創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   『母国をはなれたあと』を読んで   えとわ

「雪の中に貯金したと思えばいいじゃない。」
お金を落として途方に暮れていたロベルトに,こんなユーモアのある優しい言葉をかけられるお母さんがいてよかったと思う。また,家族は,一皿ずつのスープのほかは何も食べなくても,心は満ち足りていたというところに,感動した。お母さんだけでなく,兄弟達も失敗を許してあげられるのである。今の日本人の心は満ち足りているのだろうか。私は,ニュースで少年犯罪や虐待などさまざまな事件が放送されるのを聞いて悲しくなってくる。《構成》私の母は,
「心がすさんでいる。」
とよく言う。すさんでいるという意味を辞書で調べてみると,『心があれて思いやりや温かみがなくなる。』と書いてあった。その通りだと思った。私の家も狭くてきれいではないが,幸せな家族である。父も母も働いていて,食べるもの着るものにも困らない。隣に祖父母も住んでいるので,安心だ。夏休みや冬休みは,必ず旅行に連れて行ってくれる。どちらかというと裕福のほうかもしれない。
 私にも,ロベルトと似たような話がある。母が,
「金曜日,お母さんは,午後7時からPTA役員会があるので遅くなると思うから,言葉の森の作文の題材について先生と相談するのよ。」
と言ってきた。私が,
「何時ごろ帰ってくるの?」
と聞くと母は,
「先週と同じ9時ごろかな。早く帰ってきたいけれど・・・。」
と困ったように言ってきた。私は,わかったつもりだった。そのとき父は,単身赴任で家にいない。母はPTA役員会で遅くなる。
金曜日,元気よく学校から帰ってきた私は,いつものように隣に住んでいる祖父母の家に,
「ただいま。」
と大きな声で玄関を入っていった。おやつを食べたり宿題をしたりした後,ピアノの練習やそろばんの練習など家庭学習に取り組んだ。この日もいつものように母が帰ってくるまで,隣の祖父母の家で過ごした。ところが作文の題材について言葉の森の先生と相談するということは,午後8時になったら電話がかかってくるということだ。祖父母の家にいては,電話は受けられない。午後8時になったら,隣の自分の家に行かなければならないはずだった。
母が午後9時15分ごろ帰ってきて,祖父母の家に迎えに来てくれた。自宅に戻り,楽しいひとときになるはずのお風呂だった。ところが母に,
「言葉の森の作文は,どうなった?」
と問われて,私は言葉が出なかった。電話を受けることを忘れたからだ。母は,黙っている私に,
「電話にでなかったのね。相手に迷惑をかけることはしてはいけないこと。」
と諭された。私は,蚊の鳴くような声で,《表現》
「ごめんなさい。」
と言いながら,泣き出した。私は,失敗すると,ほとんど泣いてしまう。学校ではなくことはないが。母は,『失敗は成功のもと』を教えてくれた。次に向けてがんばることを決めた。
 もし,私がロベルトだったら,歩いてきた道を探し始めるかもしれない。《題材》それでもなかったら泣きながら家に帰っただろう。そして母に『ごめんなさい』を言うだろう。母は,いつもどうしてそうなったかという理由を聞いてくるので,ポケットに穴があいていてお金を落としてしまったと言うだろう。母に聞いてみると,
「原因がしかたがないものだと『そうね。それはしかたないね。』とすんなり許すわ。」
と言った。
 私はこの本を読んで,母の言う『失敗は成功のもと』を学んだ。また,やってしまったことにくよくよせず,次に向けてがんばろうと思った。《主題》

   講評   sugi

 第一段落の内容には、先生も考えさせられました。ロベルトの一家は、その日食べるものにも困るほど貧しいけれど、家族の結びつきが強く心の中が満ち足りている。それに比べて、今の日本人は食べるものに困るどころか、身の周りには物があふれかえっているけれど、さまざまな事件が日々おきている。心が満ち足りているとは言いがたいね。この話を読んで、日本の社会問題にまで発展させて考えてみたのは、さすが朋代ちゃん。
 似た話も、ちゃんと見つかったね。自分や家族のだれかが失敗をしたとき、そのことについてどう考えるのがいいのか……。それは、朋代ちゃんのお母さんが、ちゃんと答えを出してくれているね。失敗をしないことも大切かもしれないけれど、失敗をしたあと、それを次の成功へどうむすびつけるかが一番重要なことなのだろうね。
 ロベルト一家にとっては、これは重大な失敗だったけれど、家族みんなが、落ち込んでいるロベルトを温かくはげます心の余裕があったね。生活に余裕がなくても、心に余裕を持つことを忘れなければ、人間は幸せになれるのかもしれないね。

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