国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   生物的思考を取り戻せ!   うさぴょん

 産業革命とは私たちに大きなものを授けてくれた。それは自分たちの手を煩わせないことを筆頭に、時間短縮とか商品のできばえを均一にするという万能さである。しかし、それらは——見た目の均一化は逆に人の心を傷つけていたらしい。
 その第一の理由<複数の理由一>を小原二郎氏の文を参考にして説明しよう。<長文実例>「新宿副都心ができてから一年後の反省は、予想していたほどの人が寄りつかないことだった」そうだ。また、その原因とは「人を引きつけるなにかがまだ足りない。庶民的な泥臭さ、たとえば赤ちょうちんや縄のれんというようなものが欠けていた」からだと。つまり、なんでもかんでも綺麗にすればいいというわけではないのだ。外見が統一された美しさは人間の目に映る美しさとは異なっているのである。
 また、外観という点では木造住宅が見直されている。例えばオートロックの荘厳な構えの高級マンション。それに比較されるように挙げられている古き良き日本の建築物、木造住宅。セキュリティの面でもちろん高級マンションの方が良いだろうし、デザインも「今時」である。ただ現実を見てみるどうなっているのか。渇きを覚えたのどが潤いを欲するように、疲れた体は癒し(笑)を欲し、「くつろぎ」を家に求める。すなわち、厳めしさ漂う敷居の高い住居ではなく、優しさを感じさせる木の家がいいわけだ。オプションも付けていうならば、周りにいくらかの自然があるといい。これこそが、私たちの原点であり生き物らしさなのではないだろうか。
 さらに、この問題は建物の「芸術第一主義」だけではとどまらない。これが第二の理由である。<複数の理由二>例を挙げてみるとすれば、「プール」だろうか。プールでの第一の目的は泳ぐことであるが、これは川や海に行くのが当たり前であった時代が存在する。また、波の出るプールなどというのもあるが、これは海に行けば否が応でもある現象だ。これをわざわざ人工的に起こしているのは、海に問題があるからではないか。そうして考えた先に、海の汚染という環境問題が浮かび上がってくる。それに加えて現代人は塩辛さも嫌になっているはずだ。かく言う私も、それが理由であまり海が好きではない。見るのは好きなのだが。今はそのような人が増えているのではないか。だからこそその要望に応えるため、波のプールなどがあるのだろう。
 産業革命は私たちに良いことも悪いことももたらしたのではないだろうか。いや、良いことを通り過ぎて悪い方向に導いてしまったともいえるかもしれない。
「問題とは、そこにあるものではなく、自分が作るものである。」という名言があるが、これはこの事態そのものを表している気がする。そもそもコトの発端はといえば技術の革命であり、これを起こしたのは人間である。その結果、生物的な思考を手放し、ためにならない開発を乱立させた。昔から伝わる感覚を失ってしまった。しかし、これはある意味で必要なことだったかもしれない。新たなステップに進むための階段だったかもしれない。そう考えるとあながち間違っていないかもしれない。そう反対の意見に耳を傾けてみると、思いついたことがある。それは、生物的カンを保持しつつ進化の方法を模索するということである。今更飛躍した技術を捨てることもできないし、生物的感覚も放棄したくない。となれば、その間を維持していけばいいのではないだろうか。
 生物的思考を取り戻し、それに巧く最新の技術を織り交ぜながら生きていくとのも、一つの道である。

   講評   nara

 新宿の高層ビル群も、早い段階で出来上がっていたものは、今はもうどこかに「泥臭さ」を蓄えつつあるのかもね。東京都庁ができたとき、かなり威圧的な建物だなぁと思った記憶があるよ。1991年3月に開庁したから15年……泥臭さは感じられるようになったかな。第1理由にも挙げてある「泥臭さ」とは、うさぴょんさんの表現を使えば、どういうものと定義できるだろう。そこを考えてごらん。書き出しに使った「均一」に相対する考え方、ということになるね。
 第2理由は、題材は具体的でわかりやすいけれど、大きな流れ(なぜ均一化は人を傷つけるかの理由)から考えるとやや不明瞭。大きな流れからすると、「プールなどが人を傷つける(もしくは癒さない)のはどうしてか」という論の展開にするとよいのではないかな。
 まとめの段落にあるような方向性は、実は、既に研究が進んでいることだね。人間の持つ技術を画一性に活かす時代はもう終わったということでもあるのかな。いかに効率よく個別対応をきめ細やかにできるか? レベルの高いことに人間の技術は挑戦しているのだね。「ファジー」という言葉も調べておくといいよ。

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