創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   未来の樹   PINPA

 生まれた場所や状況が違うとしても人はこの地球に生まれたならば皆同じように生きる権利がある。 
私は7月末に名古屋で行われた「こども環境サミット」に参加し他国の子供たちと環境について考えた。そこに集まる子供たちは皆髪、眼、鼻、服装すべてが異なる文化圏の集まりの場でもあった。そこでは皆生き生きと過ごし仲良くし、まるで天国のようだった。
 その友達の1人パキスタンから来たAliは非常に明るく、誰とでもすぐに打ち解け、ギャクをかましと誰からも愛される子だ。しかし、Aliの国パキスタンでは戦争が起き、一日一日を生きるのに精一杯の人がたくさんいる。私は母とこのことについて話してみると
「あぁ。パキスタンね。パキスタンとインドは今対立があるのだよ。」
と話してくれた。実際に本を見ると国の分裂と宗教対立が原因で20世紀中期の頃から争っている。
また皆は人間開発指数(HDI)というものを知っているだろうか。これは人間が住むのに適している度合いを表すものだ。日本はそれが177国中9位と大変素晴らしい成績を収めている。が、パキスタンでは142位の人間開発低位国と定められている。教育指数も日本では96%、パキスタンでは40%と2倍以上の差である。
 このように困難な生活を送っている国はパキスタンだけではない。サミットの時に教わったのだが発展途上国の子供たちの死亡原因の1位は下痢などの脱水症状、続いて2位は肺炎、出産前後の異常などと予防接種などで防げるものばかりだ。
 今世界の多くの大人たちは「平和で平等な世界をつくろう」と口だけ宣言を呼びかけている。しかし、口だけ宣言は不必要。私達の未来のことを本当に思っているのなら、なぜ醜い争いを続けるのですか?なぜ幼い子供達を救わないのですか?なぜ互いを傷つけあうのですか?私は今たったの14歳。しかし、今の世界は口だけ宣言に飲み込まれているだけだということは分かる。
 今の世界に対して批判できることはたくさんある。しかし今の世界は私達の未来の世界に未来の樹でつながっている。今大人たちは私達子供に向かって
「この干からびた弱い腐った未来の樹を登れ!」
と叫んでいる。このままでは未来の樹は崩れ、未来は崩壊してしまいます。
 私達子供は今懸命にこの弱い樹にしがみついています。どうか強い樹を与えてください。どうか強い平和な未来を与えてください。サミットに集まった小さな私達は争い無く平和に仲良く過ごせることが出来た。しかし、なぜ大人たちは子供がやれることが出来ないのだろうか。
 今世界には64億人という大勢の人が暮らしている。しかし、この中には同じ人など決していない。だからって他人を憎み争うなどしてはいけない。どんな人とでもその人なりに利点を持っている。だからプラス思考で他人を感じ仲良くしなくてはと思う。しかしよく考えてみたら、やはり苦手な人はいる。でも最終的に大切なのは相手とどう向き合っていくかということだ。この考え方をあなたの頭のどこかに置いていただけるだけで、ずいぶん未来の樹は強くなると思う。この未来の樹はこれから、ずっと先の子供たちも使っていかなければならない。だからこそ大切に大切に思って欲しいのだ。未来の樹の頂上は平和なところにして欲しいのだ。

   講評   mako

 おとなの一人として胸が痛みます。
 いつもこの季節になるとふだん忘れていても戦争や平和のことを思い出します。学校の登校日にはかならず「はだしのゲン」という戦争の映画をみました。「どうしておとなはこんなばかなことをするんだろう。」子どもだったわたしはふしぎでした。「こんなばかなことはもう二度とするわけがない。」うたがいもなくそんなふうに考えていました。
 おとなたちは、戦争のこわさや平和の大切さをくりかえし語って聞かせました。生々しい体験を涙ながらにうったえる人たちがまだたくさん生きていました。
 ところが「戦争はいけない。」とはっきり語る人がどんどん減ってきています。おとなになったわたしもその一人に違いありません。
心から「戦争はぜったいだめだ。」とさけぶことができた人たちはもうほとんど生きていません。テレビでゲームのような戦闘場面を見ても実感がわかない。「悪いやつはやっつける。」という理由で戦争は繰り返されるばかりです。
 おとなのわたしが子どもたちに伝えられることは、こんな情けない世界の現状だけなのかと暗い気持ちになってしまいます。
 人は他人を理解するのに苦労します。悲しいことですが、自分とは直接関係のない遠い人たちに対してはなおさらです。身近な人を理解しようと努力する日常の小さな一つ一つの営みこそ、今わたしが唯一できる平和へのつとめではないかと思っています。
 PINPAちゃんたちの友情と希望にこたえられる世界の実現を祈りつつ……。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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