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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   濃い口な関係   たば星人

 現在は普通の人が普通にサングラスをかける時代だ。人々がサングラスをかけている人に関心を向けないことで、その「隠れ蓑」としての役割をよりさりげなく生かすことが出来るようになった。筆者はこのことを、現代人が対人関係の煩わしさから逃避している事の表れだとしている。確かに、昔はそうだったのかもしれない。しかし最近の段階に来て、サングラスはファッションと化した。自分を格好良く見せるための道具となって、いわゆる「隠れ蓑」としての機能はほとんど失われたようだ。逆に自分を周囲にアピールし、魅せることが目的の主眼になりつつあるように感じる。これは、人間関係を求めていることを表しているのではないだろうか。
 では、なぜ人間関係から逃避していた人々が逆にそれを渇望するようになったのであろうか。その一つの理由に、昨今の人間関係があまりに希薄になったので、人々がそれに耐えきれなくなったということがある。インターネットやメールの普及によって、相手の顔を見ず、声も聞かずコミュニケーションを取ること可能となった。しかし、それによって人は相手から問いを受けてから答えるまでに何を答えるかを考えられる間を持つようになった。要するに「演技」することがより容易になったのである。このことは、トラブルを減らすという意味では良いのかもしれないが、人間味はより薄くなったと言えるだろう。私も友達とメールを交換することがある。メールを受け取ってから出すまでに書くというクッションがあるために、どうしても相手に都合の良いように書いてしまう傾向がある。さらに、顔や声が解らないから、より大胆になる。それは、素の自分ではない。そんな薄い人間と接し続けた人々は飽きてしまったのだ。そして、もっと濃い生の人間を求めだした。
 もう一つの理由に、国民の意識が「物の豊かさ」より「心の豊かさ」を求めるという方向に変わってきたことがあると思う。読売新聞の2002年の世論調査の中で、「豊かになるためにはどんな苦労をしてもよいと思う」か「お金のために無理な苦労はしたくない」かという質問があった。結果は後者を選ぶ人が73%に登るというものであった。国民は、心が豊かになるような生活を求めている。そのためには、自分をより外に出して、人に自分の存在を解ってもらうことが必要だ。その上で、密に関係を作ることで心の豊かさが達成される。だから人々はサングラスをかけ、自分の存在をアピールするのではないだろうか。
 確かに、自分を薄めて客観的に物事を眺めることも時には必要である。しかし、「個性」や「心の豊かさ」が叫ばれる現代では、そればかりではいけないのだ。自分という物を人に分かってもらえるよう努力して、積極的に人間関係を築けることがこれからの時代では必要になるだろう。「君子の交わりは硬きこと岩のごとし」(自作名言)ぐらいを目指してちょうどよいのではないだろうか。

   講評   kan

 こんにちは、たば星人くん。森リンでも高得点をたたき出すことができましたね。独自の視点で考察した、大変よい内容になりました。課題文はただ読めばいいのではなく、今回のように「果たして本当にそうだろうか? 」と問いただしていくことが大切ですね。そのよい例となりました。概して課題文を書いている大人たちは、若い世代の思考を完璧に理解しているわけではありません。ですから「僕たちはこう思っているんだよ。」ということを堂々と主張してください。今回はバッチリです。
<第一段落>筆者の主張に対して疑問に思う部分を提示し、たば星人くんの主張を導く大きな柱を立てることができました。
<第二段落>複数の理由1として、ネットやメールに代表される現代の希薄な人間関係こそが、真には人との結びつきを求める風潮の原因であると述べられていますね。確かに人々は偽の心を装うことに疲れ始めているのかもしれません。
<第三段落>希薄な人間関係の元では真の心をさらけ出すこともできず心の豊かさからはほど遠い生活といわざるを得ませんね。私も日曜の新聞で読みましたが、このデータを利用したことは大変タイムリーでよいですね。「ものより思い出」という車のCMもありますが、こういった傾向がますます強くなるのかもしれません。
<第四段落>すばらしい自作名言ができたじゃないですか! これは最高によいです。「やるじゃん。」と思わず唸ってしまいました。第三段落までの論をここでうまくまとめることができました。首尾一貫した主張を展開できましたね。若者らしい新鮮な内容で好感度も高いですよ。

 

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