国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   知恵の達人   れもん

 さっきスリッパをどこに置き忘れたかは忘れても、数年前の一瞬の場面だけは鮮明に覚えていることがある。あのとき、あの瞬間、ある先生が発した言葉。幼稚園の頃、友達と喧嘩している一瞬の場面など。何故、その場面だけが思い出されるのか、私には不思議だった。地理のテストで出された「日本の農業の特徴」は思い出せなくても、ボーッと考え事をしていると、昔のある一瞬の場面が不意に思い出されてくるのだ。大抵、その場面が考え事の発端になることが多い。おそらく、それらの場面は「知識」「情報」を超えた、経験なのだと思う。強く衝撃を受けたり、特別に興味があったり、発言者の経験が滲み出ている言葉など、私が日々自己を確立していく過程で、大切な要素となるヒントなのだと思う。「知識」「情報」「知恵」この三つの環の中で、どのような手段を選択したら良いのだろうか。
 まず、思考力「知恵」の部分が大切だ、という意見がある。「情報」「知識」を鎧のように背負って、自己を確立している人と出会うと、まるでロボットみたいな人だ、とよく思う。せっかく一人一人違う人間なのだから、その人の体験談や考えが聞きたいのに、世論や過去の公の事実だけを淡々と話されると、私はがっかりする。私が話していて、面白いと思うのは、熟練された知恵を持った大人っぽい人が多い。「うばすて山」の老人の知恵などのように、知恵を多く持った人のほうが、人生のここぞという大切なときにも、しぶとく強く生きていけるように思う。(複数の意見Ⅰ)(昔話)
 確かに、物事を考える発端や、きっかけ、基礎として「知識」や「情報」も大切な要素である。何も知らなければ、より深く考えることも不可能な上に、世間に対応することができなくなる。「フランス革命」のことを、名前しか知らない人が、フランス革命について、自分の考えを語れと言われても、それは無理である。知恵が突然生まれるのではなく、知識や情報の積み重ねから大きな知恵が生まれてくることを留意しなくてはいけない。(複数の意見Ⅱ)
 このように、「知恵」も「知識」も「情報」も、人の脳にとって、大きな存在である。しかし、その人自身の厚みを表すのは知識、情報から心へと結びついた知恵の部分なのだと思う。しかし、人は生きていく上で、おのずとそれは身についていく。つまり、一番大切なことは、いかに「知識」「情報」を吸収して「知恵」を生み出そうとするかではなく、目の前の一瞬一瞬を越えて、自分自身のレベルを上げていくことである。「なまけ者であることを批判するよりも、人間とはもともとそうしたものだというところから出発するべきだ」という名言もある。時は人を老いさせるだけではなく、その分だけ厚みのある大きな人間にする力を持つと、私は信じたい。(総合化)(名言)
              

   講評   nara

 あるとき、ふと頭によぎること……それが何なのかという書き出しの段落は、なかなかおもしろいね。確かに、普段は考えもしていない・思い出しもしないことが、鮮明に浮かび上がってくる瞬間がある。昔、心に刻み込まれたことと、自分自身の体験・経験が重なり合って共感したとき、もしくは、激しくぶつかり合ったときなのかもね。それは、与えられたものが、自分の血肉になった瞬間なのかもしれないな。
 第1意見の書き出しに「思考力『知恵』」とあるけれど、できれば、「情報・知識・知恵」というそれぞれの言葉を、れもんさんの言葉で定義づけしておくと、よりわかりやすい意見文になりそうだね。例えば、情報と知識はどう違うのだろう? 
 複数の意見は、どちらもよく考えてあるね。それにすっきりとまとまっている。自分の意見としてよく練ってあるので、迷いのない書きぶりになっているよ。
 現代は、インターネットの普及により、情報を得ることが飛躍的に簡単にできるようになった。昔は、情報を持っていることに、大きな意味があったけれど、今は違うね。情報の量が増えた分、質を見極めることが必要になる。そして、それをどう自分のものにするのかが問題になる。こういう時代性をまとめの段落に入れてみると、より多角的な視点を加えられそうだね。

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