国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   アイデンティティ不定   えにほ

社会が裕福になり食べる事には苦労しない生活になると、人は自分の生き甲斐、そして,自分らしさにこだわる。何が自分らしさなのか、どうしたら自分らしい生き方ができるのか。果たして,自分らしく生きられているのか悩みも増える。そんな現代人の悩みも大きな社会の変化を反映していると言える。近代社会以前の社会では,物心つく頃から,大人と一生に共同体の一員としてしごかれ、鍛えられ、子供だと言う特別な待遇はなかった。きつくしごかれる権限の無い子供から早く成長して、一人前の大人なるのだと言う気持ちが大きな成功の鍵に成ったと言う話は昔の人の自伝などで良く訊く。昔、武家社会や貴族社会には子供と大人を区別する通過儀礼があり、それと共に違った役割や役目の自覚を持つことになる。それに比べ,近代以降は核家族が一般化し,子供は幼稚園から大学まで『教育課程』の枠組みで成長して行く。子供は社会から隔離され,保護され育つことになる訳だ。消費者社会が進みにつれ、なんでもかんでも多様化思考になり,アイデンティティ不定の時代であるとも言える。昔のように共同体がありその枠内で自分の役目をみつけることで、生き甲斐が持てた社会から,どんなグループに参加するかと言うことも自分の選択次第になる。つまり、どのように自分のアイデンティティを持つかも大きな課題となる。

そのためにはまず第一に、定期的に自分の時間の使い方を振り返る時間を持つ事が大切である。日記やメモに日頃思っている事や経験を綴る事は良い方法だ。偏った時間の使い方や、いつもやりたいと思っている事を検討する良いチャンスでもある。心の余裕と切り替えが巧くできているかもチェックできる。やる事ばかりが重なって大変な時も、心の安定を取り戻すちょっとしたきっかけともなる。日記に綴る事で自己分析を日頃からする習慣になるのもプラスになる。自分だけの分析に終わらないよう、家族、友達からの間接又は直接な自分の考えていることの反応も大切になる。

それから第二に、何か小さな事でもいいからボランティアの仕事の活動で社会との繋がることが大切である。結構、本職ではなく、ボランティアの仕事で生き甲斐を感じている人は多いと訊く。私の場合,司書の仕事に関連しているが、マニトバ州の日系会館の図書館で週に一度ボランティアの仕事をしている。マニトバ州では一番日本語の蔵書の多い図書館で結構利用者も多い。目録のコンピューター化の仕事で時間のかかる手間な仕事であるが、日頃接触のない日本人の方々と一緒にプロジェクトを展開していくのも全く違った味がある。

確かに、主な先進国の傾向として,近年は婚期も遅れ、親と長年同居する傾向に有ると言う。カナダ学生も、高校まで熱心に子供のスケジュールを調整し、車で必要な所に送り迎えするかなりの過保護主義になっている。大学に入学し、何から何まで自分の決定が物を云う環境に対応することになり、かなりのカルチャーショックを受ける学生も多い。『経験は最良の教師である』と言う名言が有るように過保護になれている若者もいつか自立する経験を積み重ねながら試行錯誤しながら自分のアイデンティティを作って行く事になる。

   講評   unagi

 <第1段落>時代背景の推移を絡めて、本文を適切に要約しています。生き方の主題「昔のように共同体がありその枠内・・・大きな課題となる。」
 <第2段落>方法①「自分の行動・所感を綴る」:日記で自己を客観視するという具体的な方法を挙げています。段落最後の「自分だけの分析に・・・。」が加わり、ますます説得力を増しています。
 
 <第3段落>方法②「社会とのつながりをもつ」:ボランティア活動を体験実例として、方法その2を挙げています。「結構、本職ではなく・・・。」主題にある「選択次第」という考え方が、ここにも反映されており、まとまりのある文章になっています。
            
 <第4段落>「主な先進国の傾向として・・・。」で反対意見への理解を記しています。「大学に入学し・・・。」という説明を入れることで続く主題までの流れがスムーズになっていますね。名言も適切なものを選んでいます。
                   

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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