国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   人間社会の天秤   ノンキィ

 子供のころに道に迷わなかったのはなぜだろう。それは、地図を使わなかったからではないか。外から入ってくる情報は、正しく使いこなしてこそ、その真価を発揮する。人間の作り出した情報は行動の助けになるものであると同時に使い方を間違うと逆の効果につながる危険がある。
 地図やマニュアル、参考書。これらは皆人間が人間のために作り出したものだ。そしてこれらをちらりと見るだけで私たちは目的にしていることが簡単にわかってしまう。けれども、その便利さの裏側には実は私たち人間の本能的な部分を私たち自身がいともたやすく見放してしまうような、そんな危険性が潜んでいる。
 実際、普段の生活の中で私たちは数え切れないほどの種類のマニュアルに頼っている。例えばそれは家電や携帯電話の取扱説明書であったり、勉強のための難しい参考書であったりする。また、地図あるいは最近はほとんどの新車に内接されているカーナビもその一つだ。これらは本当に便利かつ効率的なものだといえる。そういう私もついこの間MDコンポの調子が悪くなって取扱説明書に泣きついたのだから。何か物事に行き詰ったとき、それに対するマニュアルがあれば実に楽だ。私のMDコンポはMDの局を編集しようにも、いつもは出てきてくれる表示が出なくなってしまった。こいつは困ったと思い、説明書に目を通した。するとあります、あります、こういう場合どうすればよいのかが説明されたページがちゃんとそこには載せてあった。そうしてその取扱説明書にかかれたことを書かれたとおりに実行した私は無事MDコンポの機嫌を直すことが出来たわけだった。実はこのコンポ、私が六年生のときクリスマスのプレゼントに買ってもらったのだが、買ってもらった当初、取り扱い方がひとつもわからず、そうした説明書を読んでてきぱき操作を出来るほど頭の回らなかった私は、なんとしてでもこのコンポを使いこなしてみせる!と勝手に意気込みとりこんだ末、一日かけてそのコンポを我が物にしたのであった。(笑)そうして自分で格闘したコンポの基本操作はそれ以来何日あいだを空けても忘れることはない。けれども、このあいだ起きたコンポの故障事件の際の対処の仕方、原因すらももう私は覚えていない。一応ことわっておくが、私の記憶力はあくまでも世間一般の人並みである。一度はそうかと納得したはずなのに、だ。(複数の意見一)
 このような現象は、私個人の問題ではないようだ。もうだいぶ前から世間で問題になっている「指示待ち症候群」というものがある。その名のとおり、指示をされないと動けないのだ。そして、これは少し視点を変えてみると、その裏側には何もかもマニュアル、つまり「他人が作った情報」にどっぷり使った生活を否応なしに送っているからではないかと思われる。マニュアルは便利である。けれどその便利さはとても断片的なもので、私たちの頭からすぐに剥がれ落ちてしまうようなもろいものなのではないか。だからそんなものに囲まれて生活している日本人は自分で作り出した情報の量が極端に少ないのだと考えられる。自分で考え出した内容がないと、当然他人からの情報、指示を待っていないと動けないのは至極当然なことなのだ。現代の日本における深刻な社会現象の根本には、すべてをマニュアル化してしまった社会全体の問題が深く絡んでくるのだと思う。しかも都合の悪いことに、指示を待っている人たちに指示を出す人の上にはまた指示を出す人がいる。当たり前のことだ。けれど、ということは会社であれ国であれ、一番の権力者までが支持待ち症候群にかかってしまってはもうどうしようもないのではないだろうか。(複数の意見二)
 「経験は最良の教師である」という名言がある。経験すること、自分で考えること、自分でやってみること、そして自分でその世界を広げていくことこれらは皆私たち人間の本能的な習性である。私たち現代の日本人は自分で経験するということをしなさ過ぎている。確かに地図も説明書も参考書も今の私たちの生活には切っても切れないものとなっているし、私自身もその多大なる恩恵を受ける一人だ。けれども、一番大切なのは他人の情報と経験のバランスだ。どちらに天秤が傾いてしまってもいけない。その天秤が常に平行になってこそ、私たちは最も人間らしいといえるのだと思う。(総合化の主題)
 

   講評   nara


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