創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   和を理解することの大切さ   ルル

このところ日本では園芸が大はやりであるが、それに合わせるように花木や草花の名称が大変な勢いで外来語に置き換えられている。旧来の日本の花の名は美しく優雅なものがほとんどであるのに、例えば彼岸花の類はリコリス、胡蝶蘭はファレノリプシスといった具合に、年毎に言い換えの数が増えている。もともと日本は植物の豊かさにかけてはヨーロッパのどの国よりも恵まれていた。それに比べヨーロッパは種類が少なかったため固有の植物名も乏しくしたがって新たに植物に名前をつけるときは、学問的なギリシャ語やラテン語に頼らざるを得ない。花木や草花の和名には美しく分かりやすいものが多いのに、それらの外来語はなにやら呪文めいている。日本人はなぜ外来語を取り入れるのか。その現実の背景に絶えず新しさを求め続ける日本人の積極性を認める人がいるかもしれない。しかし、このような意味不明のなぞめいた外来語で、ほとんど芸術的とさえ癒える美しくたくみに工夫された従来の和名を置き換えて一体誰が得をすると言うのだろうか。その積極性を否定するわけではないが、このような行き過ぎた流行は止めてほしい。わたしも「日本らしいよいものを見つめなおす」生き方をしたい。
そのための方法としては第一に身近な「和」を楽しむ事である。以前学校の体験学習で扇子作りを体験する機会があった。そこでは扇子を作ると同時にその作る場所で働いている職人さんに質問したりその仕事を見学できたりもした。現代若い世代で扇子を使う人はあまりいない。わたしも夏に少し使ったことがあるくらいで、普段はほとんど使わない。だから「扇子作りなど体験したり、見学したりしてもつまらないかな」と思っていた。けれどもそこで働いている職人の方はとても自分の仕事に誇りを持っていて、彼のつくる扇子には「和」があった。彼の仕事を見てわたしは「扇子作りっておもしろいのだなあ」と思えるようになった。このように和をたのしむことにより、和を理解する事ができるのである。
第二の方法は「自国のことを理解しやすくなるような教育をしていくこと」である。日本は長年欧米に追いつこうとたくさんの文化を欧米から取り入れてきた。それにより新しいものや外国のものの知識はあっても自国の、日本の知識は乏しくなっているのではないか。今の日本の子どもに必要なのはそういった新しい知識ではなく日本に昔からあるものの知識なのではないか。そして子どもたちが日本の文化を理解することが出来れば今後、日本で多くの「和」を見つけられるのではないだろうか。
たしかに新しい文化を吸収し、物事を発展させることも大切だ。けれども「ロバが旅に出たところで、馬になって帰ってくるわけではない。」という名言もあるように、和名が外来語になったからといって、別になんの特もないのだ。それならむしろ、わたしたちは和名の持つ美しさを十分に理解するべきなのではないか。

   講評   nara

 今回の長文は、草木の名前という題材によって、外来語を用いることの是非を問題提起していたね。この長文に沿って書いていくとなると、言葉をテーマにするのが順当なところだろうけれど、少しひねりを入れてテーマを設定したのだね。言葉と文化の関係性は大きいから、これはこれでおもしろい。

 第1方法:長文をふまえると、そもそも和名があるのになぜかしらわかりにくい外来語や学名を使っているというところを、筆者は問題にしているね。その視点をここにも加えられるといいな。例えば、手ぬぐいとタオルは別物か? 風呂とバスはどうだろう? また、日本独特の文化には、独特だからこそ対応する外来語が存在しない場合もありそうだね。重複するものがある場合とそうでない場合とを区別して考えてみる必要もあるのではないかな。
 第2方法:自分たちのことは教わらなくても知っていて当たり前……という感覚があるのかな。日本人だから、着物・歌舞伎・能・いけばな・源氏物語などなど知っていて当たり前かというと、実はほとんど知らないという人の方が、身近には多いのではないかなぁ。自然と身につく「自国」だけではないことに、私たち自身が気づかなければならないのだね。特に、現代のように社会の変化や価値観の変化が急速に起きている時代においては、意識的に「伝統的な文化」に触れなければならないのかもしれないな。
 まとめはおもしろい。この論からいえば、「じゃあ、外来語でも本質に変化はないからいいじゃん。」という意見も出そうだなぁ。それに対して、ルルちゃんがどう反論するか、聞いてみたい気がするよ。

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