低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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自己の確立 えよさ
人は若いときには、「自分とは何か」ということがわからず、悩むものである。自分に自信が持てず、自分の進むべき道を探すのが、思春期の課題でもある。そのように自分の「アイデンティティ」が衰弱すると、人間は自分の自尊心が傷つけられることを恐れ、また傷つけられたために、反抗や嫌悪感によって自分を殻に閉じ込める。批判したり、反発するのではなく、私達はお互いに認め合うことによって、自己を確立していくべきである。
第一の理由としては、お互いに認め合うことによって、自己を確立しやすいからである。自分だけでは自信が無く不安なことでも、他人に認められ、支持されれば、多くの自信を得ることができる。私の所属する硬式テニス部は、実力の差を明確に示す部活である。例えば、練習を一緒にするグループも実力順に三つ、あるいは四つのグループに分ける。また、試合にエントリーする時には、実力順に登録するため、はっきりと自分の部活内、学年内の順位がわかってしまう。これはある意味露骨で、過酷な方針かもしれないが、向上心を持つためには、必要なことであると私は考える。自分の思っている順位が、発表される順位を下回れば、その人の自尊心が傷つくこともあるだろう。しかし、優劣の差を明確にすることによって、その共同体に属する仲間同士で、お互いを分かち合い、認め合うことができる。これらのことから個人の向上だけでなく、全体の向上も可能になるといえよう。
第二の理由としては、批判による自己の確立では、成長することができないからである。これらのことは、民族間、宗教の対立などによく見られる。例えばナチスによるユダヤ人迫害などもそれに当たるだろう。迫害する側は、相手の能力にコンプレックスを抱き、その存在を否定し、それを排斥することによって、自己を確立しようとした。しかし、残忍な迫害を行い、自分達を最も優秀だとしても、それは自己満足に過ぎず、迫害という行為によって、自分達自身を成長させることはできないのである。
確かに、批判によって自己を確立することもできるが、私達はお互いを認め合うことで、自分のアイデンティティを確立するべきである。人間は、一人では自己を衰弱させ、見失ってしまう。私達は自分の属する集団、社会の中で、他者との関わりを大切にし、お互いを認め合い、高めあっていくべきだ。自己を確立することは、自己によってではなく、社会性である。(名言)
講評 nane
冒頭の意見がわかりやすい。早めの意見がいつもよく書けているね。
硬式テニス部の話はいい例。高校時代の部活は、いい経験になる。これからもがんばってね。
批判による自己確立で民族対立の例を挙げたのは、そのとおりだね。相手の国を批判することによって自国に対する誇りを持とうとするケースは多い。特に、隣り合う国どうしで、そういうことが起こりやすい。健全なライバル意識のうちはいいけど、そのうちに相手を批判することが目的のようになることがある。
結びの名言は、よく書けた。人間は、他者との関連によって自己を発見していくのだろうね。
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