創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

昨日2356 今日647 合計10001
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   義理と人情のある社会   えよさ

 現代の社会では、道徳的共同体をつぶしてきた法的社会が普通の社会となり、国家となっている。契約的なつながりを重視する合理主義が世界基準となった。その一方で、日本の社会では、血のつながりや身内などの共同体意識が優先されることがある。中国の諸子百家である孔子の時代では、共同体の中の道徳が現実に機能していた。法を優先する合理主義的な考えは、異端の思想であったのだ。そのような思想に対し、秦の始皇帝の時代には、法家の韓非子らによりもたらされた、法を基準として世の中を治める、法治国家という仕組みになった。そしてそれは、現代の社会の世界基準となっているのである。このような時代だからこそ、私は共同体的倫理を大事にして生きていきたい。
 第一の方法としては、「義理と人情」を大切にすることである。自身の利害に関係なしに、他人のために温情を持って尽くす心を持つべきである。合理主義的な考えのもとでは、利益を追求するあまり、人間関係の中の「情」というものが、欠けてしまう。私の小学生時代の話であるが、私の友達のクラスでは、「告げ口」が奨励されていた(笑)。奨励されていた理由は、悪いことをした本人に罪の意識を持たせ、反省させるためだと思われる。いくら他人のためであっても、密告をすることが善いことである、と思い込まされ、習慣づいている環境の中では、真の人間関係は築けないだろうし、人を信じることさえできないかもしれない。それにしても、自分がそのような思想統制をする学校に通っていたと考えると、とても恐ろしい。(笑)人間はやはり、共同体の中では、情を持ってお互いにかばい合い、助け合って生きるべきである。
 第二の方法としては、社会の中でも、共同体意識や協力する意識を持つことである。例えば、学校について考えてみると、学校では勉強をするだけでなく、人と人の触れ合いや、行事などで協力することにより、仲間意識を持つことができる。人間を育てる「小さな社会」において、人間関係や、共同体という考え方を学ぶことは、とても重要であると思う。会社について言えば、最近では内部告発がニュースなどで頻繁にとりあげられている。不正を正すことは善いことであるが、やはり信頼関係が必要とされる場において、周りの人間を信じられないことは、大きなマイナスであると思う。会社においても、宴会や社員旅行などで、交流を深め、確かな信頼関係を築くことが大切である。勝海舟は、江戸の末期に幕府に仕え、尊王攘夷運動に反対したものの、彼の能力が買われ、旧幕臣でありながら明治政府にも仕えた。このように、革命後に前勢力の人間が政府にとどまることは、ヨーロッパでは考えられない。理屈よりも人情を優先した、日本ならではの例である。(伝記)
 確かに、社会の中で法に基づいて生きることは大切である。法があるからこそ、社会は秩序づき、人々は安心して暮らせるのである。しかし、法や規則ばかり重視している社会では、義理や人情、人間同士の信頼関係が希薄になってしまう。私達は、利益だけを追求する合理的な考えではなく、人間関係や仲間意識を重視し、お互いに協力し合って生きるべきである。人々が自己中心的で、殺伐とした世の中である今こそ、孔子が唱えたような「仁」のある政治、社会が求められているのではないだろうか。そうすれば、もっと和やかで平和な社会が実現するだろう。共同体倫理は、時代遅れの考えではなく、現代社会に平和をもたらす国際基準である。(名言)

   講評   nane

 書き出しの意見がよく絞られている。今回練習している「生き方の主題」は、いろいろなテーマで使えるからよく覚えておこう。
 小学校のクラスの「告げ口」は面白い例。日本では、共同体的倫理の方が優勢だから、告げ口する子は少ないだろうけど、子供のころからそういう環境に置かれると、考え方も変わってくるかもしれないね。
 明治維新はいい例。この時代に、近代日本の文化の原点ができたような気がする。明治維新がフランス革命のような流血革命にならなかったのは、当時のリーダーたちの人柄によるところが大きい。
 結びの名言もよくできた。共同体的倫理は、世界の未来の倫理かもしれないね。
 社会実例をもう少し具体的に書いていくと、素材語彙の点数が更に高くなると思うよ。


毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)