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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   会話センス   ノンキィ

 交話機能というのは簡単に言えば、言葉が持つ人と人との気持ちを結びつける作用を指すものである。そしてこれは、人々が本格的な対話関係に入るためのいわば地均し、心の波長合わせを行うもので、対話者同士の一体感や帰属意識を高める潤滑油としての働きを担う。
 私たちが暮らす地球上には、多すぎても少なすぎてもその本領を発揮し得ないものがたくさんある。例えば料理をするとき、その事実はハプニングとなってよく起こる。朝食時にパンを焼くとき、1000ワットのオーブントースター
で10分も加熱するとどういうことになるだろう。無論、もとは白かったパンが全身真っ黒と化して泣きながら出てくることは容易に想像がつく。けれど逆に30秒しか加熱しなかったらどうだろう。パンはほんのり暖かくなるだけで、「トースト」ではない。このような簡単な例も含めると、少し度を越えるだけで全く効用をなさないものがなんと多くあることだろうか。そしてそのような現象は私たちの普段の言語活動の中にも見られるようだ。
 挨拶というのは初対面の人への緊張や警戒といったものを和らげる役割を果たす。去年の四月、ぴかぴかの一年生として中学に入学した私は(笑)、クラス内の気の会いそうな女の子に割と積極的に挨拶をした。それが功を奏してか現在私は学年の女子のほとんどと幅広い友好関係を結んでいる。(戦略みたい……。)このような挨拶やちょっとした天候についての話題は、人と会話するとき緊張してこわばった自身の心を解きほぐす役目を担ってくれるのだと思う。また形式ばった手紙などに登場する「敬具」「拝啓」「時候の挨拶」などもそのひとつだ。言葉自体にそれほど重要な意味はない。しかし一応礼儀作法の一環として書き手にも読み手にも一種の安定感を持たせるものである。(複数の意見一)
 けれども、この潤滑油、ありすぎても困ってしまう。会話するときでもいくら時候の挨拶といえど天気や季節の話を始終一貫してしゃべられると参ってしまうことであろう。「単刀直入」という四字熟語があるが、やはりどうでもよいことをぐだぐだ話されるよりある程度のところで本題に入って欲しいところだ。狼少年は、同じうそを毎日毎日ついていたためしまいには村人に信じてもらえなくなった。けれど、ずっと昔の街から遠く離れた村で、村人たちは退屈した時間を過ごすことも少なからずあったはずだ。そんな時、狼少年のつくうそは適度な刺激になったはずではないか。そこで狼少年がそれを毎日やりさえしなければ。(昔話の実例)いくら効用のある薬でも、常識を超えた量を摂取されるとそれは不快以外の何者にもなりえないのだ。(複数の意見二)
 「多すぎる休息は、少なすぎる休息と同じように疲れさせる」という名言がある。(名言の引用)それは我々の存在する地球上の全てに当てはまる不変の事実ではないか。私たちが他人と会話するときも例外ではない。挨拶や簡単な会話といった潤滑油は、なくても別に困らなし、多すぎてもいけない。けれど、あればよりスムーズに会話が運ぶ。最も重要なことは、その油をどこにどれくらい注すかという私たち会話するもの自身の力量とセンスにかかっているのである。世間一般で会話がうまい人というのは一重にこれらのセンスを持ち合わせている人なのだと思われる。(総合化の主題)

   講評   nara

 2段落目「私たちが暮らす……」に使った導入例はおもしろいね。小学生時代にたとえをいやというほど(笑)練習したけれど、この導入例はなかなか高度なたとえだ。こういうたとえがあると、続く本論の展開もイメージしやすいね。こげたパンはいやだなぁ。
 第1意見:新しいクラスで誰かに声をかけるとき、たいていは、「ねえねえ」「なぁなぁ(関西風?)」と言うだろうね。いきなり「どこの出身?」と聞く人はいないだろうし、そう聞かれると「何、この人!?」と思ってしまうだろう。ニシキギ9月3週の課題長文なども参考になりそうだね。拝啓・敬具などの言葉は、そもそもは意味があったけれど、かなり形式的なものになった。だからこそ、安定感があるのかもしれないね。
 第2意見の狼少年の話は、おもしろい引用だ。一般的に理解されている物語の教訓を引用するのではなく、ひねりが入っているね。こういう解釈ができるようになると、物語を読むのも引用するのも楽しくなるだろうな。狼少年の例に限らず、ほどほどまでは好意的に受け容れられても、度が過ぎると……ということは、いろいろな場面で見つかりそうだね。
 まとめも名言をうまく絡められた。「不変の事実」かぁ。「普遍の真実」でもよさそうだね。問題は、このセンスは生まれつきなのか。後天的に身につけられるのか。どうしたら、磨かれるのか。ここだろうな。言葉がコミュニケーションの手段だとしたら、コミュニケーションをとる相手との距離感をどうとらえるかということがポイントだね。距離感を測るには、観察と思いやりが必要ではないかな。大きく言えば、人に対する興味ということだろうな。
★峰倉かずや・最遊記……検索したよ。なるほど。★

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