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　　　ドキドキはらはら初オーディション　　　オーロラ

　「アン、ドゥ、トロワ」（書き出しの工夫）
バーレッスンが始まりました。今日は、ジャパンバレエ「キッズドリーム」のオーディションです。私はこの日インフルエンザで３９度ほどの熱があったので、受かるかどうか不安でとてもあせりました。私にとって初めてのバレエ団のオーディション。受かれば、有名な先生方や、あこがれのお姉さんと同じ舞台に立てるのです。でも、バーレッスンのときも、体を前へたおすだけでも頭がクラクラしました。まるでフワフワ雲の上にいるみたいでした。バーレッスンを見ていてくれた先生にも、いろいろ注意されたけれど、そのとおりにちゃんとできているかどうかすら分かりません。私はとにかく言われるままにやりました。
　ふりつけに入ると、さあたいへん！　いつもなら簡単に覚えられるはずのことがなかなか覚えられません。そのうえ、ジャンプをすると頭にジンジン来て、ふりうつしの練習はそんなに上手にできませんでした。こんなので本当に受かるのかなぁ……。
　けれどもオーディション本番は、そんなことは考えるひまなんてありません。とにかくニコニコ元気に笑って踊りました。そのときは、すでに顔は熱くて真っ赤で、まるで太陽みたいでした。照明がまぶしくて、目が開けられないほどです。１曲目が終わったときには、もうよれよれでした。でもまだ２曲目があります。もう笑えないほど、元気がありませんでした。でも、できるだけ元気に笑うようにしました。終わったときはたおれそうでした。
　着替えているとき、いっしょに受けた同じ支部教室の友達と
「あーあ、つかれたーーー。」
「ぜったい受かんないよねー。」
「でも、受かんなかったらきょうかちゃんにしかられるよ。」
「でもさー、もし受かって毎日これが続いたらたまんないよねー。」
そんなことをたくさんしゃべっていました。私はやっと少しリラックスしてきました。
　終わったら、お母さんが心配そうに
「だいじょうぶ？」
と聞いたので私は
「うん、つかれたー。」
と言いました。そのとき私は、アルプスの少女ハイジみたいに顔がほてっていました。
　その週の土曜日、私がバレエ教室に入ると、きょうかちゃんたちが大はしゃぎしていました。もう、私はその時点で自分が受かっていることがはっきり分かりました。きょうかちゃんは先生から
「まだ言っちゃだめ。」
と言われていたそうです。でも、きょうかちゃんはそれをおさえきれなそうでした。更衣室から出てきた先生が、お母さんと話し始め、きょうかちゃんたちに
「もういいよ。」
と言うと、きょうかちゃんは真っ先に私に飛びついてきました。
「おめでとう！！」
きょうかちゃんたちは、まるで自分のことのように喜んでくれたのです。私はこのとき、とてもうれしかったです。先生も、お母さんに
「すごいですねえ、応援団が。」
と、笑っていました。
　応援してくれる人のためにも、これからバレエをがんばっていきたいです。バレエ、がんバレエー！（笑）

　　　講評　　　nara

　テストやオーディションのときには、一番いい状態（じょうたい）で取り組めるといいけれど、オーロラちゃんみたいに体調をくずしてしまうことも、実はけっこうあったりするのだね。しかし、合格するときはするものなのだなぁ。どんなに体調がよくてバッチリできたと思っても、だめなときはだめ。テストやオーディションとそれを受ける人には、相性（あいしょう）があるのだと思うよ。合格おめでとう！
　バーレッスンからオーディション本番まで、だんだん調子も悪くなって、気持ちも体もつらかったね。特に、高熱があると頭がぼぉっとするのがたいへんだ。インフルエンザだと関節（かんせつ）も痛かったでしょ。それでも合格したということは、これから練習して万全（ばんぜん）のじょうたいで本番にのぞめたら、すばらしいおどりができそうだなぁ。つらさの説明がていねいに書けているね。
　大好きなきょうかちゃんの様子を見ていたら、もうすべてがわかったのね。きょうかちゃんは、本当のお姉さんみたいだなぁ。バレエの先生が言ってくれた言葉は、何だかくすぐったい気がするね。オーロラちゃんの一生けんめいなところや、すなおなところが、応援団を増やしているのだと思うよ。応援は、これからもがんばるための、大きな力を与えてくれそうだ。
　最後、大笑いしてしまったよ。オーロラちゃんはダジャレもうまい！　先生がこういうまとめをしようとすると、ネタがばれバレエ〜。さすがは、お笑い大好きなオーロラちゃん。