創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   外国人受け入れについて   えほる

一.日本人もアメリカ人も、全くの悪意無しに国際理解のじゃまになるような迷信を持っている。日本人は外国人にはどうしても日本のことを理解できないと思いこんでいる。同時に、外国人にわかってもらえないことに優越感を覚えている。反対にアメリカ人は、自分たちが一番であり、自分たちの行動や考え方が世界基準であると思っているので、外国人が自分たちと同じ行動をとることを当然と思いこんでいる。(要約)私の住む愛知県では、自動車工場で働くブラジル人が年々増えている。また、フィリピンからの看護師等の有資格者を受け入れる体制が将来的に整いつつある。これらの現状を踏まえ、外国人を日本に受け入れる是非について、考えてみたい。
二.外国人を受け入れることは大切であろう。下請け工場などの労働力不足を補うからである。これらの工場では、雇用条件が悪い等のため、日本人は働きたがらない。特に若い人が集まらない。出稼ぎの外国人はたいてい若い。雇用条件が悪いと言っても、彼らにとっては大金が稼げるし、自国で職に就けないよりはずっとましである。工場にとっても、安い賃金で、保険の負担もなく都合がよい。愛知県豊田市では、出稼ぎの外国人労働者ばかりが集まった町がある。小さな町工場では、彼らがいないと利益が出ないと聞いたことがある。(実例)また、国際交流という観点から、将来的に日本の情報を自発的に発信することがますます必要になる。在日経験のある外国人は母国に日本の情報を広める発端となるであろう。その点からも受け入れは重要である。
三.しかし、外国人を受け入れることにより、先述の町や近隣で色々な問題が生じている。まずは犯罪の増加である。稼ぐために来日したものの、まじめに働くことができず犯罪に手を出す。昔話「ありとキリギリス」では、冬に備えてありはせっせと働くが、キリギリスは遊んでばかりいる。例えば、この働き者のありの中にキリギリスを仲間入りさせたら、ちゃんとまじめに働くであろうか?きっと、作業が停滞し非効率になるだろう。つまり、もともとありとキリギリスは育った背景が違いすぎるので、互いにとけ込めるとはとうてい思われない。日本人の中に外国人が入っても同じような現象が考えられる。また、文化、宗教の違いにより衝突が生じやすくなる。対日本人だけでなく、外国人どうしにおいても問題である。現に多民族国家である米国等では白人至上主義(KKK)等、過激な思想を持つグループが存在している。日本でも、日本人至上主義者が台頭し外国人との衝突が絶えない状態になる可能性は否定できない。よって、外国人を受け入れない方がよい。
四.確かに外国人を受け入れには、以上のようなメリットデメリットがあるが、重要なのは、日本社会や市民の生活が脅かされない程度に、外国人を受け入れることが大切であると思う。受け入れを完全にやめてしまえば、国内の労働力が下がり、国際社会からも取り残されるであろう。日本を理解できる人間も減っていくであろう。「脱皮できない蛇は滅びる」(ニーチェ)という諺があるように、鎖国時代のようなことを続けていては日本の将来の発展は望めないからである。具体的には、入国審査を厳しくすべきである。犯罪歴のある者や、感染症を持つ者の入国を拒否すべきである。なぜなら、一旦入国したら、追跡が困難になるからだ。政府は入国審査の基準をより厳しいものにすべきである。

   講評   baba

 ホットなテーマですね。身近なところに課題文のテーマをもってきているところも評価できます。各段落は鋭い切り口で論述されていますね。
<第一段落>
 要約に続けて「外国人を日本に受け入れる是非について」問題提起。スムーズな論の流れがいいですね。
<第二段落>
 意見の一つ目として「外国人を受け入れることは大切であろう」と提示しました・その理由として労働力不足を補うためと、外国人労働者は将来日本の情報を世界に発信してくれる存在として重要だということを書きました。意見とその根拠が実例を伴ってしっかり論述されています。
 国際交流という面から見れば、日本にいる外国人に対して私たちは自らの態度を見直さなくてはならないですね。外国人労働者はいわば社会の底辺。私たちは彼らを無意識に差別していることに目を向けなくてはなりません。その点が加わると、第三段落の意見により強く論旨が結びつきますね。
<第三段落>
 外国人による犯罪の増加という理由で外国人を受け入れないほうがよいというもうひとつの意見を提示しました。
 外国人の犯罪は二種類ありますね。一つはマフィアや窃盗団などの組織的犯罪、もう一つは、差別や貧困から生じる犯罪。けれども私たち日本人は両者を区別できず、次第に排他的になっています。また、なぜ外国人労働者の犯罪が多いのかを考えてみると、一方的に外国人を非難することはできませんね。
 私たち日本社会の外国人に対する姿勢を見直さなくてはなりません。外国人が共存する社会になって、はじめて外国人は国際社会に日本及び日本人についての情報発信をするでしょう。
 昔話もうまく使えました。
<第四段落>
 総合化の主題、しっかりできていますね。「重要なのは、日本社会や市民の生活が脅かされない程度に、外国人を受け入れることが大切」という提案はもう少し掘り下げるとおもしろいですね。
 例えば、なぜ外国人の犯罪が増えたのかを考えれば、受け入れる「量」の問題ではないことが分かりますね。この問題点は課題文の「思い込み」についての問題につながります。
 名言はぴったりのものを引用できていますね。さすがです。

◎興味深いテーマ、実例で構成された作文です。もう少し踏み込んで考えてみると、論が深まってよいですね。各段落ごとの論点の一貫性、課題文との近さが評価できる作文でした。

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