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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   島の法則   えせち

 島に住む動物と大陸に住む動物とでは、体の大きさが違う。なぜ島では動物のサイズが変化するのだろうか?捕食者のいない環境に置かれると大きいものは小さく、小さいものは大きくなって無理のないサイズにもどっていく。このような体のサイズの変化の方向性が「島の法則」と呼ばれるものだ。巨大であることや矮小であることはそれなりの代価をしはらわねばならぬことである。たとえばゾウにしてみればほんとうは普通の動物に戻りたいのかもしれない。「島の法則」は人間にも当てはまりそうだ。
 日本に生息する生き物と外国に住むそれらを比較すると大きさの違いに驚かされる。例えばヘラクレスオオカブトを初めてみたときは一角獣のような大きな角とカナリヤ色に輝く甲羅に釘づけになった。日本に生息するクワガタやカブトムシが当たり前で標準的なサイズだとずっと思っていたからだ。カブトムシに限らずじつにさまざまな生き物の大きさが島と大陸では違っている。生き物のサイズはその環境に適しているから違いが生まれるのだろう。それは季節(特に暑さ寒さ)がネックになっているのではないだろうかとも思う。あまり体型が大型化すると気候の変化についていけない。ある程度小型であれば耐え切れる可能性が出てくる。食べるものが少ない冬の時期に少量の食物で生きられる。確かに日本の生物は迫力に欠けるけれど急激な気候の変化に耐えられるコンパクトなサイズは立派に機能したサバイバル集団といえるだろう。体形といった観点からも動物のくらし方に都合のいいようにうまくデザインされている。
 また、人間も住んでいる場所で体が違ってくる。肌や目の色の違い手や足の長さなど。日本人の目は茶色か黒だが、外国人のなかには青や緑の人もいる。この青い目と黒い目ではわずかながら見える色にちがいがあるという面白い実験結果がある。青い目で見る方が赤・青・黄の微妙な色合いを若干見分けることができるのだそうだ。目の色の違いは生まれながらに持っているメラニンの量の違いであり、肌を黒くするメラニンが少ないと目の色は青や緑になり逆に多いと茶色や黒になる。なるほど日本人や黒い肌の人の中には青い目の人がいないことに納得した。このように肌の黒い人は元をたどれば強い陽射しのあたる赤道付近の人びとであり環境への適応と自然淘汰の結果としてその生息条件に適合した体形や性質をそなえている。
 人間の場合も「島の法則」があてはまる。ぼくのクラスのようにこじんまりとまとまったところでは平均的でみんなと同じことがよしとされる。みんなと違う意見や行動をしようものなら、でるくいは打たれてしまう。そこからどんぐりの背比べが始まるのだが「井の中の蛙大海を知らず」ということわざがあるよう小さい社会にいるとその中で一番であることに満足してしまう。そしてそれが当たり前になったころに一歩外に出てみると自分と他人のやっていることの違いにはっと気付くのだ。自分と他人との違いをみつけ世の中にはこんなに凄い人がいるのかと反省し改善しようと学習するからこそ進化し続けると思う。昆虫や植物や動物との決定的な違いは環境に合うように自然と進化したものではなく自分自身でもっとよくしていこうと頭で考え工夫し道具を変化させていった結果のうえにあるのだと思う。だが、大人数の集団を築き上げることはそれなりの代価を支払って努力しなければならないという点で動物と人間の社会も同じなのだとわかった。

   講評   hamura


 本文は、様々な例を取り上げながら筆者の言う「島の法則」を論じています。要約ではこの点をしっかりと押さえながら、最後の「人間にも当てはまる」という重要な見方についても入れているのでとりこぼしなく完ぺきにまとめられました。上手です。感想文でも、虫、人種、社会、という3つの例をバランスよく取り上げながら、本文と同じように、他の生き物から人間へと話題を進めています。この取り上げた順序もよかったと思います。またそれぞれの例で、虫の場合は「気候の変化」という考え、人種の場合は実験という「聞いた話」、社会の場合はことわざを入れた自分の体験談から出た意見(この部分がとても上手です)、というように、3様の書き方を使っているので変化に富み、文章としても味わいがあります。何よりよかったのは、自分で導き出した最後のまとめの意見です。昆虫などとの違いはある、同じ点もある、という意見を、「確かにAである、しかし、Bでもあるのだ」という文型で書けました。これはBを強く主張するのにとてもいい書き方です。自作名言の技が入っています。大変よくできました。


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