創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   フィンランドの   えにほ

フィンランドの保健担当期間が,15年間の長期実験調査を、40歳から45歳の1200人を対象に、食事の指導や健康管理の効果を二つのグループに分けて実行した。1つのグループは、保健専門家から,定期検診や栄養学的な調査を受けてもらった。その上,「運動を毎日する事,タバコ、アルコール、砂糖などの摂取などを抑える」ことを約束してもらう。一方,もう一つのグループには、なんの健康管理も実施しない。この二つのグループを15年後、比較すると,大きな違いがあった。何も健康管理を受けていなかった,後者のグループの方が,病気になった人の数が少なかったのである。あまり良くできすぎている話で,「都市型伝説」と云う類いのものではないかと云う懸念はある。しかし、現代社会のかかえている問題点を象徴している様な話であるのは確かである。ポスト情報社会と云われる現代社会では、医学も発達し,健康、栄養管理の情報は、健康管理に関連した商品、サービスの量と平行して溢れ、その豊富さに比例して、個人の状況にあった物を選択する難しさが増していると言えるだろう。専門家の数も増えているが、その反面、一人の人間全体として関連づけて病気を診てもらうような事は不可能\になっている。フィンランドの調査が提示する志向は、現代社会の建前であり、管理社会での保健管理専門家の役目と繋がっている様に思われる。そんな専門家の役目を優先する建前の社会では、子供の成長の過程を考える時、自分で体の要求を本能\的に学習する場の必要性に鈍感になっている。健康管理だけでは無く、子供の育て方、教育のあり方にも同じ事がいえるだろう。「子供一人ひとりが動物としての感覚を持ち続け,磨きながら成長すえため..」には自然とふれあい、実体験しながら、道具を作り,手や頭を使いながら学習する価値の重要性を見失ってはいけない。

 戦前の私の祖父の時代から比較して、私達の薬に対する意識の変化は大きい。祖父はすでに他界してるが、彼は京都の市中で薬局を長年経営していた。近くの小学校の担当薬剤師の役目は彼の父親の代から受け継いでいた。昔はゆったりした調薬室が店先の後ろにあり,お客さんの症状によって,粉薬を調合し、紙にこまめに包んでいた。近代化が進むにつれ,製紙会社のパッケージした薬を売るのが専門に成ってしまい,小売業的な存在に成り,祖父が嘆いていたのを思いだす。彼の娘の母は、薬剤師ではないが、いらない物は与えない主義で,薬の話よりも、バランスの採れた食事で栄養を取るのが一番の薬と云う思考である。買い物する物の鮮度などはうるさくこまめにチェックしていた。そんな環境で育った私は現代の『薬社会』には辟易してしまう。この10年来は、ビタミン剤や坑酸化物質を含んだ健康補助薬の販売が伸びている。私の知り合いでも、ネットワークマーケテイングといって、友達などを家に招待し、楽しい会話を交えて,いろんな商品を紹介し、販売する仕事をやっている。健康なる物、誰もが興味を持っているのは確かである。それに、カナダの北国に住み,新鮮な野菜や果物にはほど遠く,外食が続いたりで食生活が乱れてしまう。そんな弱みに付け込んで, 坑酸化物質の特典とか癌予\防、老化予\防と云うフレーズを並べられると、どんな物かと興味もわいてくるのも確かである。食生活が乱れているとか,寝不足とかが問題であれば,パッケージビタミン剤を買うよりか、食生活を改善したり,寝る時間の調整や適度な運動を取り入れたりと、やる事は一杯あるはずだ。社会全体が消費することに走ってしまい、それをテコに取って商売する人も多い。私も気をつけるべきだと自粛している。

 現代医学の発展は、めまぐるしいものがある。質の良い医療と医学の発達を維持するためには、高度な管理の文化が必要なのは否めない。週末の新聞の特集部門は『救いの軍隊』と云う見だしで、トロントのマウント.サイナイ病院の内部の状況をカラーの写真数枚添えで報道していた。 パートのスタッフも全員寄せて3,218人を抱える,研究、教育施設でもある総合病院。記事は大きく、複雑な施設の活動を浮き彫りにしている。専門医師、看護婦、その他ソ\ーシャルワーカー等のスタッフの専門知識と最先端の医療技術の結集とそれを巧く繋げる事務員やマネージャー、掃担当のスタッフ達。25時間続けて病院で働くインターンの姿。10年間地元の医者に『使い痛み』といわれ続け、症状悪化のためオンタリオ州外かれ訪れた患者。この病院では、骨肉腫と診断され、的確な手術と治療方法を指示されている。20年前までは、彼のような骨肉腫は,生存する可能\性は殆どなかったが、現在、80パーセント以上、死ぬ心配は無いと云う.医療の場での管理だけで無く,マウント.サイナイ病院級の施設を運営するには、経済的、政治的な物も絡む。トロントは二年前、重症急性呼吸器症候群(SARS)感染病患者の発生で、連鎖的伝播を阻止するため、各病院施設は短期間ではあったが、大きなパニック状態に陥った. 病院の役員会議では、SARS発生の嵐の中、報道関係へ重要な現場との橋渡しをした,Dr.Lowが次の感染病と懸念されている鳥インフルエンザに対する政策的な話をしている。会議に主席している病院への寄増者である資産家達もまじめに集中して彼の話に耳を傾け,質問する。現在、アジア、ヨーロッパで発生している,鳥インフルエンザの報道に絡んで、カナダ政府には誰一人、発生した時の対策案に関してまともに応答できる人はいない。世界でも、SARSのような大型感染病に関して対策案を話せる専門家は数少ない。Dr. Low は数少ない一人である。また、政府からの公共基金はあるが、最先端の医学技術と知識を維持していくための巨額な資金は,資産家や一般市民からの寄贈に頼る事になり、資金集めのキャンペーンは病院運営上の重要な柱となっている。

社会はめまぐるしく変わり,あらゆる商品、サービスと豊富にある。売る方の作戦も豊富であれば,買う方の作戦と交渉力も付ける事が必要になってくる。消費者に値段、機能\,使い易さ、などの情報を提供する「消費者リポート」と云う雑誌が刊行されている。毎月,芝刈り、洗濯機、車、携帯電話など、商品の種類によって細かくランクをつけて、どの会社からの製品が,信頼でき、お買い得が教えてくれる。値段が高く名前は良く出ているが,総ての分野に優れているとは限らない。2002年来、新しい住所に引っ越しして、何かと購入する物が増え,購読仕始めたが、最近は長いランクされた商品名のチャートをみるだけで、辟易してしまう。あんな物は実際に必要だと決めてからリーサチを始めても遅くないと思うようになった。因みに、ポスト情報、消費社会では消費や所有への価値観が変わるようである。消費し,所有する価値感は削減されるらしい。これから育っていく子供達には、自然の中で遊ぶ場と環境はより少なくなる様な気がする。幼いときからバーチュアルなゲームに励み、いろんな役柄をこなす、そんな環境普通になってしまっている。そんな子供は、環境、状況に応じていくつもの自己を表\現できる役者の様になると云う事をどこかで読んだ。「存在する物は,良いとか悪いとか言う前に、すべてのそれなりの理由がある」と言う格言があるように、時代が変われば,子供の成長の仕方、子供の価値観を造る環境も変わる。どの時代も、古い時代の価値観と新しい時代の価値感の衝突する中で、子供達はその時代にあった自己形成を造っていく様に思う。子供達だけでなく,大人達もいろいろ問題を抱えるわけだが、価値観のずれの矛盾を内面化するからのようである。

   講評   unagi

 <1>専門家優先の医療、消費を中心とした健康管理を問題視した要約です。また「体の要求を本能的・・・。」等、健康だけではなく教育にも触れた点がよいですね。
 <2>①「現代の問題点」:家族のエピソードを挙げ、現代の健康管理に疑問を投げかけています。昔ながら細やかなのケアとは程遠い現状がよく説明されています。「弱みに付け込んで」という言葉、売る側買う側の心理を上手く表しています。結局は「運動・栄養・睡眠」が鍵を握るということを説く段落です。
 
 <3>②「最先端医療の重要性」:勉強不足の医者による誤診、新たな脅威となる伝染病を具体例に、最先端の医療機関や優れた医師の重要性を述べる段落です。「資金集め」は、その維持が易しくないことを説明する好例です。
 <4>「時代に即した対応を」と総合化しています。また大人に関する「価値観のずれの矛盾を内面化」という指摘、非常に鋭いですね。名言の引用も的確です。健康関連商品、情報の氾濫も「価値観のずれ」に悩む現代人の心を反映しているのかもしれませんね。
                

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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