国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   風景の中の建物   ルフィ

 風景は、その構成物の絶妙なバランスにより、一種のリズムを作り出している。しかし、現代の世の中ではこのリズムを無視した建造物が増えてきている。私は、この現状は大いなる問題であると思う。
 ではなぜそのような事態が起こっているのだろうか。その原因の一つに、戦後の急激な開発、欧米化が挙げられる。私たちは、戦争で全てを失った際、新しい時代に対応すべく「日本的なもの」をおいてきた。私が中学生のころ、修学旅行で京都・奈良へいった。そこには、生粋の東京人の私からは想像もつかない、伝統によって守られた美しい町並みが、周囲の山々の新緑に彩られて残っていた。それに比べて東京はどうだろうか。たとえ六本木ヒルズの屋上から見渡しても、見えるのは灰色の町だけ。ぽつぽつと見えるビルの屋上芝生、街路樹などの緑は、場違いな感じすら受ける。町を練り歩いても、ラーメン屋の隣に老舗饅頭屋があり、その横には派手な看板の風俗店が立ち並ぶ。雑多な町。それをすばらしいと感じ、その光景を好む人もいる。しかし、それは本来の「建物」と「周囲」の関係を壊した末生まれた「偶然の景観」である。そして、少し体重をかければ割れてしまうほどの薄氷の上に立った物であるからこそ、妖しげな魅力を放っているのである。だから、それが決して景観との適合によって成された美しさではないことを、人々は忘れてしまっている。
 また、プラスとならない物を切り捨ててきた、資本経済の理念にも原因がある。分かりやすく説明するために、恐竜を例として挙げてみよう。なぜ恐竜はあんなにも巨大になったのだろうか。そこには、自身が大きい体へと進化しなければ、すぐ他種族の餌へとなってしまう実状があったのだろう。つまり、必要だったから大きくなったのだ。同時に、恐竜に関しては、氷河期が来なくてもすぐ絶滅しただろう、という推論もされている。すなわち、あの巨大な体を維持するためには、それ相応のエネルギーが必要だが、その補給源がやがてなくなってしまうため、ということである。彼らは、気づかなかったのだ。自分たちが、周りの環境に合わなくなるほど大きくなってしまっていたということに(笑)。いや、これは笑い事ではないかもしれない。現に、今の資本主義経済は盲目的に利益のみを追求し、周囲の環境を省みていないではないか。その結果の集合体が、先ほど取り上げた東京、という街なのであろう。
  確かに、建築物を風景とあわせようとすると不便なことも沢山あるだろう。コストは馬鹿にならないし、安全面から見ても危険であることは多いはずだ。しかし「本当に大切な物は、目に見える効果をあげることはできないが、見えないところで確かに息づいている物である。」のだ。だから、私たちの先祖が、かつて持っていた物を取り戻すためには、まずやってみなければならない。目先の障害に捕らわれず、先に待つ景観を見越せなければならない。そして、それができる人こそ、未来という名の美しい景色に、すばらしい建物を造り上げることができるのである。

   講評   kira

 ルフィくん、こんにちは。節分をむかえて、暦はもう春です。
寒さの中に、何かが芽吹いていくようなうれしい季節ですね。


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