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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   死   A.L

 人間は、これまでありのままの世界を否定し、それを人間にとっての世界へと転化して、自己の可能性の領域を拡張してきた。その人間にとっても、死だけは最近まで、無意味な喪失であり続けてきた。だがテクノロジーは死を壁際まで追い詰め、ついにその領分から生に回収しうる部分を取り戻すにいたった。核兵器や遺伝子工学が象徴するように、現代のテクノロジーはもはや人間の道具におさまる範囲を超えて進んでいる。私は、人間には現代科学の進歩を制御できる精神的な強さを持つべきであると思う。
 それには、もっと死を身近に感じる必要があると思う。昔は自宅で死ぬというのが多かったそうであるが、最近は病院のベッドで死ぬというのが多くなり死をあまり身近に感じなくなっている。
 また、歴史上の人物から志を貫く強さを学ぶことも必要である。フランス革命直後の数学者にガロアという人物がいる。ガロアが数学を学び始めたきっかけというのは、留年をしたことである。同じ勉強を2度するのはつまらないので、それまで勉強していなかった数学を勉強したというのである。そして、数学に熱中し才能を開花させたようである。しかし、受験に失敗したり、父が牧師に殺害されたりと不運であった。さらに、フランス学士院や科学アカデミーの数学賞などに論文を送ったりしたが、高校生のものであるからといって捨てられたり、紛失されたりと、その業績を評価されることはなかった。結局、共和党員であったガロアは国民軍に入り、最後は秘密警察の陰謀とも言われる決闘によって命を落とした。その決闘の前日、死を覚悟したガロアは数学の研究について書かれた遺書を徹夜で書いている。
 たしかに、科学技術の進歩によって社会は豊かになっている。しかし、「唯勤慎知行にあずけて、死して後止むべきなり」という名言があるように、科学を行使する精神的な強さが必要である。

   講評   kira

 ALくん、こんにちは。科学と人間の関係。ALくんにとっては最も身近な問題ですね。
 科学はその進歩の裏側で「科学的でないもの」を否定してきました。だから人間の感情といったあやふやなものは軽視されてきたのです。
 その中で「死」が遠ざかり単なるイメージとなってしまった。医学はまるでロボットを治すように人間のパーツを研究していった。先端技術は、それが自然や人間を破壊する怖れもあると知りながら発明を続けた。専門化することで、責任が薄れていったかのようですね。
 だからといって、今、科学を否定したり捨て去ることはできない。今までとはちがった科学のあり方を模索していかなければならないようです。その時に必要なのが「精神力」なんだね。
 ALくんの「科学」への志向に影響を与えたのはガロアの生き方なのですね。同じ高校生時代。ALくんも自分の学問に激しく迫っていくんだね。
  

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