国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   こころ   ルフィ

 ロボットと人間との境を決めているものに「心」と言うものがある。だが、私たちはロボット、広く言えば他者でない限りたとえ人間同士においても相手の「心」の有無を確認することは出来ない。だからこそ、この「心」は相手に共感する自身の「心」によって生まれてくると考えられている。だが近年、この「心」を生むため、またはそれ同士の交流が見られなくなってきており、問題となっている。
 そして、そのための原因としてまず世の中のヴァーチャル化、というものが挙げられる。これは、自身の考えを文字またはデータに変換することによって、見せたくない内面などを故意に(あるいは無意識に)隠蔽してすることが、現代では可能である、と言うことを指す。先日読んだ新聞記事には「結婚相手をネットで探す」と言った内容のものがあった。つまり、年齢、趣味、何かについての好み、性格など延べ数百項目を列記したデータベースの中から、相性の会いそうな人とメールなどで連絡を取り、交際を深めた後結ばれる、と言う仕組みである。たまたまその記事には成功だった、と談話する人がでていたが、それも怪しいものである。なぜならばその人はまだ(そのサイトを利用して)結婚してから数ヶ月しかたっておらず、まだその結婚がもたらす意味を本当に理解しているとは言いがたいからだ。私が思うに、たとえどんなに個人情報を公開し、メールでやり取りを行なっても、その人の本質と言うものは見えてこないと思う。どんなに有名な作家や詩人でも、己が味わった感動を完全に言葉で表現しきることは不可能であるように、人の心は記号で単純に置き換えられるものではないからだ。だから、個人の情報を全て文字によって得られると人々が信じる現代は、病んでいると私は思うのだ。
 そして心の交流が途絶えつつある原因としてもう一つ考えられるのは、孤立の進行、である。要は、世間一般で人間関係が希薄になりつつあると言うことである。すると皆さんは、隣に住んでいる人の名前が分からなかったり、引っ越してきても近所へ挨拶に行かなかったりと言った事例を思い浮かべるだろう。もちろんそれも正しい。だが私はそれ以上に、家族としてのつながりが今この世の中では弱まっているのではないかと憂慮するのである。家に帰る頃には親はまだ仕事で、親が帰宅すると同時に子が塾へ行く・・・など、そういった生活時間のズレを筆頭として、今「家族」と言う一つの集合体で何かをする機械がどんどん減ってきている。そして、困ったことに(人はこれを便利と呼ぶが)独りでも現代では大抵のことがこなせるほど技術が発達してしまっているのだ。私は、こういった現状も冒頭に挙げた問題の原因であると考えている。
 だが、世相を見ると確かに「デスクにいながら何でも出来る」といった便利さを追い求める風潮があり、それに真っ向から逆らって暮らしていくのは困難であろう。だが、「人が、危機を危機として認識するか否かによって、その度合いは変わってくる」ことを忘れてはならない。そう、今私たちに危機が迫っているのだ。それは便利さと言う言葉に隠れて、知らぬ間に私たちの心を蝕み、その交流を断絶しようとしている。だからこそ、私たちはそれを意識し、貝のようにじっと耳を済ませていなければならないのだ。

   講評   kira

 ルフィくん、こんにちは。今回のテーマは日常考えていることに関わっていたんだね。まるでライフワークを論じるかのように、鮮やかに展開されています。
 心そのものが見えない、あるいは欺かれている現代では、交流したとしても偽者くさいことになってしまいますね。それを記号化ということで表現していったのはすばらしい。確かに人間はデータであろうはずがない。もしそうだったら、マトリックスの世界観になってしまうね。
 人間らしさを探して結婚するはずなのに、データ検索するとは妙な話です。そういえば、IT化の動きの中に「心ののぞき窓」というものがあるらしい。コンピュータ上に人間の心拍数や体温などの変化を表示して心の動きを見せようということらしいです。そんなことするより、しゃべれ、語り合えと言いたい。
 人間の孤立化は便利な文明社会が呼び込んでいるのですね。自分で自分を追い込む事に勤勉な私達。貝のように耳を澄ませるためには、波の音の心地よさを忘れない感性が必要なようですね。
  

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