低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
小学1・2年生
小学3・4年生
小学5・6年生
中学1・2・3年生
高校1・2・3年生
人の器 シュシュ
「負けないでもう少し最後まで走りぬけて♪」というフレーズを聞いてピンとこない人は少ないだろう。ご存知、ZARDの「負けないで」だ。愛や根性など、最近はあまり聞かなくなったかもしれないが、でも人間にとってとても大切な感情を歌った名曲だ。このように、少し気恥ずかしくなるかもしれないが、思いやり、根性、勇気、力、などのテーマは幾度となく歌となり、人々に好んで歌われてきたものだ。しかし、少し抽象的でもあるこのような感情よりも、社会では重視されるものがある。それが学力だ。特に学校教育の中でこれらが評価されることはほとんど無い。確かに勇気などに点数をつけることは不可能に近い。しかし、学力しか目に見えて評価されないということから、これらの大切なことがなおざりになってしまうきらいがある。だが、人間はもっと、思いやり、根性、勇気、力などを大切にするべきだ。
そのための第一の方法は、日々の生活の中で感動することを探しながら生きることだ。普段の生活の中でも気持ち次第で、楽しいことや美しいことを見つけることができる。例えば、道に生えている雑草の花を見つけるだけで、人によってはとても幸せな気持ちになるだろう。冷めた目で見ていれば、つまらない人生に思えてくるのは当たり前のことだ。しかし、ポジティブな思考をもって世界を見れば、そこここに自分を感動させるものが転がっているだろう。本当にちょっとしたことでも良いのだ。私なんかは今朝、晴れている空を見ただけでとても嬉しく思った。別に運動会などの行事があるわけでもないが、傘を持たないで良いということだけでとても幸せになる。同じ晴天の下で生活しても、そこから何を思うかはその人次第なのだ。どうせなら、嬉しく思って生きる方が私は得だと思う。そして、小さな感動を味わうことによって、人間らしい豊かな感情を持つことができると、私は思う。
第二の方法は、学校教育の中で、絵画や音楽や工芸、映画などの芸術に触れる機会を増やすことだ。いわゆる、情操教育というのだろうか。別に、そんなに堅苦しいものでなくてもいい。ただ、生の芸術に触れて得るものは大きいと私は思うだけだ。英国に旅行に行った際に、私はたくさんの美術館や博物館を見た。それらはとても大きくて充実していて、しかもほとんどが無料だった。日本に比べて訪れる人は明らかに多くにぎわっていて、観光客でない学生のグループが多くいたのも印象的だった。学生といっても、幼稚園児から高校生まで様々だ。たくさんある文化の違いの中でも、これには特に驚いた。学校教育の一環で、美術館へ行ったことなど、覚えている限り部活以外では一度もない。せいぜい工場などの社会科見学程度だ。日本の学校は、もっと学生たちに芸術の素晴らしさを味わわせても良いと思う。
確かに、語学や数学などの知識も、社会人として欠かせないものだ。しかし、人間が生まれながらにもっている心の力、思いやりや勇気などを、私たちはもっと大切にするべきだ。人間の本当の価値を決めるものは、知識の量ではなく、人としての器だ。そしてその器は、その人の心の豊かさや広さによって変わってくるだろう。人は一人では何もできないので、どんなに知識を持って賢い人がいても、他の人たちに「この人について行こう」と思わせる
ものがなければ意味が無いのだ。これからは私も、人として豊かになれるようがんばりたいと思う。
講評 miri
<第1段落>書き出しがたいへんよいですね。当為の主題への導きもみごとです。
<第2段落>「小さな感動を味わうことによって、人間らしい豊かな感情を持つことができる」ここが主張をひとつの形にしてまとめあげています。実例からの流れもひじょうにうまい。
<第3段落>よい着眼点です。「よいものに触れる」「本ものに出会う」ことの大切さが、日本の教育現場ではおざなりにされているようです。そのへんの意識の高さはヨーロッパを見習うべきですね。
<第4段落>ここにいたるまでにたいへん中身の濃い意見が述べられているので、説得力がありますね。結びの段落として秀逸です。
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