創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   己の価値観   たこ焼き


 私達の支配者は過去の時代のように名前を持った権力者ではない。中世日本にあった「幕府」の権力者や、ナチスドイツのヒトラーと言った人々は、膨大な支配力を蓄えていた。しかしながら、近代というものは第一次・第二次世界大戦と言った全世界を巻き込んだ地球全面戦争の反省を生かした結果、一人の権力ではなくて、多数で話し合った結果の政策を実行しようとしている。つまり、この世界には名前を持った権力者と言った者は生存しているはずがない。金正日と言った人の権力は北朝鮮だけで途絶えてしまっているからである。その代わりに、時代という大スケールな物が私達を動かしているのであろう。長文に載っているように、今の時代の私達の欲望は、今の時代の価値観に左右されている。しかし一見逃れることが出来そうに見えても、大自然の中に行ったとしても、その価値観から逃れることは不可能なのである。どんなにどんなに藻掻いても、身に付けている物はその時代の文化で作られた衣服であり、人間の手で作られた物である。 先ほど、価値観という言葉が登場した。自分自身の価値観に従って生きる事は大切だという考え方がある。先日、三年生を送る会(以下、三送会)が催された。一年生の出し物で、○×クイズが行われた。その最終戦では、一人が○で他の人は全員×の札を上げたことがあった。制限時間が迫るに連れ、全員が×を掲げていたので×にした人がほとんどであったが、己の考えを貫いて(?)○のボードを掲げた先輩がいた。結果として、○のボードを挙げた先輩が一人で優勝してしまったが、周囲に惑わされずにした行動は素晴らしかったと思う。
 さらに、この話を書いている途中にふと頭の中を過ぎったのが幕末京都で活躍した「新選組」である。彼らの最初の目的は、上洛する将軍徳川家茂の護衛と、京都を騒がせている尊皇攘夷派の浪士らを抑えるというものであった。しかし、これは出羽国庄内藩の郷士清河八郎の策略であった。そのため、故郷に戻ることになるのだが、京都に残留したメンバーが新選組となったのである。会津藩お預かりとなった新選組は、幕府のために薩長土肥と言った浪士と闘った。もはや時代の流れは薩長にあり、何れは先のない人生を歩むにせよ、最後は蝦夷において幕府のために闘い続けた。彼らが現代人に好まれる理由は、一つの事に若者が全力投球したこと。そして、「誠」の一文字に刻まれた彼らの思いであるだろう。特に副長土方歳三は局長近藤勇が捕らえられた後も、新選組を引っ張っていった。武器は刀からすでに新兵器鉄砲へと代わった。薩長土肥が世界の流れを掴んだのを期に攘夷から倒幕へと思想を変えたのに対し、時代の流れがわかったとしても最後まで攘夷を背負い思い続けた新選組。時代の流れに逆流したが、尚自分自身己の考えを突き通した新選組を、私達は見直さなければならない所がたくさんあるだろう。
 しかし、時代に逆らっていたばかりではいけないという意見もある。その時代の価値観に合わせて行動することも大切だろう。もし、弥生時代女王卑弥呼の所にハンバーガーが舞い降りてきたとしよう。(笑)卑弥呼は恐らく、敬遠するのではないだろうか。または、それ以上にすぐ捨ててしまうかもしれない。(笑)弥生時代は、ソースと言ったら塩や酒を付ける程度で(多分)甘みがない。現代人は、弥生時代の食事より到底ハンバーガーの方を好むが、当時は米に松の実や魚や猪等の肉と言うような物のようが高価だったのだろう。ハンバーガーは今の時代に誕生したからこそ愛されているのである。
 確かに、新選組のようなチームがいなければ、スムーズに倒幕が上手く行き過ぎて、新政府はもしかすると上手くまとまらなかったかもしれない。また、時代の風潮を考えなければ、ぴたりと当てはまらなく浮いてしまうこともある。そのため、自分自身の価値観に従って生きることも、周囲の価値観に合わせることも、両方大切だ。しかし、一番大切なことは「未来には、一人でにできる未来と、自分で作る未来との二つがある」という名言があるように、総合化すると今のことだけを考えるのではなく、未来の価値観を自らの手で作っていくことではないだろうか。

   講評   nara

 なかなかの高得点だね。今回は、「今・現代の価値観は、どれだけ根拠のあるものか」ということがテーマになっている。私たちの欲望や目標は、自らの中から湧き出ているように思いがちだけれど、実は、他者が植え付けているものも多い。いや、ほとんどがそうなのではないかということね。よくあるのが「今年春夏の流行○○」というニュースや雑誌記事。流行しているものの紹介ではなく、まだ流行もしていないのに「流行するよ」と言っているのは、明らかにそうさせたい意図があってのもの。
 この話題から新選組に話をつなげたのはうまかったね。彼らには、「時流を読みきれなかった」という否定的な評価が下される一方で、今もって熱心に信望する人たちも多い。なぜ、人をひきつけるのかという分析がしっかりできているね。
 時代に逆らうことのマイナス点もおもしろい題材を見つけ出せた。なるほど、ハンバーガーはいかにも現代的だ。卑弥呼の時代までさかのぼらずとも、200年くらいで「これは何?」ということになりそうだね。
 価値観は、後づけされることが多いけれど、「未来の価値観を自らの手で作る」という未来志向のまとめはいいね。未来を我が手で作り上げるためには、過去に学ぶという側面も大切だ。現在・過去があってこその未来だものね。

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