創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   エコブーム   はるる

 最近の日本ではエコブームなるものがある。多くの企業が「地球にやさしい」とか「地球を守ろう」といった言葉をスローガンに広告を作っている。確かに排気ガス削減などの努力をしているのだろうが、そもそも車が走ること自体地球には優しくない。このエコブームはそういった多くの矛盾を抱えている。これから更に地球環境保護の考えが浸透していくに連れて、将来行き過ぎた自然主義が発生する恐れがあると思う。
 その第一の対策は、先進国に住む人間としての視点を捨てることだ。私たちの現在の生活は大変快適なものであり、みなそれを当たり前のものとして生活している。だから、少しでも不便になるとすぐに不快感を覚え、自分達の生活水準を下げまいと努力する。私も自分の家のトイレがボットントイレになったら正直言って嫌である。このように自分達は近代的な環境での生活を維持しているのにもかかわらず、他の国に厳しい批判を飛ばすことができるのは、先進国の国民としての視点しか持ちえていないからであろう。
 第二の対策として、人間が地球に存在する限り地球には迷惑をかけ続けるのだと認めることである。人間はかつて他の動植物とさして変わらない、大きな生命の集合体の中の一つであった。しかし、月日が経つにつれ地球上で幅を聞かせるようになり、今では自分達の安全な生活のために他者を絶滅させてしまう程の力をもつようになった。そして現在も地球の資源を削り取りながら生きながらえている。そのことを認めようとせず、ただ地球を守れだの人は害あるものだと叫ぶのは、自らの生命をも否定することになりかねないのだ。
 確かに地球をないがしろにするのは良くない。だがおそらく地球は人間が救おうとしようがしまいが、はたまた人間が絶滅しようがしまいが地球として途方もなく長い時間、宇宙空間に存在し続けるということには変わりないだろう。要は、今日の私たちの自然保護活動は他でもなく自分たちが長生きするためだけのものなのである。そう考えると、「地球にやさしく」、「地球を守ろう」のスローガンは途端に人間のエゴのように見えてくる。危険なのは、そのエゴのかたまりをそのままの形で直に捉えてしまうことである。過剰な自然保護意識は、同時に人間軽視主義につながる可能性が高い。

   講評   sugi

 「要は、今日の私たちの自然保護活動は他でもなく自分たちが長生きするためだけのものなのである。」これはドキッとする言葉だね。相変わらずはるるさんは鋭いなあ。見せかけの環境保護を叫ぶぐらいなら、「自分が長生きするために、少しは不便なことも我慢しよう」とはっきり叫んだほうがずっとすっきりしそうだ。(笑)
 自然保護、環境保護、エコ……。正論をふりかざしていても、その裏には人間の傲慢さが見えてくるというのは恐ろしい話です。先進国だけが便利さ、快適さを手に入れ、発展途上国には開発をやめろと言う。もっと根本的な話では、地球に迷惑をかけずに人間が生きていけないことを認めたくない傲慢さ。この二つの点について、しっかりと論じることができたね。
 第四段落の、「人間が絶滅しようがしまいが地球として途方もなく長い時間、宇宙空間に存在し続ける」という言葉は、まさにそのとおりだね。簡単なことのようで、人間はそれを認めたがらない。人間が存在してこそこの世界があるのだという意識がどこかにあるのだろうなあ。この講評の冒頭に書いた「要は、今日の私たちの自然保護活動は……」という文、ますます重みが感じられます。

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