創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   途中   カノン

 『青い空に白い雲、果てしない草原に羊たち、夜は満点の星空で、凍えながらも朝日を待てば、自然の神秘で満たされた、光が大地を包み込む』
どの風景を写真に収めても絵葉書になるような美しい景色。そうした平原のど真ん中に、高校二年生の私がいた。
 私が中国・内モンゴル自治区を訪れたのは去年の夏だった。北京に短期留学していた時、講義の合間を縫って内モンゴルまで足を伸ばしたのだったが、ここで私は生涯忘れられない言葉を耳にした。
 草原で乗馬体験をした時のこと。馬の飼い主であった青年と共に馬を走らせ、私たちは小さな丘を目指した。丘のてっぺんにたどり着くと彼は指を指しながらこう言った。
『この方角に日本がある。日本はどんな所なんだろう。』
遠くの方を眺める目は好奇心で満ち溢れていたが、次の瞬間彼はこんな言葉を口にした。
『でも、ここが一番暮らしやすいだろうな。』と。
 確かに内モンゴルは自然豊かな地域だった。しかし言葉を変えれば、電気・水道の設備もあまり整っていない地ー自然しかない地ーである、日本よりも暮らしやすいと言い切れるのだろうか。その青年の言葉を聞いてから、私はずっとそんな思いを心に抱いていた。そして先日その時の記憶を鮮明に蘇らせる文章に出会った。それは現代文の教科書に載っていた『この村が世界で一番』(著・内山節)という文章で、長野の山奥に住むおばあさんが『自分の住むこの村が世界で一番良いところである』と言い切ったというエピソードが書かれているのだが、まさにこのおばあさんの言葉は私が内モンゴルの青年から聞かされた言葉と一致していたのである。自分の生まれ育った地域は・・・
 しかし、そうするとここに一つの不可解な点が浮かび上がってくる。それは私たちが貧しいと感じている国や地域に住む人々の全てが、自分たちの生活に不満を持っているとは限らないという点である。『貧しい国への国際支援や未開発地域の技術向上を推進する。』当然のように正しいと信じてきた行為が、果たして本当に正しいのだろうかと疑問に感じてしまった。真の国際協力とは一体何だろうか?
 国際協力という言葉を簡単に定義づけることなどはできないが、一つ言えることは、自分たちが相手国の文化を知り、また相手国にも自分たちを知ってもらう、という相互的な国際理解の上に成り立つ支援だと私は思う。調べてみると、先進国側が良かれと思って行った支援でも、支援される側にとってみれば迷惑行為に他ならなかったという実例が数多く聞かれる。

   講評   nane

 書き出しの工夫、うまい。でも、もっと短くてもいいよ。「青い空に白い雲」だと幼稚園児みたい。(笑)本当にそうだったんだろうけど。
 問題提起が長くなったのは、こういう内容ならやむをえない。むしろ、自分の実感がこもっている問題提起だから、ここは縮めなくてもいいと思うよ。
 このあとの展開は、中国に行った話よりも、集会を開いた話にした方がいいかもね。というのは、海外に行ったという話は、現在のような時勢だとほとんどの人がしている体験なので個性が出ない。集会の話は、それだけでも十分個性的だからね。
 そして、相互理解の困難さを深く味わいながら、書き出しの情景描写を生かしてまとめるという形かなあ。
 がんばってねー。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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