低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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現実は甘くないんだ えせち
「すみませーん。」
ぼくの声は小さくて誰にも聞こえていません。「しょうがないけど自分で乗り移るしかないかな。」その時、アニメみたいに簡単に飛べるような気がしていました。(書き出しの工夫)
去年の夏休みに横浜から新島・大島へ10日間の航海練習に参加した時のできごとです。(前の話)お父さんとお母さんは後半参加するのでお父さんのヨット仲間とぼくだけが先に出発しました。そこで色々と海で生活する規則を決めました。まず子どもひとりで勝手な行動をとらない事と手伝いをたくさんする事とヨットの装備を勝手にさわらない事などです。それからクルーザーヨットを岸壁に係留させたときキャビン内のトイレは使いません。だから、おとなと一緒にヨットをつなぎ止めているロープを引っ張ってたぐりよせて岸壁にあがり近くのトイレに行きます。行く時は手伝ってもらったのでうまくいきました。しかし、トイレから戻ってきた時ぼくのまわりにおとながいなかったけど簡単にヨットによっと乗れそうな気がして(ダジャレ表現)あぶないからやっちゃいけないと言われていたことを挑戦したくなったのです。(自分だけがしたこと)まずロープを波の動きに合わせて引っ張るとヨットは楽に岸壁にやってきました。まるでぼくひとりで運動会の綱引きに勝ったみたいです。(たとえ)それから両手でライフラインをつかんで片足を乗せようとした時ぼくの足は短かすぎました。あっ、と思った瞬間ぼくは鉄棒にぶら下がっている状態になってしまい筋肉番付の選手みたいにがんばってもうだめ〜海に落ちる〜ともがいていると、となりのヨットのおじさんが「こどもがぶらさがってるよ〜。」とぼくたちのヨットの艇長に声をかけてくれました。あわてて艇長はやってきて子ねこをつかむみたいにぼくの首の後側のえりをぐっとひっぱりあげました。それからぼくはたくさんしかられました。「そんなにおこらなくてもいいじゃない。」とぼくは心の中でプンプンおこりかえしました。
数日後、お父さんとお母さんがやって来ました。ぼくはヨットから落ちそうなった事を話すと「しかられて、いい勉強になったね。」とお父さんはニヤニヤ笑いました。その夏、ぼくは真っ黒に日焼けして背がだいぶ伸びました。(動作情景の結び)
講評 kan
こんにちは、えせちくん。今回も素晴らしい作文ですね。新しい項目も難なくこなしています。正直なところ先生は舌を巻きました。自習もしっかり続けているようですし、がんばっていますね。
えせちくんの名前からも海を連想できますが、ご両親がともにヨットが趣味なんて素敵なことですね。海での体験を書いてくれたわけですが、約束を破って一人でヨットに乗ろうとしたときの心の動きが大変詳しく書けています。また、失敗したときの様子も映像を見ているようにイメージできますね。
<書き出しの工夫>会話で始めてみてね、とお話しましたが上手にできましたね。次はどんな展開なのかな? と期待させるよい書き出しになりました。
<自分だけがしたこと>やってはいけないと言われていたけれど、簡単そうだしついやってみたくなったのですね。その気持ち、先生にもよくわかります。たいてい失敗に終ってしまうのですが……。
<たとえ・ダジャレ>たとえは言うことなし! えせちくんはほんとうにたとえの名人ですね。「筋肉番付の選手みたいに」「子ねこをつかむみたいに」などもおもしろいたとえになっています。それからダジャレにも挑戦してくれましたね。こんなふうにひらめいたらぜひ使ってみてね!
☆会話を書くときは行をかえてみましょう。
となりのヨットのおじさんが「子どもがふらさがってるよ〜。」とぼくたちのヨットの艇長に声をかけてくれました。
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となりのヨットのおじさんが
「子どもがふらさがってるよ〜。」
とぼくたちのヨットの艇長に声をかけてくれました。
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しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。
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