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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   アイデンティティのある生き方   えよさ

 現代社会はアイデンティティ不定の時代といわれている。若者はモラトリアムに陥り、自分が社会の中で果たすべき役割を果たすことができないでいる。青年期には、自分らしさを見つけることができず、社会の中に自分の居場所がないという不安がつきものである。産業革命以前の世の中では、子供は「小さな大人」として扱われていた。身体が小さいだけで、中身は大人と同じだと考えられ、大切な労働力でもあった。つまり、「子供期」というものは存在しなかったのである。近代では、学校制度を取り入れたことによって、子供から大人になる、という明確な境目がなくなってしまったのである。それでは、どうすればアイデンティティのある生き方をすることができるのだろうか。
 第一の方法は、アイデンティティを持つという確固たる心構えを持つことである。自己同一性を持つためには、まず自立することが必要だろう。私は、経済的にではないが、精神的に自立するために、一昨年の夏に、オーストラリアでホームステイをした。親の元や、慣れ親しんだ生活、日本語という言葉から離れ、見知らぬ土地、ほとんど話せない言葉、全く価値観の違う文化の中で、一人生活することは、自分の存在、生き方について、考えさせられるよい機会となった。そのような未知の世界の中にいた時、自分の存在は誰からも必要とされていない、存在すら認められていないかもしれない、という自分が自分であることが、薄れていくような不安を感じていた。自分の無力さや小ささを、はっきりと気づかされた経験であった。しかし、それ以上に、そのような生活の中で、一人で生き、自らを知ることができたのは、私にとってかけがえのない貴重な体験になったのであった。
 第二の方法は、アイデンティティを持つための、社会側の体制である。若者の自立を進めるための機会は、社会の中に様々にある。ボランティア活動や、インターンシップなどによっても、社会のニーズや、社会の中での自分を見つけることができるだろう。ゆとり教育には、学力低下などの問題もあるが、そのゆとりによって、自分らしさを発見する時間を得ることもできるだろう。織田信長は、手荒いことをしても、天下統一という目標に向かって、邁進した人物である。戦国時代という体制が、彼の目標を受け入れ、それが彼の自分らしさにつながったのではないだろうか。
 確かに、社会側の体制の不備が原因となって、モラトリアムを引き起こすこともある。しかし、自分がそのような厳しい社会で生きていくという心構えと、懸命に自分の目標に突き進むことで、アイデンティティのある生き方に近づくことができるだろう。社会の中で、自分らしさを失わないで生きることは、容易ではない。しかし、常に理想や目標を持てる生き方を私はしたい。アイデンティティとは、自分が自分であることではなく、自分を自分にすることである。(名言)

   講評   nane

 書き出しの部分の要約がよくできている。ここは要約でなく、状況実例を書いてもいいよ。むしろその方が小論文試験では応用できるかも。
 「どうすればアイデンティティのある生き方をすることができるのだろうか。」は、このように書いてもいいけど、更に自分の問題として考えていることがわかるように書いていくとなおよい。社会問題もすべて、自分も含めた社会の問題として書いていくと、文章に迫力が出てくる。
 オーストラリアのホームステイはいい実例。しかし、最近ホームステイをする人は多いから、ここは一つとっておきのエピソードを入れて個性を出すようにしていこう。ホームステイをしたという説明を書くのではなく、オーストラリアでこういう体験をしたという具体的な事実を書いていくことが大事。
 インターンシップのような社会的な話題は、広がりが出る。新聞などでこれも具体的な話を知っている場合は書き加えてみよう。織田信長のような実例で、自分の得意な読書分野からの実例を用意しておくといいよ。
 モラトリアムというのには、いい面もある。例えば戦争中は、モラトリアムなど言っていられなかったけど、それは社会がそれだけ人間性に反するものだったからという面もある。
 「アイデンティティとは、自分が自分であることではなく、自分を自分にすることである。」は、いい表現。もうひとこと工夫してもいいかも。


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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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