国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   今日は、ぼくが料理をしよう   えせち

「今日は、ぼくが料理しよう。」
 いつもはそう思わないのに今日だけ無性にやってみようという気持ちが沸いてきた。さて、何を作って食べようか・・・。空腹のため想像は無限大に広がる。頭の中のいろんな引き出しを開けて探した結果、スパゲッティ・ボロネーズを作ることにした。早い話がミートソースの事である。よし、最初に作り方はどうすればいいのかをインターネットで調べることにしよう。家にない材料はスーパーに買いに行けばよし。足りない材料はパセリ・ひき肉・にんにく・トマトの水煮・ナツメグの5種類だ。
 野菜売り場で速攻パセリと書いてある札を見つけた。スポンジに根が生えひょろっとして先端が緑???の野菜を迷わずカゴに入れた。にんにくとひき肉はすぐ見つかった。トマトの水煮はホールとカットのどちらを買えばいいのだろう。傍で商品整理をしていた定員さんに聞いてみよう。メモを覗き込みながら
「あっミートソースね。これ君がひとりで作るの、すごいね。ホールトマトだよ。あとトマトは潰して入れてね。」
 褒められるほどのものではないと思ったがちょっとうれしかった。それから、ナツメグと・・・。肉の臭みを取るらしいナツメグは香辛料の棚にひっそりと収まっていた。すべての材料が揃い、途中おいしそうなコロッケと焼きたてパンの香ばしい匂いの誘惑にかられながらもレジまでまっしぐら、超特急で帰って来た。
「ひき肉とにんにくとトマトの水煮とナツメグはいいけど、これ、かいわれ大根って言ってパセリじゃないの。」
 野菜が苦手のぼくはこういう時、思いっきり恥をかくのだった。だが、そんなことはすぐに忘れてさぁ料理に取りかかろう。ニンジンとニンニクをみじん切りにすると、次はタマネギに大苦戦!なぜそんなに悲しいのと、止めどなく流れてくる鼻水と涙にゴーグルを着ければきっと大丈夫だろうと冗談半分に試してみることにした。そうしたら、あら不思議、涙が出なくなってなかなかの優れものである。
 材料を切るだけで悪戦苦闘だが峠は越えて料理は中盤にさしかかった。あとは材料を炒めて煮込めばよしと。にんにくと鷹の爪をオリーブオイルで熱していくとイタリアンレストランの匂いが立ち込めてきた。
「いい匂いね。この際冷蔵庫の大掃除をしましょう。」
 と言いながら母はやっと台所に登場して来た。ぼくが熱さと戦いながらひき肉とタマネギを必死に炒めているとセロリとホールトマトを入れ、固形コンソメをポン、スィートチリソース・ケチャップ・ピザソース・お好み焼きソース・肉味噌など少しずつ残っているものを次々とフライパンに放り込んだ。そんな材料レシピには書いてないぞと思いながらも煮詰めたころには訳のわからない調味料の酸味・甘味・塩味がうまく調和して仕上がっていた。煮詰めること1時間、何度も味見をしながら程よく水分を飛ばしていくとコクが出てきてうまくなった。仕上げにブランディで香りを付けパルメザンチーズをたくさん入れ完成だ。タイミングを合わせて茹であがったパスタの湯気が食欲をそそる。パセリのかわりに貝割れ大根がアクセントを利かせているのが、オリジナルっぽくてまぁいいだろう、今日の出来栄えはほぼ完璧である。デジカメで映像を撮りついでに父に写メールを送ると!!!マークとたくさんの絵文字が返ってきた。
「これなら、お店に出せるわね。」
たぶん母は出来上がりと味に満足していたに違いない。ニンジンをもう少し小さくすればよかったと野菜嫌いのぼくはちょっと後悔した。
 はじめて包丁を使いひとりでコンロのスイッチをひねった2年前は恐る恐るの手さばきだったが習うより慣れよというもので回を重ねるたびにインスタントラーメンやカレーなど簡単な料理を作ることが出来るようになった。ひとえに食べたいという欲求が作りたいという意欲をかりたてじょうずになっていくもんだなんだなぁと実感したひと時だった。


   講評   hamura



 苦戦しながらも楽しく料理をしている様子を、流れるような文体で長文に仕上げていますね。料理のリズムと文体があっているのでしょうか、はずむように、色や音、香りまでよく伝えています。特に色を入れていないのですが「色」を感じられるのは、具体的に材料などを挙げているからでしょう。「ぼく」という言葉も極力減らしていて、出てくる場面は「野菜嫌い」とお母さんが出る場面、というように、自分を外から眺める部分だけというのも効果的です。意識せずにこのようになったのでしたら、それは持っているセンスがいいのでしょう。途中の会話を入れることや、全体的に長めの文の中に時々短い文をはさむことで、文全体に変化をつけているのもすばらしいです。本当にお腹がすいてきました。最後の段落で、2年前のことに触れたり、「わかったこと」という主題を「・・実感した」という上手な言い方で述べたところが、とてもよかったです。絵も入りましたね。堂々の合格!

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