創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   日本と中国   カノン

 現在、中国経済の加熱傾向が大きな関心を集めている。これまで中国は低コストの生産拠点として「世界の工場」と呼ばれていたが、近年は「世界の市場」としてその地位を確立しつつある。世界貿易機関の貿易統計によれば、輸出額輸入額ともに日本をも追い抜く勢いである。そしてこの恩恵を受けたのが日本だ。いわゆる「中国特需」は二〇〇四年になっても続いており、日本の対中輸出は上半期だけでも四百億ドルを越えている。
 しかしこの先、中国経済は今までと同様に高成長を維持できないのではないかと懸念とされているのも事実である。現在、二〇〇八年に開催される北京五輪とその二年後に予定されている上海万国博覧会に向け、高速道路建設などのインフラ整備や住宅の建設が急ピッチで行われている。また不動産などの資本資産価格も徐々にあがってきている。これはバブル期の日本と酷似しており、非常に不安定な状況下におかれていることになる。
 さらに経済失速の懸念材料として指摘されているのが人民元の切り上げと投資の偏重だ。人民元が過小評価されることにより、資源配分の面で混乱を引き起こす可能性がある。つまりバブルが崩壊してしまうのだ。
 中国経済がいつ頃、どの程度失速してしまうのかは、まだはっきりわからない。しかしただ一つ言えることは、中国が日本の主要企業の運命を左右する鍵を握っているということである。その為には、日本と中国の間に安定した経済政策を打ち立て、且つ平和的で友好的な関係を結ぶことが必須条件をなってくる。
 平和的な関係を保つためにはまず第一に、日本が中国側に誠意ある態度を見せることが大切である。過去に起こしてしまった中国への侵略行為。そして台湾への植民地支配。そういった歴史を持った国として、日本は「一つの中国」の立場を堅持する責任を課せられているのである。過去に日本政府が犯した過ちは、過去の話で終わりにするのではなく、日本国民全体がその責任を深く胸に刻み、その償いをし続ける必要があるのだ。
 しかし、それらのことを踏まえた上で中国側に何か問題があるときは、相手側に率直な批判の意見を出し、対策を考えることも必要不可欠である。先日、中国の主要都市で日本への抗議デモが行われた。抗議内容は小泉首相の靖国参拝や歴史教科書の訂正を訴え、日本を拒絶するものだったが、ここには大きな矛盾や誤解が生じている。確かに戦時中の日本の商品は中国にとって明らかに経済侵略の象徴であった。しかし現在の日本の経済活動は、両国国民の利益にかなったやり方で合意のもとに行われているはずである。ところが今回の抗議デモではその混同がみられ、おかしな展開となっている。
 また日本は、世界で初めて広島や長崎に原子爆弾を投下された被爆国であり、沖縄での激戦を経験してるため、多くの国民は二度と間違った戦争を起こしたくないという平和の思いを持っているに違いはない。歴史に逆行する動きを見せている一部の政治家に注目してしまうと、日本の本質が見えなくなり、誤解を招いてしまう。
 今日の日中関係は、残念ながら良いとは言いきれない。しかし両国間にどんな問題が起きようとも、暴力によってその意思を表すのはルール違反だと思う。道理ある冷静な態度を持ってこそ、本当の力が発揮できるのだ。日本と中国がきちんと友好関係を結べばアジア地域の平和につながり、さらには世界平和にも発展すると言われている。これからも戦争問題・植民地問題という歴史問題の大局を見失わず、日本が抱えている問題解決に向けて、真剣に取り組むことが求められているのだ。

   講評   nane

 状況実例が的確。資料の要約だけど、こういう全体像がわかっていると、ムード的に日中の友好を論じるよりも説得力がある。
 日本と中国の間にあった戦争は、否定することのできないものだから、いろいろな事情があるにせよ反省するのは当然だね。その反省の上にたって、よりよい関係を築いていくことが大事。中国には、反日を政治の道具として使っている面があるから、そのあたりが両国の関係を複雑にしているところがある。しかし、日本と中国が反目し合って得をするのは誰かということをよく考える必要がある。結局、日中の対立によって損をするのは、日本と中国の国民だからね。
 今回は、政治経済の話を中心に書いたので、重量語彙が極端に重くなってしまった。(笑)決して悪いことではないけど、こういう文章の中に、自分の体験を入れておくと、全体のバランスが取れる。中国旅行のエピソードなどを挿入していこう。
 文章の後半が、やや羅列的に書かれているようなので、デモの話のあとは全体のまとめを書いていくといいと思うよ。

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