低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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幸せになるために れもん
守りながら進むこと。目まぐるしく移り変わる時代の中で、この最も苦難と思われることが今一番、要求されていることなのだ。最先端の物と、伝統のある物。自然と化学。過去と未来。これらは全て、意外にもすぐ傍に、背中合わせに存在しているのだ。どちらかを少しひいきしたり、どちらかに少しでも負担をかけると、絶妙なバランスを保たれて存在していた二つの事柄が分散して壊れてしまう。そして、私たち人間だって決して例外ではない。たまに人間が支配者のような錯覚に陥りやすいが、人間だって紛れもなく自然の中の一部。この敏感なシーソーの一部なのだ。このことを踏まえて、一体私たちは何を大切に生きていったら良いのだろうか。
まず、第一に古いものを保守すべきであるという意見がある。私は百年以上の伝統のある学校に通っているのだが、やはりそこでは雰囲気として、伝統を守ることが挙げられている。そして、私はそれに対して特に違和感は感じない。もし私の学校に伝統が無かったら、今よりもはちゃめちゃだろうし、校則だってもっと派手に破っていると思う。若者特有の多少の反抗心はあるとしても、やはり古くから伝わってきた不変のもの、大切なものは守るべきだと思う。このように、伝統があることによって誇りも生まれるし、その存在を貴重で大きくさせることがある。(複数の理由Ⅰ)(体験)
一方、新しいものをどんどん取り入れていくべきだ、という意見もある。人間からあても無い向上心を奪ってしまったら一体何が残るだろう、と考えてしまうぐらい、人間は欲の塊なのだ。言いかえれば未来のために生きているともいえる。もし、本当に今以上の未来を創るために、今よりもっと幸せになるために生きているのだとしたら、自分自身も、
周辺の環境も変化し続けていかなければいけない。例えば、携帯電話だ。今の時代、持っていないほうが珍しい物という境地にまで達してしまったこの製品だって、ほんの十数年前までは流通していない、珍品だったのだ。このように、人間はいつの時代も、進歩し続け、新しいものを創造していかなければいけないのだ。(複数の理由Ⅱ)
この二つの意見のように、やはり、伝統を守ることも、新しい風を吹き込むことも、両方大事なことなのだ。しかし、「自分の心のうちに持っていないものは何一つ自分の財産ではない。」という名言もあるように、一番必要とされていることは、古いものの良さも新しいものの便利さも全て理解し、それをより良く用いるために努力し続けることである。その努力が実ったとき、私たちは今よりもっと幸せな新しい時代へ足を踏み入れることができるのではないだろうか。(名言)(総合化)
講評 nara
導入の段落の「過去と未来」……さらりと書いたここに、今回の作文のポイントがあるのだろうな。私たちが今現在あるのは過去があってこそだし、未来は現在をふまえている。つまり、過去から現在、そして未来は連続性の中でとらえなくてはならないのだね。SFのように時空がねじれて、連続性が断ち切られるということがあれば、また別の話だけれど。
保守か革新かと対比させて考えると、おもしろいことに気づく。保守は保守だけで存在しうるか? 革新のみの世界がありうるか。実は、それぞれは相手あってこそ、自分の存在を認識しうるという面があるのではないかな。もっと簡単に言えば、どちらか一方だけというのはありえないということね。となると、総合化は必然と言えるわけだ。
ちょっとひねった見方をすれば、「人は前に進むという革新性を保守していかなければならない」ということかもね。
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