創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   人間は他の人間と (感)   ポッター

人間は他の人間と自由にまじわることができる。あるいは、まじわる相手を自由にえらぶことができる。学校の友達、職場での友人、恋人、そして夫婦でさえも、それぞれの当事者の自由な選択によって成立している人間関係だ。
 しかし、現代のひとつの特徴は、親子という関係が「問題」化してきた、ということであろう。むかしのように、親子は自然なスムーズな関係ではなくなって来たのだ。新聞の身の上相談などを見ても、親子「問題」がぐんと増えてきた。いわく、どうやって子供を育てたらいいのでしょう。いわく、親が私を理解してくれません、どうしたらいいのでしょう。……親子のあいだには、あきらかに、深い溝がうまれてきている。これは、しかたないことだと私は思う。
 子供が生まれたばかりの親は、どうやっておむつを変えればいいか、ミルクの温度はどのくらいなのか、どんなときにおなかがすいているのかなど、わからないことだらけだし、実際にやってみても上手くいかないことがある。
 子供のほうも思春期になると親や先生には言えないこと、逆に、親や先生の言うことを聞き入れたくないことなど、『反抗期』というものも出てくる。この『反抗期』がくる時期は人によって違うが、たいていは小学校の五、六年くらいから、中学校の三年、高校一年くらいまでだろう。中には、大人になるまでずっと続くという人もいれば、一生ないというひともいる(小さなところで反抗しているかもしれないが)。今回は、この『反抗期』をもとに、親子の『問題』を考えていこう。
 私は、反抗はあまりいいと思わないが、なければいけないものだと思う。
 まず一つ目の理由は、『反抗期』がくることで、自分で物事を考えられるようになることだ。
 反抗期のときは、誰とも話したくなくなるときがある。気を使ってくれているのを知っていても、「ほっといて」とか、「一人になりたい」と思うこともある。私も小学校六年生のときに、そんなことを言った覚えがある。
 先生や親に反抗して授業をボイコットしたときに、クラスのみんなが心配してくれたことがあったが、「なんでもない、ほっといて」と言って気持ちを受け止められなかった。でも、そのときは自分でいろいろ考えて整理して、気持ちにケリをつけることができた。
 他人の手を借りずに行動するのは、とても難しいことだ。一人で考えて行動して、判断する。いざやろうと思っても、なかなかできない。けれど、これをやりとげれば、一つ成長したことになる。大人への階段を一段上がったことになるのだ。いつまでも反抗していても困るが、いつまでも甘えているのはもっと困る。それこそ、将来を決める時期になったら親も子も大変だろう。自分で物事を考えるには、『反抗期』が必要だと思う。
 二つ目の理由は、少し大人になって、外の世界が見えるようになる。まわりのことにも目を向けられるようになるということだ。
 私の家は父、母、兄、私の四人家族で、今ではそんなに珍しくもない普通の家庭だ。両親は二人とも医学関係の仕事で、週末以外は毎日仕事。兄は高校生、私は中学生で、学校は違うにも関わらず、二人とも陸上部に入っている。父は仕事で帰りが遅く、兄と私も塾に通い始めたので、家で四人揃う時間がめっきり減ってしまった。けれど、週末には全員揃うので、あまり寂しいとかいう感情はない。逆に、今は一緒にいたくないと思うことが多い。
 つまり、私は今『反抗期』の真っ最中なのだ。塾に通い始めたのも、親に反抗してのことだ(兄は大学の受験勉強のためだが)。「勉強しろ」と言われるのが嫌でたまらなく、四月の初めに「こんなうるさいところで勉強するのだったら塾で勉強したほうがマシだ」と反抗し、塾に行き始めた。最初は塾も嫌だったが、通っているうちに友達もできて、「そんなに息苦しいところではないな」と思ってきた。家だと自分の部屋というものがないので、リビングに私の机が置かれている。しかも、すぐ隣にテレビやオーディオがあるので、とてもうるさい。塾だと静かなので勉強がはかどるし、内容も頭によく入る。反抗して塾に通い始めたおかげで、少し頭が良くなった気がした。
 私は反抗して塾に通い始めて、いろいろな人がいると知った。頭が良い子もいれば悪い子もいる。授業中、積極的に発言できる子もいればそうでない子もいる。集中できる子、すぐに他のことに目がいってしまう子…。反抗期とはあまり関係がないかもしれないが、自分一人のことだけでなく、社会のことにも目を向けられるようになった。こんな人もいる、あんな人もいる、ということを感じられた。とにかく、学校の中を見ただけで物事を理解したりしてはいけないということだ。社会は広い。私たちがまだ知らないことが山ほどある。年金、税、保険、医療、福祉、経済…。いろいろなことが、一人立ちすればわかってくる。外の世界が見えてくる。いつまでも井の中の蛙大海を知らずでは困るのだ。区切りが付いたところで外に出て、少し歩いてみると良いだろう。
 確かに、『反抗期』は親と子の関係が崩れてしまう原因になることがある。それがもとで、親が子供を捨ててしまったり、あるいは子供のほうから家出をしてしまうことだって、今の世の中にないとは限らない。
 しかし、『雨降って地固まる』ということわざがあるように、いつかは仲直りできるはずだ。あるいは、知らないうちに仲直りしていたというケースもあるだろう。『反抗期』は、親と子が通じ合うためのスタートなのである。最初は競い合っていても、最後は仲良くゴールできるようになれば良いと思う。

   講評   inoko

 ポッターさん、こんにちは。反抗期について、たくさん話し込んでしまいましたね。誰もが通る道ではありますが、反抗期の内容は少しずつ違っています。親のこと、自分のこと、友だちのこと。いろいろなことがわかるようになったからこそ、怒りを感じたり、矛盾を感じたりするようになるのですから、正しい成長と受け止めなければなりません。ポッターさんのご両親は、現在のポッターさんをどのように見ているのでしょうね。
☆ お電話でいろいろ話してくれたことを、しっかりと項目に沿って書き上げてきましたね。さすがです。 最後のまとめの部分で、スタートとゴールという言葉を使ったのは、なかなか効果的でした。高得点もマークできましたね。

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