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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   人間は他の人間と(感)   えにほ

都市化の進んだ現在では、学校の友達、職場の同僚、恋人にしろ、同じ社会のサークルにしろ、でくわした偶然からできる人間関係が主である。多くの場合それぞれ当事者の自由な選択によって成立しているといえよう。しかし、親子関係になると、個人の選択と云うわけにはいかない。そんな親子関係の問題は年々複雑になっていくと云う。多くの人が、親子関係に悩み、また子育てに悩んでいるのが現状らしい。それにはいろいろな理由を上げる事ができるが、まず第一に社会の変動が激しく、親と子の経験がまったく異なっていることである。昔のように同じ経験を共有した事を前提にした情報交換が親子の間では大変難しいものになっている。例えば子育てに関していえば、おむつのあて方、受乳に仕方まで、親の時代と全くかわってしまった。親子の間に大きな落差がつくられ一種の緊張感がつのると著者は指摘する。著者の言う通り、問題は、親の「保護者」、「教育者」という自覚と自負、子供の「被保護者」と「生徒」と云う位置づけのこだわりから来るようである。またその伝統的な親子関係にこだわってしまうからこそ、親子関係にグラつきを感じるのだろう。 問題は古い価値観、新しい価値観のどっちかの二者択一では無く、どのように社会で違った経験を持つ親子がつきあい、対話,コミ二ケーションを続けつき合っていくかと云う事だと思う。

 人間は一番優れた動物であるが、養育期間の長いのにも特徴がある。それだけ、子供は親に頼り、やがて大人となるのだが、親子関係ではこの子供から大人になる変遷が大変難しい。伝統社会では、自分が役割を選択し作っていくと云うよりか、
社会で決められた役割に自分を順応させるのに重点が置かれたように思う。例えば、昔は、女性は「嫁に行く」のが普通で、一旦配合者の家族に籍を入れると主人の家族のしきたりか、義母の家事、育児の仕方に影響を受ける事が多かったのだろう。嫁になんの選択の権利が無かったと云う封建的な背景も長い事、日本の近代社会の中に強く生き残っていたように思う。昔はその「いえ」の権威的枠組みの中で皆生きていた訳である。つまり、伝統的社会には、多くの人間関係を決める、個人の順応を強いる封建的な図式があった訳である。

 グローバル化が進み、市場原理で経済が押し進められる昨今、伝統社会から歴史的に培われてきた親子関係にも大きなメスが入るのは否めない。育児の例にもどるが、シングルマザーあり、未婚の母あり、いろんな型で子育てしながら働いている女性も多い訳である。大家族主義で2世帯助け合って住んでいる人たちは多分少数派であろう。ほとんどの子持ちの女性は市場の提供する育児援助のサービスに頼り、自分らの生活を維持するのが先決問題になっている。
 ある意味では、市場原理の先攻する社会と云うのは、個人が孤立してしまう場合も多い。それに比べると伝統社会は似通った価値観を共有し、そんな社会にあるしがらみに頼れるぬくもりみたいな物はあるかもしれない。「私たちの人生は、私たちが費やしただけの価値がある」と誰かが言ったように、疎外感の多い社会を作らないためにも、親子関係の間で時には煩わしいと思えるコミ二ケーションを続けていくしかしょうがない。お互いを本当に尊重できる健全な親子関係のあり方を捜索していくべきだろう。
 

   講評   unagi

<第1段落>正しい要約です。続く主題は「伝統的な・・・グラつきを感じる」「どのように・・・つき合っていくか」。折衷案を挙げています。
<第2段落>理由①:ここでは伝統的な「嫁」を例に挙げ、古くからある「周囲への順応」について説いています。無闇に否定的にならず、淡々とした文体で説明しているところがよいと思います。
<第3段落>理由②:上とは対照的である「新しい社会」の説明をしています。こちらも傍観者としての立場を取ることで、主題から矛盾するのを防いでいます。第2・3段落の別世界並みの相違を読ませることで、「親子関係」の難しさを上手く強調しています。
<第4段落>前段落で「メスが入る」という表現を使ったことから、段落2の因習を批判することもやぶさかではないと示唆しているようにも読み取れましたが、本段落で「ぬくもり」という言葉を使用して擁護していますね。バランスが取れています。名言の引用・最後のくくり方、共に適切です。
★配合者→配偶者 市場原理の先攻する社会→市場原理の先行する社会

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