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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   珍しい雪   えとわ

 私の住んでいる佐原市は温暖なところで、雪はめったに降らない。先日、珍しく雪が積もった。母は、困っていた。なぜかというと、伯母が亡くなったので、お通夜に行くのに、ノーマルタイヤの車しかなかったからである。父が単身赴任で新潟にいた時、父の車はスタットレスだった。でも、今はスタットレスではない。父は、もう使うこともないだろとタイヤを後輩にあげてきたそうだ。こんなことなら、人にあげないで、持って帰ってくればよかったのにと私は思った。お通夜の次の日は、私の書初め大会がひかえていた。千葉市の天台運動場の体育館で行われるということで、車で行くつもりだったから、両親は困っていた。私は、そんなことより、雪が積もってきたことで心がうきうきしていた。父は、お通夜の朝
「スタットレスを買いに行ってくる。」
と言って、家を出ていった。母も外に出て、窓を掃除する道具で、自分の車の上に積もった雪を落とした。私は、バトミントンのラケットを持ってきて、一緒に雪下ろしをした。母は、車の上の雪下ろしが終わると、さっさと家の中に入ってしまった。寒がりの母である。私が一人で、雪だるまを作って遊んでいると、近所の知り合いのおじさんが通りかかり、写真を撮ってくれた。おじさんは、めったに雪が降らないので、雪景色を写真にとっておこうと、いい景色を探していたそうだ。
 しばらくすると、高校生の姉が遅く起きてきて、友達と雪だるまを作り始めたので、私も仲間に入れてもらった。姉は、小学生の子どものようにはしゃいでいた。私の雪だるまとは比べものにならないほど、大きな雪だるまになった。母に、
「もう雨に変わってきたから家の中に入りなさい。」
としかられてしまった。しかたなく、家に戻った。もう雪は降らないのかなとがっかりした。でも、新潟の方では、積雪が3m以上になり、家がつぶれたり雪下ろしで亡くなった人がいたりして大変だというニュースを聞いて、あまり雪が降らない方がいいのかもしれないと思った。
 父が帰ってきた。父の話だと考えることはみんな同じようで、タイヤ屋さん開店前からチェーンなどを買い求める人がずいぶんいたそうだ。夕方近くになって、両親はお通夜に行った。私は、祖父母宅で待っていた。両親が帰ってきて、母は、
「帰り道、雪にハンドルをとられたのか、横転事故を目の当たりにしたんだよ。・・・」とまるで新聞記者のように、私にいろいろ説明をしてきた。《表現》雪を甘くみると大変なことになるんだと父の言っている意味がわかったような気がした。また、母は、
「もう雨になったから、スタットレス、必要ないかもしれないね。明日は、道路が凍結して、スタットレスでも危ないかも。」
と心配していた。父は、
「高速道路は、塩カリがまいてあるから大丈夫だ。それより、明日の朝、火葬場に午前9時に行く方が危ないぞ。」
と逆に母を心配していた。優しい父である。
 次の日、私と父と祖父母の4人で中央席書大会の会場に向かった。母は、祖母(母方)と、祖母の車(チェーンがまいてある。)で火葬場に向かった。この日は、お天気で、積もった雪が一面真っ白で、まぶしかった。雪景色はとても美しい。会場に着くと、雪かきしていない所を、まるでペンギンのようによちよち歩きで通って行った。《表現》お天気でも、まだ雪が溶けない。体育館の中は寒く、手も冷たくて、かじかんでいた。筆を持って練習をはじめた。練習の時は、父がそばにいてくれたが、本当は母にいてもらいたかった。本番は、手本を見てはいけない、3枚しか書けない。保護者は、そばにいられない。ギャラリーで見ていた。精一杯がんばった。来年は、もっと練習をしようと思った。結果は、1週間後に千葉日報新聞に載った。私は、千葉日報社賞だった。特別賞には入らなかったけれど、新聞に氏名が載っただけで満足だった。雪と同じ珍しい出来事だった。あれから、雪は降っていない。《題材》
 昨年、一昨年は、父が新潟に単身赴任をしていたので、冬に新潟に遊びに行くと雪を見ることができた。スキーに連れて行ってと頼んでも、なぜか、温泉に行ってしまう。
弥彦山に登って、3人で雪合戦をした思い出がある。雪の上で転んでも痛くない。たぶん、スキー場に行ったら、雪とたくさん遊べるだろうと思う。父に、
「どうしてスキーに連れて行ってくれないの。」
と尋ねると、
「寒いから。」 
という理由だが、私には納得できない。いつかスキーをして、思いっきり雪と遊びたい。《主題》

   講評   sugi

 長い作文だけれど、おもしろくて一気に読み終えてしまいました。千葉県ではめったに降らない雪が降ると、それだけで大ニュースになるほど。あの日、朋代ちゃんの家では、たくさんのできごとが重なって、たいへんだったね。この長い長い二日間のことを、朋代ちゃんは書きたくてしかたがなかったのでしょう。だれかに伝えたいという気持ちが強ければ強いほど、勢いのある内容のこい作文になるね。また、読者のことを考えて、細かいところにまで気を配って親切に説明をしたところも、とてもよかったよ。
 お姉さんが、小学生の子どものようになって遊んでいたという話は、おもしろいね。めったに雪が降らない地域で雪が降ると、心が躍るもの。写真を撮ってくれた近所のおじさんも、雪が降ってうれしくてしかたがなかったのでしょう。(笑)
 その反面、スタットレスタイヤを買いに走ったお父さんや、朝早くからお葬式に出席するお母さんは、たいへんだったね。お母さんが見た横転事故の話や、雪国で被害が出ているというニュースの具体的な話を入れて、雪は楽しいだけのものではないという意見も入れることができたね。
 この大雪の中、ぶじに席書大会に行くことができて、よかったね。ふだんのお稽古の成果を、ぞんぶんに発揮できたようで、千葉日報社賞とはすばらしい! 本当におめでとう!

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
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