルのロビーでの振る舞い方を学習する。例えばボーイをさりげなく呼ぶやり方であり、トイレの場所を聞くやり方である。そしてそれらを完全に体得し、「田舎者」度をすっかり払い落とすと、ボーイが待ち受けて「一流の」客を雇ってくれる。
 自分らしさは大切だ。自分の個性や嗜好の主張を通してより率直に自分の気持ちを伝えることが出来るからだ。例えば結婚式の席でも、着たくもない制服や堅苦しい洋服を着て自分自身が浮かない気分になるよりは、本来の「自分」の服を着て気持ちをプラスの方向に持って行った方が良いだろう。服に限らず、自分の好きなものを身に付けた方が気分が落ち着くし、心に余裕が出来る。余裕は寛容さや優しさを生む。自分が寛容になれば、相手の気持ちも解れるだろう。これは結婚式などの華やぎのある席に限ったことではない。お通夜やお葬式などの喪の時にも言えることではなかろうか。特に自分が他人の喪の席に行く場合には、これが最も大事になると思う。その人が亡くなったことで一番悲しんでいるのはその人の家族である。人の哀しみの度合いを比べるのは陳腐な事だと自分でも思うが、やはりそれは事実としてあると思う。そんな悲しみのどん底に居る時、せめて他人だけでも柔らかな気持ちで居れば、少しは当事者にとっての慰めになるのではないか。
 しかし、その場に応じた振る舞いも大切だ。いくら自分が一番落ち着けるスタイルだからといって、お葬式に赤や金のネクタイをしていくのはおかしい。参列者の神経を逆撫でするだけだ。2年くらい前の話になるだろうか、私の家族は一家で温泉旅行に出かけた。旅先の老舗旅館のいかにも老舗らしい木造りのロビーで、浴衣姿の湯上がりらしい男女がたむろして立ち話に耽っていた。次の瞬間、スーツに身を包んだ男性の姿が私の目に入った。さも高級そうなアルマーニだかなんだかの細身の上下に高そうな時計をはめて、落ち着かない様子だ。皆がリラックスした緩やかな雰囲気の中で、それは明らかに異質に映った。別に直接的に他人に迷惑をかけているわけでもないし、私にそれを否定する権利もないが、その「スーツの男性」の存在は明らかにその場のバランスを崩れさせていた。
 自分らしさもその場に応じた振る舞いも、どちらも同じくらい重要な事だ。しかし一貫して言えることは「大切なのは、健康そうな外見ではなく、健康自身である。」という言葉のように、心からの優しさを持って相手に対することである。昔話の浦島太郎も、亀に優しさの心を持って接した結果、竜宮城で楽しく生活した。人への優しさは、結局自分にも良い結果をもたらすのだろう。<<総合化>>

   講評   kamo


 今回もまたすばらしい作品に仕上がったね。最近、字数の目標を意識して書いてくれている(?)のか、ボリュームもかなりあって、大変読み応えがあります。これは、やはり題材を充実させなければできないことなので、準備に時間もかかることだと思います。がんばっているね。
 『講成』……「複数の意見」の書き方はもちろん、文句のつけようのない組み立てです。要約も、当たり前のようにできているけれど、本当に上手だね。
 『題材』……電話でも話してくれた、異質な存在のスーツ姿の男性。きっと自分でもその中に身を置いたときに気がついたのだろうね。落ち着かない様子が目に浮かぶようです。
 浦島太郎の話は、うまく書いたね! この書き方は思いつかなかったなあ。第2、第3段落に入れるより自然だよね。さすが。
 『表現』……名言はバッチリ。これもうまく入れたね。
 『主題』……総合化もいい形。「一貫して言えることは……」という書き方もいいね。「心からの優しさ」という、もしかしたら陳腐になってしまうような言葉も、この意見文のレベルの高さによって、非常に深いものに感じられます。よくできました。

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