国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   世界との関わり   シュシュ

 子どもの頃、真夏の空を見上げると、きまって入道雲はアイスクリームを連想させた。海に行けば際限なく寄せてくる波が、生きていて一緒に遊んでくれている様に感じた。小さかった頃は、日常生活の中でさえも広がる想像に限りがなかった。しかし、入道雲が何故できるのかなど、様々なことを学んでいくうちに、いつのまにか想像が広がらなくなった。目の前にある物は、あくまでも物であって、それらに命が吹きこまれることはもうあまりない。私だけでなく、現代の社会にいきる人たちも同じだと思う。しかし自分が生きる世界ともっと関わりを持つために、科学的説明ではなく、物語的説明の価値を再認識するべきではないだろうか。
 そのための第一の方法は、普段の生活の中で、結果よりもそれまでの過程を大切にしてゆくことだ。現代では、過程を楽しむことよりも、早く結果を出すことを求めてしまいがちだ。ゲームでも、自分で色々試すのではなく攻略本を使ってなるべく早くクリアしようとする人が多い。しかし、早く結果や答えを出すのでなく、過程を楽しむことによって、世界と深く関わることができるのだと思う。この前の日曜日、私の学校では文化祭があった。私は、企画部門という部門に参加していた。これは文化祭のメインである中庭のイベントを企画するもので、忙しく大変なものだ。しかし、文化祭当日までの準備の間、みんなで共同作業をすることによって自分自身が様々な関わりを持つことができた。文化祭に対してはもちろん、先輩や後輩などと関わることによって、新しい考えや視点を持つことができたと思う。実際の文化祭は2日間だけだが、夏休み前からの長い準備期間も私にとっては欠かすことができないものなのだ。
 第二の方法は、無駄な時間、回り道をする時間を許容する社会環境をつくることだ。明治時代の日本には、旧制中学・高校という学校が存在した。(歴史)そこでは、ひたすら勉強をするのではなく、自由に好きなことができたそうだ。毎晩、酒を飲みながら、日本の将来について論じあったらしい。今そのことを聞くと、能率が悪そうだし、もっと勉強をした方が良いのではないかと思ってしまうが、そのような回り道の時間が存在することによって、様々なことに対応できる幅広い人材が育ったそうだ。
 確かに、科学的説明に全く頼らずにいることは危険なことだ。しかし、人間は元来、たくさんの夢を見て、たくさんの物語を作って生きてきた生き物のはずだ。星座だって、ギリシャ人が語りつぐことによって生まれたものだ。それなのに最近は、科学的なことばかりが信用され、物語的説明を楽しむ余裕は時間的にも精神的にも残っていない。現代に生きる人は、心によって世界と関わることの大切さを思い出すべきだ。今あなたの目の前にある物だって、ただの物体なのではなく、あなた次第でどこまでも広がってゆく無限の可能性を持ったものなのだ。

   講評   nane

 書き出しが芸術的。こういう情景がわかる場面を印象的に書く力は大事。何よりも美しい文章を書くというのは、楽しいものね。
 結果よりも過程の例で、文化祭の委員の話を書いたのはいいね。こういう仕事は大変だけど、その大変さの中で深い人間関係が築ける。物語的説明の価値との関連をもうひとこと書いてもいいかな。
 第二の方法の「回り道を」もいい意見。社会実例として、福翁自伝と氷川清話を読んでおくといい。明治時代は、現代の日本の一つの原点だから、引用できる話題が多い。この意見も、物語的説明との関連をもうひとこと入れてもいいか。
 「今あなたの目の前にある物だって、ただの物体なのではなく、あなた次第でどこまでも広がってゆく無限の可能性を持ったものなのだ」は、なかなか書けない文。ここも、物語的説明との関わりをもうひとこと入れるといいかなあ。
 森リンは高得点だった。素材語彙偏差が0.82だったので、同じ言葉が使われている。「文化祭」などか。同じ言葉を省略した分、多様な言葉を新たに追加しておこう。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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