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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   大きな価値は必要か   しっぽ

 昔はあった文化的階層秩序が、現代では無くなってしまった。それに伴って、各要素を構造づけていた価値秩序が崩壊し、各文化が断片的に自立した。このように大きな価値のない世の中で、人々は他人との些細な一致や相違に、本当の自分を見出そうとしている。私は、このように部分文化や異質な趣味が発達してしまった世の中に、社会に統一された大きな価値が無いことが問題だと思う。
 こうした問題の第一の原因に、日本の文化がある程度発達の限界を迎えた、というところにある。日本がまだ敗戦して間もない頃は、主に発展を土台とした大きな価値が生まれ、それを全ての人が支持していた。しかし、現在となっては、皆が統一した目標を持つ必要性は無くなった。私の学校では、制服はもちろん、靴下や鞄、髪の色やゴムの色まで指定されている。全校生徒が一つの場所に集まると、全員同じような格好をしているので、自分が周りに溶け込んでしまったような錯覚に陥る。しかし、人と同じが嫌な子たちは、規則の中で個性を活かそうとするのだ。例えば、筆箱や財布に関しては学校では特に規律はない。だから、それぞれが好きなブランドのものを持って、そこで個性を表現するのだ。また、傘は紺色と決まっているが、メーカーまでは指定されていない。そこで、紺色だが少しデザインが変わったものを持ってみたりするのだ。現在では社会の富裕化が進み、需要は昔とは全く違うものにある。文化の発達が偏らないためにも、統一の価値をは必要である。
 また、第二の原因に、小さな流れだけではなく、もっと大きな流れにも目を向ける、といういことだ。オーストラリアは大陸から離れた島である。その島の中でも、動物たちは進化を遂げてきた。しかし、近代になって、大陸との交流も盛んになった頃、大陸から新たな動物たちがオーストラリアに流入してきた。そこで、オーストラリアで進化したはずの動物たちは、実は大した進歩を遂げていないことが明らかになってしまった。大陸では、面積が広い分、多くの動物が生存している。そこでは、ある種類の動物が多くの動物に触れ、その中で大きく進歩していく。それに対し、オーストラリアの動物たちは、ごく少数の動物たちの中で少しずつ進歩していった。これでは、大陸の動物たちの方が生存力が強いのも仕方がない。私たちも、小さな世間の中での小さな発展を見て満足するのではなく、もっと広い視野を持って自分たちの発展を見つめるべきだ。
 確かに、世の中が十分に発達した今、皆で統一した目標を持つことは非常に難しく、またその必要性もあまりないように感じられる。しかし、一見画一化した社会の中に、自分だけの個性を見つけようとするからこそ、統一された価値は必要なのだ。もし、皆がバラバラに自分の価値を見つても、それは他人にとってはどうでも良いものに感じられてしまうだろう。統一された価値とは、私たちを縛り付けるものではなく、私たちに個性を与え、固定化した社会の枠組みから解放する力を持っているのだ。私たちが社会という共同体で生きる仲間である限り、やはり大きな価値というものは必要になってくるのではないか。

   講評   nane

 難しい長文だったけど、問題提起を一言で簡潔にまとめたところがよかったね。このように微妙な長文の場合も、できるだけ自分なりに問題点をはっきりさせて小論文にしていくことが大事。
 世の中の大きい動きがなくなったことと、世の中が富裕になったことが、微妙な差が全面に出てきた原因というのは確かにそのとおり。また、日本人には、微妙な差を感じる洗練された感受性があることも原因の一つになりそう。
 オーストラリアやガラパゴス諸島のように、閉鎖された空間では独特な種が繁栄する。かつての鎖国の日本も、そういう状態にあったのかもしれない。自然科学実例は、いろいろ考えられるけど、進化論などはよく使える例。
 結びの主題は、書き出しにうまく対応させた。
 「統一された価値を持とう」というよりも、「小さい差異に満足するな」という主題の方が、意見として言いやすかったかもしれないね。

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