創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

昨日2426 今日1185 合計53521
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   日本人は心で話す   ポッター

 日本では、言葉でなく、物理的対象物をともに見ることで、社交が成り立つのだ。そう考えてくると、月見、花見、雪見といった集団的な観賞行為は、じつは、日本文化のなかでのコミュニケーションの方法でもある、といわなければなるまい。月、雪、花は人と人をむすびつける触媒なのである。西洋のように、しゃべることが社交の基本になっているところでは、話がとぎれるとなにか気まずい思いをしなければならない。日本人なら、だまってなにかをながめることでも、会話は進行しうるのだ。
 日本文化…。その隠れたものは、コミュニケーションの取り方であり、人間関係をより深くするものだと思う。
 理由の一つは、上にも書いてあるよう、「だまってなにかをながめることでも、会話は進行しうる」というのは、日本人の最大の特徴であり、コミュニケーションの取り方だと思うからだ。「以心伝心」ということわざもあるが、まさにその通りだ。黙っていても、相手が何を考えているのか、また、相手がどんな気持ちでいるのかがわかることがある。「心が通じ合う」または「馬が合う」なんていうのも、日本人のコミュニケーションの取り方からきたものだと思う。
 しかし、外国(アメリカ合衆国など)はコミュニケーションの取り方が違う。例えとして、日本人とアメリカ人のコミュニケーションの取り方を挙げてみよう。
 日本人のコミュニケーションの取り方が「心で通じ合う」のに対して、アメリカ人のコミュニケーションの取り方は、「話す」ことなのだ。アメリカ人は、思ったことや考えていることを口に出して相手や周りに伝える。これは、日本人にも当てはまるが、その伝え方というのもまた違う。アメリカ人は好きな人に気持ちを伝えるとき、「I love you」と言うが、日本人はそのようなことはあまり(まったく?)言わない。確かに、アメリカ人だって誰に対しても言うわけではないが、家族や友人、親戚などに親しい人に対しては、よく使う言葉だ。それに対して日本人は、「可愛い」とか「綺麗」(男性の場合はカッコイイ)などの言葉で、好意を表し、表現する。ストレートに「愛してる」「好き」と言わなくても、ちょっとしたほめ言葉で相手も理解出来るのだ。
 言葉ですべてを伝えなくても、小さな一言一言が心と心を繋ぐコミュニケーションの元になって、深い人間関係が築けると思う。
 理由の二つ目は、「謙遜」という言葉が日本人のコミュニケーションの取り方に用いられていることだ。
 近所の人達が話している、このような会話を聞いたことがないだろうか。
「こんにちは。あらまぁ、お宅の○○君はこんなに大きくなっちゃっ
 て。成績も良いんですって? この間の期末テストで、一位を取っ
 たみたいじゃないですか。いいですわねぇ、私のとこの息子なんか、
 毎日だらだら過ごしてるんですよ。」
「いいなんて…、そんなことないですよ。うちのこなんか全然。それ
 よりお宅の○○君も、この間野球の全国大会で優勝したらしいじゃ
 ないですか。それも逆転ホームランを打ったって、新聞にも載って
 いましたよ。うちの子も、少しは○○君の運動力を見習ってくれる
 と助かるんですけどねぇ。」
とまぁ、こんな感じである。誰でも一度は聞いたことがあるだろう。同世代の子を持つ親同士が、相手の子供をほめながら、自分の子供を少し批判(?)しているような会話だ。ほめ続けていてもしかたないが、自分の子供の自慢はそうそうしにくいものでもある。外国の親は、自分の子供がほめられると、とても嬉しそうに話を聞いたり、話をしたりする。けれども、それが返って相手を不快にさせてしまうことがある。そこで(?)日本では、「謙遜」という形で相手と上手くコミュニケーションをとっているのだと思う。
 しかし、ただ「謙遜」と言っても、自分の子供をそんなに批判するのでもなく、喜びや驚きを含めて優しく批判するのだ。あまり謙遜しすぎたり、悪いことばかりを言っていると、それも逆に相手を不快にさせてしまうことがある。批判しすぎず、はめすぎず、最高の状態でいることが、日本人は上手なのだと思う。
 確かに、コミュニケーションの取り方の基本は「口で伝える・話す」ことだと思う。黙っていても相手には伝わらないときだってある。けれど、「家とは外から見るためのものではなく、中で住むためのものである」ということわざがあるように、心、つまり内側から理解し合うのもコミュニケーションの大切な取り方であると思う。心で通じ合うコミュニケーションは、日本の最大の特徴であり、文化の一つでもある。心で話して、人間関係をより深くしていくことが大切と思う。

   講評   inoko

 ポッターさん、こんにちは。日本人的な美しい心。それを表現する言葉としてよく使われるのは、「慎ましい」という言葉です。現代の日本の若者には、あまり感じられないのは残念ですが、いまでも日本人にはこの気質が残っていると思います。「謙譲の美徳」などということも、昔はよく聞かれたものです。日本人相手ならばまったく問題のない謙遜や慎ましさが、世界の舞台では理解されにくいということに気がついたことで、日本人の良さがだんだんなくなってしまったのか、またはただの時代の流れなのか。ポッターさんは、どう考えますか?
☆ 長文から一つのキーワードを導き出し、結論へと展開する。この書き方が上手になりましたね。今回は、「謙遜」がキーワードとなりました。最後のまとめの部分で、「べきである」という書き方をしてみましょう。より意見が明確になりますね。
上にも書いてあるよう → この長文でも述べられているように

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)