低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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酸素を必要としない微生物 えとわ
この話を読んで私が一番感心したことは,パスツールが新しい生物を発見したことです。それは、酸素を必要としない生物でした。私たち人間が生きていくのにも、植物が生きていくのにも酸素は必要です。つまり酸素がなかったら生きてはいけません。果物も木からもぎ取ってしまうと酸素が果物にいきわたらなくなり、それをお皿の上にのせたままにしておくと、くさった臭いがしてきます。このときパスツールは、微生物の仕業であることをつきとめました。くさった果物を見て、微生物の仕業なんて考えるパスツールを、私は、探究心の強い人だと思いました。
私は、今までに台所でくさったバナナやみかんなどを見ても「くさっているから捨てよう」ぐらいの考えしかありませんでした。父に、
「お父さん、果物をお皿においたままにしておくと、どうしてくさるか知っている?」
と質問してみました。父は、
「知っているよ。年をとっておじいさんになったからだよ。」
と笑わせるような答えを言いました。たぶん、父はくさる理由は知らなかったと思います。この話を読んでから、くさるには、酸素がなくなり微生物が働き出すということが分かりました。微生物は、まるでターミネーターのようだと思いました。《表現》死んだと思ったものが生き返るからです。母も一緒にこの話を読んでいて、感心していました。
「そうなんだ。微生物の働きなのね。じゃあ、くさらせないためには微生物が働かないように、酸素を与えればいいんだ。」
と言いながら、かびの生えたもちを見ていました。すると、母は、
「どうすれば、もちのかびは生えないようにすることができるのかな。朋代、教えて。」
と難しい質問をしてきました。私は、
「おばあちゃんは、かびを包丁で取り除いていたよ。」
と答えました。母は、的をえた答えではなかったようで、がっかりしていました。《題材》
それよりも私は、微生物がどんな形をしているのか、見てみたくなりました。たぶん、のみのような形をしているのだろうと想像しました。野菜や果物は、ある程度の時間は冷蔵庫でくさらせないことができます。ということは、微生物は温度の低いところでは、活発には働けないのだと分かりました。私は、この本を読んで、微生物についてもっと知りたくなりました。《主題》
講評 sugi
今学期はパスツールの伝記。パスツールの研究にさっそく興味を持ってくれたようだね! これから三月までの朋代ちゃんの感想文が、楽しみになってきました。
えとわちゃんが書いているように、ものがくさると、「くさったから捨てよう。」としか思わないのが普通の人の考えだね。くさったものをよく観察したり、調べたりしていたら、「きたないからやめなさい!」なんて言われそう……。あえてそれをやってみるという、パスツールのような人がいなかったら、人類はいまだに微生物について知らなかったかもしれないね。
お父さんの答えはおもしろかったね。パスツールが科学的だとすると、お父さんは文学的。えとわちゃんの「まるでターミネーターのよう」というたとえは文学的だけれど、実は微生物の性質をよく表している、とてもいい説明になっているよ。
微生物はどんな形をしているのか、どんな種類があるのか、いろいろなことを知りたくなってきたね。この長文をきっかけに、お母さんといっしょに楽しく微生物のことを研究できるといいね。
題材は、お父さんに聞いた話がしっかり入っているね。ここに忘れずに題材マークを入れておきましょう。
「的をえた答え」
→ 「的を射(い)る」「当を得(え)る」
この二つが入り混じって、「的を得る」という言葉が誤って使われることがあります。 的は「射る」もの。本来の意味を考えるとわかるね。
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