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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   常識   まめうしくん

 常識という言葉を辞書を開いて調べると、「一般の人が持っている、また、持つべき知識・理解カ・判断力」といった解釈をしている。
 ただ、私個人の解釈を言うなら「社会生活を営むうえで、当然知っている、と予想される知識」となるかもしれない。この「当然知っている、と予想される」というところがこの言葉の難しいところだ。つまり、個人個人の考え方や生きてきた環境が違えば、この「当然知っている、と予想される」内容も少なからず違ってきてしまうからだ。
「世間」という言葉がある。これを英語に訳すとWORLD(ワールド)になるが、「世界」と「世間」はちょっと違う。「社会」とも似ているが、受ける感じはやはり違う。土居健郎氏の『甘えの構造』によると、日本人の生活は一番内側に身内の世界があり、これは遠慮がいらない。その外側に世間があり、そこでは窮屈な心遣いをすべきである。そしてその外側にまったく遠慮のいらない他人の世界があると考えられてきたのだそうだ。
 日本人にとって「常識」が大切になるのは、この「世間」の世界である。ここでは身内の世界で学んだ「常識」がいろいろな形で試されることになる。「世間さまに笑われる」とか、「世間に出て恥をかく」というような言葉はいかにも日本的だ。
 しかしこの「世間」から抜け出して、まったく他人の世界に行ってしまえば、「常識」はそれほど大切ではないという考えになってしまうようだ。日本人は公徳心がないとよく言われる。公園や道路に空きカンを投げ捨てたりするのは、この辺に原因がありそうだ。「旅の恥はかきすて」などとも言う。誰も知っている人がいなければ、何をしてもいいというわけであろう。
 たとえば、或る人があるアメリカ人に大変世話になって、その次にその人の妹に会った。彼にはとても世話になったのでよろしく伝えてください、と頼んだ。日本人なら至極あたり前のことだ。ところがその妹はつっけんどんに、私と兄とは別々の人間で関係ない。そのようなことを頼まれるのは迷惑なことだ、と言うのでびっくりした。アメリカ人にとってはそんなことを言われるのは、常識外れということらしい。私はつくづく難しいものだと思った。「郷に入れば郷に従え」という。つまり、「常識」というのは、そのくらい地域や家庭によって違う、ということだ。逆に言えば「常識」とは、必ずしも普遍的な知識ではなく、また合理的ですぐれたルールというわけでもないのである。
 そのあるひとの父は東北の岩手県出身、母は生粋の江戸っ子だった。この二人はしょっちゅう意見が衝突していたが、それは正月の雑煮は何を入れるか、といった大変ささいなことから始まっていた。父は絶対鮭の子を入れなくては正月のめでたい気分は味わえない、と言い、母はお雑煮にそんな生ぐさいものを入れるなんて聞いたことがない、と反論する。 つまり、父にとっては雑煮には鮭の子を入れる、ということが「常識」なのであり、母にとっては、入れないことが「常識」なのである。そしておたがいに自分の「常識」が正しいと思い込んでいる。相手も自分と同じ考え方をするはずだ、と予想し、それが外れると、「あの人は常識がない」という言い方をする。つまり「常識」とは大変個人的な考え方の尺度だ、と言えると思う。
 このように、常識は大きなずれをもたらす事があり、そのずれが時として、誤解を招く。しかし、悪いことそのものがあるのではない。時と場合によって悪いことがあるのであるという名言があるように、その常識が間違っているのではないから、その違いを理解する事によってインテリジェンスを得、また、人間的な成長をする事ができる。

   講評   siori


要約がとても長くなったけれど(笑)自分の考えをビシッとまとめることができましたね。

<名言>を使うことができました。やったね。「インテリジェンスを得、また、人間的な成長をする事ができる」という意見は的確ですね。

 高齢化社会において生き生きと活躍する方々には「人間いつまでも成長しつづけます」という謙虚な姿勢の方がいらっしゃいます。頭を柔軟にして、常に新しい自分だけの「常識」を探していくことは素敵な生き方につながるといえそうですね。

とりかかりが大変速いことにうれしい驚き!さっと書く力が素晴らしいと思います。



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