国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   世の中○○だ   しっぽ

 私たちにとって心とはなんだろうか。世の中で物が豊かになっていく一方、心に対する意識が希薄になってきている。例えばニュースを見ていると、毎日誰かが殺され、非道な行いが淡々と報道される。これは、現代の人間が心を軽視した結果である。習慣化した事件に、私たちはあまりに慣れすぎている。また、表面ばかりを重視して、内面を見出す力も衰えてきている。いくら自分自身を取り繕っても、心の貧しさは隠すことができない。社会全体がこういう状態になってしまった原因は一体何だろうか。
 第一に考えられる原因として、戦後の物不足からの急速な復興がある。私の父は、終戦後5年目に生まれた。まだ周りには何もなく、肉などは食べたことがなかったという。幼少時代を自給自足の生活で過ごしていたが、やがて父の住む田舎にも文明の象徴と思われるものが現れてきた。私には父の昔の生活というものが全く想像できないが、まさか同じ人間がこのように全く違った生活を送ることになるとは誰も想像できなかっただろう。しかし、その発展と共に、人々も変わってしまったと父は嘆いた。以前のような隣人関係の結びつきは弱くなり、助け合いの精神などは忘れられた。皆が自分自身のみの損得勘定に任せて行動する。窮地に陥った人を、捨て身で救済しようとする人間は、もうヒーロー物語や綺麗ごとの中にしか存在しないのだろうか。
 また、第二に資本主義社会である世界で、最も価値のあるものが、金銭的に換算されるもののうち最も高いものであると定義されていることだ。最近「やっぱり世の中愛より金よね」という言葉をよく耳にする。私の母も「顔はどうでもいいから、金持ちと結婚しなさい」とよく言う。私も、多少財産がないと愛なんて語っている暇はないと思う。それを兄に話したところ、兄は「一般的にはそうだけど、実はそうじゃない」などとわけのわからない態度をとられた。しかし、最近になって私は兄のような考え方になった。金に心を奪われてしまった人や、金の量と権力が比例すると思ってる人はつまらない。家柄や財産で人間は決まらない。大切なのはその人の人格と愛である(笑)。
 確かに、金銭的な富は、人間としての充実した生活を送る上では必要なものだ。金さえあれば私達はどこにでも行けるし、なんでもできる。自分の小さな可能性を見出し、伸ばして、それを発揮できる。しかし心はなかなか動かない。周囲に流され、本意のままに動けない。自分の欲望を満たすという面で、金は充実した生活を送る糧となる。しかし、心は本当に満たされているのだろうか。心身共に充実した生活を送るには、やはり金だけではカバーしきれないものがある。そんな時に必要とされるものは、どれだけ行動したかではなく、どれだけ心を動かしたかを重視することだ。

   講評   nane

 問題提起のところが、ちょっと書きにくかった。「物は豊かになったが心は貧しくなった」ということは、よく言われるが、実際にそういうケースは多い。たぶん、世の中が、目に見えるものだけを重視してきたからだと思う。学生で言うと、成績のように数字で表されるものだけが評価され、数字で表せない人柄のようなものは無視されてきた。これからの世の中は、心をもっと大事にするようになってほしいね。
 お父さんの実例は、いい話。戦後から今までの日本の変化は劇的だったから、同じ時代とは思えないぐらいだね。
 お母さんの実例は、ユーモアがあって面白い。「顔や心よりもお金」という意見は、一見わかりやすく思えるけど、実は人間はそれほど単純ではない。本当は、両方あるのがいちばんだけど。(笑)
 「どれだけ行動したかではなく……」は名言のスタイルだけど、「行動」ということだとその前の話と微妙にずれるか。
 今回は、素材語彙も豊富で、難しい言葉もバランスよく使われていた。文章に高校2年生らしさが感じられる。

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