低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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無駄ということ こずっち
新聞の面白さというのはどこにあるのか。それは人それぞれだが、新聞が一生懸命論じようとしている欄よりも興味深い内容がたくさんあるのが、コラムや書籍の広告欄などといったいわゆる行間や余白の部分なのである。それらの情報はあちこちに散らばっていて、個人が密かに培養している「私」文化といったものがそれらしくない場所に置いてあることに意外性があり面白くなるのだ。言い換えると、情報も予想されないような背景の中に含まれている方がユニークなメッセージを帯びる可能性が大きいと言える。つまり、余分な所にある物の大切さを理解するべきだ。
無駄なところが良いとされる理由は、余裕という言葉が含まれているからだと思う。何事も切羽詰った状態だと上手くいかないことが多いことに対して、余裕を持った人、余裕のある状態はとても良い結果を生み出す。ひとえに無駄と言ってしまうと何か悪い印象を持たれがちだが、余裕を含んでいるととても良いものになってくる。
私は世界史の授業が大好きで、授業になると急に目が冴え、先生の板書だけでなく言っていることも一字一句書いて流れを覚えている。確かに自分だけで黙々と勉強するのも楽しいのだが、期末テスト前友達に「世界史の勉強の仕方が判らないから勉強できない」と言われ、私も協力することとなった。下校中歩きながら4人くらいで「九カ国条約の内容は…?」など問題を出した日が続いた。私も友達もそれが楽しくて、正統な勉強ではないが下校という無駄な時間を使って余裕のある勉強ができた。友達はテスト後に覚えた所は全部できたと嬉しそうで私も良かったと思った。
次に正統性ばかり突き詰めると逆にあまり良い結果をもたらさない。何事もまともにやることが良いとされている日本社会では、ちょっとイレギュラーなやり方をしている人を見ると嫌がったり、内心恐ろしいと思っていたりする。それはまともにやっている人間より限度もあるが、少し無駄なことをやる人の方が業績が伸びたりすることが多いからである。
例えば、最近ライブドアの堀江社長が逮捕される事件が紙面やメディアを騒がせている。彼は会社を大きくすることには手段を選ばず、資金を手にいれるために様々な方法をとった。これは正統な行動ではなく、株の時間外取引など新しい手法を取り入れ社会を驚かせた。堀江社長はその度が過ぎてしまったため犯罪という形になってしまったのだが、その前の段階でしていたことは少なからずIT社会に新しい風を吹き込んだと言えよう。その余裕を見つけての行動は正統だけでは進めないということを身を持ってして明確にした。
確かに社会生活をまともに営むことはとても大切なことで、ましてや無駄の行き過ぎが犯罪になってしまった日には社会復帰もままならない。けれども適度な無駄を置かないことには新世界を切り開けないのだ。何か意外性のあることをしてみようと思うなら、心に余裕を持つことも大事なのだ。つまり、無駄とは不必要なことをいう意味ではなく、必要を補足するという意味を持つ言葉なのである。
講評 nane
今回もよくまとまったね。
冒頭の部分は要約でなく、現在の状況実例を書いてもいいよ。
世界史の勉強の体験実例は面白い。みんなと遊びながら覚えるというような無駄があると、勉強そのものの能率はそれほどでもないけど、そこから何か別のものを得る可能性があるからね。この体験実例の部分は、もう少し表現を圧縮してもいい感じがする。同じ言葉を使っているところはできるだけ省略するか、別の表現で書いてみよう。
ライブドアの話は時事的。このように、社会的な話題を料理するのはいい方法。この部分で素材語彙の点数が上がっていると思う。世界史の勉強が好きなら、世界史の話から話題を探してきてもいい。
「無駄とは不必要なことをいう意味ではなく、必要を補足するという意味を持つ言葉なのである」は、難しい名言だけど、よく考えたね。「むしろ無駄こそが……」と書いてもいいと思うよ。
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