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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   教養は必要か   しっぽ

 昔、日本の教育は教養としての勉強を中心として推し進められていた。人々はみな「いい人間になりたい」とか、「立派な人間になりたい」とかいった思いだけで学問をしてきたのだ。しかし、社会の発展が進む中、学問の担う役割はもはや教養ではなく、実用的なものであるということが大部分である。皆が学問を自分の立身出世のためにするものと考え、夢や目標を達成する手段として学ぶのだ。しかし、私は、まず第一に社会の発展を念頭におく現代だからこそ、教養として学問をするということが必要であり、またそれが疎かになっていることが問題だと思う。
 まず、その第一の原因として、現代の日本が極端な学歴社会だということが挙げられる。私の学校はいわゆる進学校である。わざわざ中学受験までして入ったこの学校では、難関大学の合格率が高く、授業も高度である。私が小学生の時に中学受験をすることを決めたのは、もちろん自分の意志である。両親もそれを勧めてくれた。なぜ中学受験をするとあの時決めたのか。それは、いい中学に入ることが自分の「いい人生」への第一歩だと感じたからである。私にとってのいい人生とは、ネームバリューのある難関大学に入り、世間に一目置かれ、そのまま良い会社に就職して高い収入を得、優雅な生活を送ることである。誰がなんと言おうと、私は金さえあればいくらかの幸せは保証されるものだと思う。では、金はどうしたら手に入るのか。最も手近な方法は、高学歴を持つことである。つまり、難関大への合格がこれからの私の人生をほぼ決定するものだから、私は進学校に入学することを決めたのだ。今、目標を達成するために勉強漬けの毎日を送っている。しかし、今になって人間にとってのいい人生は、一概に金や学歴では決定できないものだと気付いた。カトリック系の学校である為、愛や優しさだけを持って生きてきた人の話をたくさん聞いてきた。初めはそういった話は偽善者のような気がしてあまり感心を持たなかったが、今はそういった生き方も幸せなのだ、と思える。私たちは学歴や金といったものに目隠しをされて、自分にとって最も大切なものは何なのかと考えることを忘れてしまうのかもしれない。
 また、第二の原因に、教養というものがあまり必要でないと見なされていることがある。日本はこれまで大きな発展を遂げてきたが、その発展に永遠に終わりは来ない。社会は日々進歩を遂げているが、そのスピードも徐々に落ちてきている。戦後は西欧の模倣をひたすら続けてきたため、発展のスピードが速かったが、現代では日本が技術や発展においての最先端を行っているため、スピードがある程度落ちてしまうことは当然のことだ。しかし、そのことに多くの人が焦りを感じている。だから、学校教育では、社会に出てからも充分使えるような実用的な学問を教えることに専念する。そこで、教養としての学問は実用的な学問に比べておざなりになってしまうのだ。社会に出ると、自分と同じように教育を受けてきた人にたくさん出会う。皆が同じような能力を持ち、社会の中で機能化した人間は、自分とはどういったものなのか、といった個性や独自性を模索し始める。ただ能力だけを詰め込んだ人間が増える中、私たちに必要なのは教養だと思う。ここで個性を身に付けることも必要なのではないか。
 確かに、教養を身に付けることだけを重視して、社会に出てから何もできないようでは困る。一時期ゆとり教育といったものが施行された。あれは個性の尊重・のびのびとした生活を送るなどといったことを理念としていたが、結果的に子供たちを温室の中で育てたことになり、精神的にも能力的にも弱い人間を作り出してしまった。私たちは、長い年月をかけて大人になり、自立していくものである以上、実用的学問を学ぶことは必要不可欠である。しかし、大人になると、子供の時に得た感情は忘れてしまいがちである。大人になるまでの間、私たちは多くのものに触れ、教養を得ることで、大人になってからもより充実した人生を送れるのではないだろうか。

   講評   nane

 教養としての学問ということで書いたんだね。高校の授業を見ていると、受験に関係ない教科はみんなかなり手を抜いているでしょう。そんな情景から書いてもいいよ。
 第一の原因は、深く考えた。受験生の間は、学歴よりも大事なものがあるなんて言っていられないけど(笑)長い視野で人生を考えると、確かにそういうことは言える。しかし、現代の社会は、一億総中流から、階層分化が次第に明確になっている。学歴もあてにならない社会になっているということだね。中学受験が個人の競争ではなく、家庭の総動員体制で行われているように、大学入試やその後の就職も、家族ぐるみでということになってくる予感がする。しかし、それと並行して、競争のない自由で豊かな世界が生まれる可能性もある。そういう社会の到来を早めていきたいね。
 社会実例の種類は、自然科学実例。入れやすいものは、ダーウィンの進化論や今西錦司の棲み分け理論かなあ。
 結びはいちばん印象に残るから、できれば名言で決め手てみよう。
 「充実した人生」という考え方は大事。他人との比較でなく自分が満足できる人生が歩めたらいいね。

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